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浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

ヨーゼフ・ヴォルフシュタール 1925年録音ベートーヴェンの協奏曲

2006年07月21日 | 提琴弾き
33歳の若さで逝ったヴォルフシュタールといふ少々線が細いが美しい音色を持つ提琴家がいた。フーベルマンやデ・ヴィトーよりもエリカ・モリーニがお好きな方には、是非、ヴォルフシュタールも聴いていただきたいと思う。

レオニード・クロイツァーとの協演も録音が残されているが、当時の伯林国立歌劇場管絃團のコンサートマスターであった彼は、SPへの録音も多く、当時の独逸楽壇の中心にいた音楽家でもある。日本との縁もあり、かの貴志康一もヴォルフシュタールに提琴を学んだ時期があった。

ベートーヴェンの協奏曲は、ちょうどらっぱ吹き込みから電気へと移行する端境期の録音で、大変貧しい音から彼の美しい音色を聴き取るにはある程度、耳を鍛える必要はあるかもしれない。伴奏オケは彼がコンサートマスターを務めていた伯林国立歌劇場管絃團である。オケの音が特に貧しく、物足りなさを感じるが、それでもBiddulphの復刻は独奏提琴を非常にうまく再現してくれているため、耳が馴染めば不満は消えていく。

とても丁寧にフレーズを歌い、フレーズの終わりが繊細に扱われることに気づかれるだろう。特にヨアヒムのカデンツァでは、音楽性豊かな歌いまわしが堪能できる。

盤は、Biddulph社の復刻CD LAB095。


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