生物多様性におけるたんぼの役割

2008年07月17日 23時06分53秒 | 生物多様性

2010年に生物多様性会議(COP10)が名古屋で開催される事になった。

「何をいまさら」と言う気もするけど、地球温暖化問題だけでなく、生物多様性が、世界的な規模で今考えなくてはいけない問題として取り上げられる事になってきたのはとても嬉しいことだ。今僕が実践している[ふゆみずたんぼ(不耕起冬期湛水田)]も、稲を作るという目的より、水田を中心とする生態系の保全を目的としているので、嬉しい限りである。

高校卒業後の進路の候補の一つに[野生動物保護官]になりたいという想いもあったし、登山をやっていた理由も、アフリカ(ケニア)に旅行に行った理由も、子供の時から、生き物が好きだったから。

数年前に[耕さない田んぼが環境を変える]というTV番組を観たことがきっかけで、生物保全型の稲作技術があることを知り、自分のやりたいのはこれだと思った。

日本は世界の中でも、絶滅した生き物は少ない方で、里山や水田によって保全されてきた部分が大きい。絶滅したトキや絶滅に追い込まれているコウノトリも戦前までは普通にいたらしく、農薬の使用によってえさとなるドジョウなどが少なくなった為に、絶滅に追い込まれたそうだ。一つの種が絶滅するということは、それに依存している種も絶滅に追い込まれるということ。

何億年もかけて地球の環境に適応して進化した生き物が、ここ100年ほどの間にかなりの種が絶滅に追い込まれたということはとても悲しい事だと思う。

最近ではメダカだけでなくタガメ、ゲンゴロウ、ドジョウ、二ホンザリガニなど、僕が子供の頃、当たり前にいた生き物も、県によっては絶滅危惧種や準絶滅危惧種に指定されているそうだ。

人間だけが、地球の環境を悪化させている存在であるのに、あらゆる生命の中で一番偉いと思っているのは、何か違うなと思う。人間はあらゆる動物の中でも、知性を持ち、最も進化した存在であると言う事は、地球をどうするかということを任されている存在ということだと思う。

最近、田んぼで羽が黒くて、体がエメラルドブルーに輝くイトトンボをみるがどんな宝石よりも美しいと思う。(調べたらハグロトンボ準絶滅危惧種した。)

そんな生き物の命の輝いている瞬間や鳥や虫の奏でる音楽の中で、土=地球に触れながら、農作業している時が一番楽しいと思う。「食べたり飲んだり」、「空気を吸う」という生きていくうえで必要な行為も、人間以外の生命の営みがあってこそ。

「生きている」のではなく、「(他の生命によって)生かされている」という感謝の気持ちがあれば、きっと何らかの行動にも結び付いてくるだろうし、みんなが、人間を含む全ての生命を尊重して、感謝の気持を持って繋がれば、今より、世の中も良くなると信じている。

田んぼビオトープ入門―豊かな生きものがつくる快適農村環境
養父 志乃夫
農山漁村文化協会

このアイテムの詳細を見る

最新の画像もっと見る

6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
あのトンボがっ!? (nammy)
2008-07-18 23:37:57
あの黒いトンボさんが 準絶滅危惧種とは!?
おかまいなしに ゆらゆらと 目の前にとんでくれて 美しい羽を 私たちに披露してくれた・・・
ああ なんか力強い美しさを感じちゃいます

田んぼが生物たちのユートピアであり 命の場であると 言霊けんちゃんも言ってくれた 
田んぼに人があつまり 生物が集まり 温かい子宮のような 育みがある 
先日はそのような意義深い機会にたちあえて 大変感謝です いろいろと気づきは大きかったようです また何か企画しましょう♪
返信する
田んぼはイノチの場。 (toshi)
2008-07-19 19:58:34
あらためて、先日はありがとうございました。
たけさんが、愛おしそうに、田んぼのまわりの昆虫や生き物を眺めている姿がとても印象的でした。

すべてのイノチがつながっているとすれば、
絶滅危惧種が増えるということは、そのまま人類の生存も危ういということですね。

他のあらゆるイノチと自分の存在とのつながりを想像するチカラがあるかどうか。

imagineの歌は、いま、人類だけでなく、すべてのイノチに向かって書き換えられなければならないかもしれませんね。
返信する
nammyさんへ (たけ)
2008-07-20 07:43:43
コメントありがとう!
たまに、ちょっと珍しい動植物を見ると絶滅危惧種だったり、絶滅危惧種だったりします。
それだけ以前は当たり前にいた生き物が少なくなったということだと思います。
返信する
toshiさんへ (たけ)
2008-07-20 09:00:04
コメントありがとうございます!
人間中心に物事を考えてきた結果が、今の地球の病んだ状態であると思います。
もともと日本には自然と共生しようという、すばらしい考えがあったわけだから、またそれを取り戻していけるといいですね。
返信する
トキ (paru)
2008-07-28 17:43:08
以前キューバの有機農法でトキが増えている唯一?の国と紹介されていました。
トキは鳥の中でも原種に近いから汚染に弱いのだと。
アメリカの消費文化を受けない方自然は取り戻せるのですよねぇ・・・
返信する
paruさんへ (たけ)
2008-07-28 20:51:01
コメントありがとうございます!
今度僕が実践している岩澤信夫さんの農法がNHKで特集が組まれます。
興味があれば見てみてください。

NHK教育テレビ『知るを楽しむ 人生の歩き方』NEW
岩澤信夫 生きものの豊かな田んぼ
第1回「日本の農業はコメだ」
 9月3日PM10:25/再放送9月10日AM5:05
第2回「耕さない田んぼが農家を変える」
 9月17日PM8:00/再放送9月24日AM5:05
第3回「生きものが集まり人が集まる」
 9月24日PM10:25/再放送10月1日AM5:05
第4回「田んぼを守るために」
 10月1日PM10:25/再放送10月8日AM5:05
あとマクロビオティックの料理教室にも岩澤さんが参加されるそうです。
最近マクロビオティックと農を繋げようとする人たちがまわりに増えてきたのはとてもうれしい事だと思います。

http://www.tanbohakase.com/
返信する