ぎんぐの紅茶

紅茶初心者の奮闘記

2010年オータムナル/ジークレフによる二重抽出法との比較(紅茶レビュー)

2011年02月28日 | 紅茶を入れるまでの話
二重抽出法とは、ジークレフより提案された新しい紅茶の入れ方のこと。
入れ方は以下のとおり(点線内引用)。

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■ダージリン・アッサムFTGFOP1など、茶葉の大きなものの場合

1.茶葉5.0gにつき、150ccの熱湯を注ぎ、30秒抽出して、別の容器に移
します。
2.抽出した茶がらに、新たにもう一度150ccの熱湯を注ぎ、また30秒抽
出して1.の茶液の入った容器に注ぎます。
3.1.2の茶液が混ざったらできあがり。

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これは気になる。
通常の入れ方と比べたら、風味はどれくらい違ってくるんだろう?

というわけで、通常どおり入れた茶葉と飲み比べてみた。
使用した茶葉は「2010年オータムナル/感想」で飲んだ2010年オータムナル19種類。

【条件】
<通常版>
・入れ方に表記のない茶葉は、茶葉2g、お湯150cc、蒸らし時間5分で入れた。
・リーフルで購入した茶葉は、茶葉1.5~2g、お湯150cc、蒸らし時間5分で入れた。
・ルピシアで購入した茶葉は、茶葉2g、お湯150cc、蒸らし時間5分で入れた(ルピシアの推奨に従っていない)。

<二重抽出法>
・ジークレフ推奨で入れた。

【比較方法】
「同じ茶葉を通常版と二重抽出法で入れた場合の違い」が知りたいので、同じ茶葉を通常版と二重抽出法で入れて飲み比べた。

【評価方法】
二重抽出法での味の評価を「2010年オータムナル/感想」と同様、グラフ化した(クリックすると拡大。★は二重抽出法で入れた場合好みだったもの)。



だけど、これでは「同じ茶葉を通常版と二重抽出で入れた場合の違い」が分からない。
そこで、このグラフと通常版のグラフを重ねてみた。
(「味(二重)」「香り(二重)」が、二重抽出法の数値)



グラフの長さは、味と香りの強さを表している。
この茶葉の場合、「二重抽出法の方が、香りと味がやや立っていて渋みも強く出ている。」となる。

このグラフを各茶園ごとに作成した。
グラフは長いので後回しにして、結論を先に書いておく。

【まとめ】
<二重抽出法そのものについて>
・茶葉のもつ特徴が前に出やすい。
・二重抽出法で化ける茶葉もあれば、通常通り入れる方が向いている茶葉もある。
・二重抽出法だと風味が良くも悪くもはっきりと変わる茶葉が多い。

<オータムナルを二重抽出法で入れた場合について>
・二重抽出法だと味が「渋み+紅茶らしい味+ほうじ茶っぽい焙煎風味」の組み合わせ(又はこの3要素のうち1~2要素の組み合わせ)になりやすい。味が単調になりやすいともいえる。
・二重抽出法だと、オータムナル特有の渋みが前に出やすい。
・通常とおり入れたときに感じるフルーツのような香りとか、弱い酸味等の微妙な要素は、二重抽出法にすると消えやすい。

<結論>
・二重抽出法は味が大きく変わる可能性が高いので、試してみる価値あり(特に薄い味の茶葉)。

波線以下は、各茶園ごとのグラフと感想。

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マーガレッツホープ農園 DJ-569 オータムマスカテル
二重抽出法だと焙煎系の渋い風味がメイン。
もともと風味が弱めと感じた茶葉なので、二重抽出法でも飲みやすい。



マーガレッツホープ農園 DJ-570 ティッピークローナル
二重抽出法でも渋さは出ず、マスカット系の香りのみが強くする。
冷めるとマスカット系の香りは消えて、ただの飲みやすい紅茶になる。
味と香りとも、二重抽出法の方が特徴が強く出た。



マーガレッツホープ, 2010-DJ563
通常どおり入れた時は単調な味の紅茶と感じたけど、二重抽出法で入れると他の風味もはっきり感じた。
二重抽出法の方が渋みが強く、紅茶らしい味が全面に出ている。



マーガレッツホープ農園 DJ-527
普通に入れた方が微妙な風味が感じられていい。
二重抽出法だと香りがないと感じるくらい、焙煎系の渋みと紅茶の味が出ている。



シンブリ農園 DJ-791 クローナル
二重抽出法での入れ立てはチョコみたいな甘さを感じるが、少し冷めると焙煎系の渋みが強く出た(グラフは少し時間がたったときのもの)。



ナムリン農園アッパー EX-581
二重抽出法だと、普通に入れたときに感じた緑茶だかほうじ茶だか分からない海苔茶漬けみたいな味がより強くなった。
普通に入れても二重抽出法で入れても、オータムナルらしくない紅茶。



アリヤ, 2010-DJ101
二重抽出法だと、マスカット系の香りも強いけど紅茶らしい香りも強い。
味も甘みがメイン。味と香りがけんかして不思議な風味に。
普通に入れた時の風味が、二重抽出法によって強く出ているともいえるのだけど。



タルボ, 2010-DJ644
二重抽出法だと、焙煎系の渋みが強く出る。
普通に入れるとフルーツのような香りや甘みが感じられて楽しい紅茶だったのに、二重抽出法で入れると、渋みメインの普通の紅茶になった。



タルボ農園 DJ-654 オータムマスカテル
二重抽出法での入れ立ては、すごく甘い香りがする。
少し時間がたつとほうじ茶っぽい味と渋みが前に出て、甘い香りが引っ込む。
香りの特徴が二重抽出法で強く出る。味はほうじ茶系渋みがメインのよくある感じになる。



タルボ農園 DJ-651 ティッピークローナル
二重抽出法での入れ立ては、強い焙煎香の後にかすかにフルーツっぽい甘いにおいがする(冷めるとただの飲みやすい紅茶になる)。
味、香りとも通常で入れたときと強さに大きな違いは感じられない。
私はどちらで入れたものも好きだけど、二重抽出法の方が「渋み+ほうじ茶っぽい焙煎風味」というありがちな味なので、通常版の方が好み。



タルボ農園 DJ-653 オリエンタルムーン
二重抽出法で化けた茶葉。通常版と風味の印象がまるで違った。
入れ立ては木の実系のほっくりした甘い香りが強い。
時間がたつと、焙煎系の味がメインのスタンダードなオータムナルに。



キャッスルトン農園 DJ-375オータムスペシャルチャイナ
二重抽出法で化けた茶葉。通常版と風味の要素が全然違う。
ほうじ茶っぽい焙煎香にマスカットのようなフルーツっぽい香りがかぶる。
アンバランスだけどそこがいい!
冷めると渋みががっつり出るのも特徴。



フグリ農園 DJ-305 クローナルスペシャル
二重抽出法で入れた方が、味が強くて飲み応えがある。
渋みも良い感じに出ている。
通常版が薄めで物足りない味わいなので、余計に良く感じるのかも。



ジュンパナ・アッパー, 2010-DJ181
二重抽出法の方がやや甘みがあり、緑茶のような香りもある不思議な味の紅茶。
クセが強いともいえる。
二重抽出法の方が通常版より味が薄めの珍しいタイプ。



サングマ農園タールザム DJ-59 クローナルエニグマ
二重抽出法で入れても通常版で入れても、風味の強さの差はさほど感じない。
味は、二重抽出法にありがちな「渋み+紅茶らしい味+ほうじ茶っぽい焙煎風味」の組み合わせ。
通常版の方が変化があって好み。



サングマ農園タールザム DJ-57 クローナルワンダー
二重抽出法で一番化けた茶葉。通常版で入れたときと、印象が全く違う。
チョコレートみたいな味としかいいようのない強い甘さがいい。
グラフは「あえて各要素に分解してみたら」というものであり、飲むと「紅茶のチョコみたい」という印象。
とにかく甘い。



オカイティ農園 DJ-400 エメラルド
通常版で軽く(?)感じた緑茶風味が、二重抽出法で入れると全面に出た。
渋みも(飲みにくいほどではないけど)強い。



グームティ農園
二重抽出で入れると、ほうじ茶っぽい焙煎味がしっかり出た。
二重抽出の方が、茶葉の特徴がはっきり出ている(味と香りの構成要素を多く感じる)。
ただ、味が二重抽出のオータムナルに多かった「渋み+紅茶らしい味+ほうじ茶っぽい焙煎風味」の単調なものになった。



セリンボン茶園 DJ-218
通常通り入れた方が、味も香りも強い珍しいタイプ。
この茶葉は、二重抽出より通常通り入れた方が、オータムナルっぽくて好み。



【最後に】
「私が感じた味」が少しでも伝わりますように。
時間ができたら、ジークレフに行って二重抽出法の紅茶を飲んでこよう。


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