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瀬戸内龍,発進!その2_texto_038

2012-05-03 23:00:54 | texto
辰年スペシャル!G.W.で前倒しだ。
瀬戸内龍,発進!その2
その1へ
瀬戸内龍発進_リメイク計画_インデックス

最初の爆破段階ではニュース拡散レベルの情報伝達速度であったがリニアがビルの柱を直撃した後、ANHUI401の様子を伝える報道の速さは一気に加速した。21世紀連盟のような公的な国際機関には犯行グループの声明内容など報道規制されている事柄についても伝えられる。21世紀連盟は国単位の加盟に拘らない、富の分配と富の拡大を目的としている若い組織である。

財産の再分配は文字通り、既に多くを得ている側に利益の還元をお願いすることである。ただ、多くを得ている側にもいろいろあり、21世紀連盟が新たに力を入れているのは既存システム崩壊時の巨大資本による介入に対する監視である。世界的な巨大資本の介入もできない圧倒的な強さを誇る地域に根ざした利益獲得既存システムであっても、災害や紛争など非日常の状況下において機能停止などに陥った結果、巨大資本による集中的な投資を許し、利益の独占を奪い取られるケースが典型であろう。

ここで言う監視は既存システム崩壊後の投資だけではなく、偶発的事象についても警戒している。詰まるところ、還元をお願いする相手が大きくなるほど交渉相手としては手強くなるので、それも避けたいのだろう。地域密着の伝統的金持ちより世界的金持ちに警戒する。これが地元有力者を味方につける助けになっていたりもする。しかし、富の拡大には巨大資本は良きパートナーに成る。分配に関して見解の相違があろうとも財産の総量を増やす点では反目する理由は全くないのだ。共通の課題として如何に富を増やすかでともに悩み、その解の一つに科学力・技術革新に重きを置くことで協力し合う関係だ。地球エレベーター構想はテクノロジー協調例の一つだ。

地球エレベーターとはかつて宇宙エレベーターや軌道エレベーターと表現された地表から宇宙空間へ伸びるエレベーターのことである。実用的なテザー衛星の運用が始まったばかりで全長14万kmの及ぶエレベーターの実現は相当先の話であるが未来の目標を掲げる効果を連盟も資本も大いに期待している。新しい科学技術に重きを置く21世紀連盟の役割は富というよりテクノロジーの拡大を促し、テクノロジーの分配を制御することといえるかもしれない。そして、もう一つ、資本家と連盟メンバーが共に歩みを進めざる得ないデリケートな要因がある。軍事力だ。

国際協力に基づく編成なので、その仕組みは複雑になることは已むを得ないが極東の島国の実質的な武力を持つ組織の参加の仕方は異質になっていた。セルフノチカラと呼ばれていた島国の組織は、お国の事情も相重なり組織丸まるが21世紀連盟に統合され、他国や他の団体の軍隊のように人・時間・装備などあらゆる面で、少なくとも文書上で分けられる状況がない。そのため、善い悪いは抜きとし、双方にとって使い勝手が良い。元々、21世紀連盟のセルフノチカラに所属の彼女が同連盟の広域災害対策の系列の機関へ出向している理由の一つは上記の利便性。それは彼女が持つ、もう一つの肩書きにも影響している。

モニター隅ではANHUI401の様子を伝える表示が現る。同時に中央でも同様な表示。どちらにも反応したのだろうが、間髪なしで、彼女は瀬戸内龍艦長の職に就く依頼手続きを済ませた。承認を待たず、艦長としての幾つかの作業を進める。この時期・時間帯なら艦長職移行の承認がされることは確実だが、仮にされなかったところで今進めている作業内容は今回承認される艦長に転送するだけだ。

瀬戸内にある国際空港、国際新瀬戸大橋空港は幅5000m超の橋として本州と四国の間に掛かっている。遠目には人工島にも見える橋とは呼べないサイズで大橋の下はかなり大型の船舶も通ることができる高さ、空間が設けられ構造上は紛れもない幾重の段が重なった多層型橋である。一番上は一面空港で国際新瀬戸大橋空港であるがその他に新型リニアを含めた鉄道、有料・無料を含めた自動車道路から歩行者や自転車など軽車両用の道もある。海を渡るだけでなくトレーニング用のコースもあり利用者も多い。免税店を含む大型モールにはレジャー施設もあり、多くの人で賑わっている。

大橋の一部分に昭和63年に完成した旧瀬戸大橋が組み込まれている。正確には旧瀬戸大橋風と表現すべきかもしれない。いずれにしても、瀬戸内龍艦長承認前ながら彼女が行った作業の一つに旧瀬戸大橋の通行止めの指示がある。旧瀬戸大橋こそ近日に公表を控えた多目的救助施設艦・二代目瀬戸内龍である。多目的救助施設艦とはその名の通り、大規模な災害に対応するために造られた巨大な乗り物であり、旧瀬戸大橋は瀬戸内龍の骨格部分に当たる。

一方、中身は橋を渡る電車が担うことになる。電車といってもお客様など人や貨物を輸送している車両が使われるわけではない。消火用、救急用など機能・用途が分かれている特殊な車両が線路を伝ってやってきて多目的救助施設艦の機能になるのだ。出動頻度は決して多くはないだろう多目的救助施設艦といえども必要なアイテムは災害の種類、発生箇所、要請の内容など都度変わってくる。一通りでない災害に救助・活動目的に多目的救助を実現するために必要な設備が様々なセクションからやってくる、普段は橋として働く骨組みに必要に応じた機能を備えた車両が方々から軌道を介して駆けつける仕組みである。

この駆けつける仕組みは、意図されて出来た仕組みではない。ダブルツゥエンティ(A.D.2020)まで遡る。北極圏で複数のガス田、原潜を巻き込んだ本当は事件かもしれない事故が起きた。このアクシデント収拾のためには緊急に海中における強大な推進力と豊富な資材が必要とされた。さもなくば、これまでの開発を後退させるばかりか、北極の海をかつてない規模の汚染させる事態に成りかねない。必要とされる推進力と物資の確保には世界中の原潜が48時間以内に、あらん限りのものを運んで北極圏まで何とかなるかもしれない、裏を返せば現実的にはかなり困難なオーダーであった。

なりふり構わない世界に助けを求める声は、もうだめだという意思表示を迅速にさせねばという使命感に溢れ、多くの人々に立場を越えた救助の必要を知らせることに成功した。立場を越える人の中に国際新瀬戸大橋空港建設現場の安全に最大配慮する役割で当時セルフノチカラに所属する隊員が一人。陸・空・海の交通ポイントとして造られる多層構造の大橋は巨大な複合施設であるため、出来るだけ低予算で作る手段としてその場で建設しないで、いろんな場所で作ったパーツを海を通って運び、組み立てる・組み込む様式が採用されていた。鉄道部分になる1つの橋をを組み上げ終わったタイミングに北極圏に起きたアクシデントが伝えられる。

そのセルフノチカラの隊員は大規模な建設現場で使用される数々の重機や海からやってくる巨大パーツの管理を任されていた。世界各地の新興国や発展途上国などの公共事業の建設現場においてセルフノチカラから海外支援されたときの実績を評価されてのことである。そして、自分でもまともとは思えないアイデアが彼に浮かんでしまった。建設現場には大量の資材がある。新しい橋には丈夫な最新の素材、材料が使われている。だから橋が潜水艦になれば、ここある使えそうな物が北極へ運べるな。先ず、橋が潜水艦になるなど突拍子もない考えだが、この橋は鉄道用で既存の軌道と繋がっていることが発想を連鎖を促す。

そういえば、大阪の大学にいる知人が小型の加速器を作ったと自慢していた。何でも電源に画期的なコンパクトの実現に成功したそうだ。プログラムを入れなおしたその加速器の一部分であるコンパクト電源を用いれば必要とされる推進力を上回る駆動装置になるのではないか。小型といえ重量がある機械なので飛行機で運べるような話ではないが鉄道であれば可能なはず。今、国際新瀬戸大橋空港に組み込んだ橋は鉄道部分なのでジョイント部分に手を加えれば、即、走行中の電車を橋に向かい入れることができる。あまりも馬鹿げた考えなので自ら否定しようとしたが、できないと言う答えが自分では出せなかった。彼は決断を他人に委ねればよいことに気付く。なぜなら、自分にとっての不利益は友人にキチガイ呼ばわりされる程度だからだ。

果たして、大阪の友達も小型加速器を建設中の国際新瀬戸大橋空港に数時間以内に輸送できるはずがないと断言できなかった。普通は現地組み立てが基本であるが小型を売りにしている加速器は完成品として鉄道と船舶を利用した海外輸送の実績もあったりしたのだ。この否定できないカンバーセーションが僅か30分足らずの間に数人に繰り広げられ、加速器のパーツだけでなく多くの資材や物資、人員が鉄道を介して瀬戸内に集めらることになる。

準備が整った橋は陸に上がったその日の内に外され、再び海に戻り、幾つかの装備を付け加えられる。抵抗を減らすための流線チックな飾りやメインになるカメラー、センサーを先頭部分に付けたこともあり、海中を進む姿は東洋の龍を連想させ、自ずと瀬戸内龍と呼ばれるようになるのは全長4kmにも及ぶ潜水艦の困難と大活躍の過程の中での話しであるがここでは割愛。ただ、この北極圏における一大事に立場を越えて集まった者達が既に存在した21世紀連盟を発展させた中心メンバーになる。そして、全長4km強の潜水艦の即席に出来上がっていく過程が現在、世界に七つ存在する多目的救助施設艦の仕組みとして受け継がれている。

北極海から戻った初代・瀬戸内龍は当初の計画通り、国際新瀬戸大橋空港の一部として四国と本州をリニアで結んでいる。その代わり、解体が決まっていた旧瀬戸大橋が二代目瀬戸内龍・多目的救助施設艦として存続することになった。外観は昭和に建造された当時の姿のままであるが構成する材料や変形システム・救助活動を遂行するためのプログラムなど多目的救助施設艦の働きに必要なアップグレード可能な最新テクノロジーが詰め込められ、更新される橋に生まれ変わったのだ。

そして、ANHUI401のアクシデントを耳にした二代目瀬戸内龍艦長承認前の彼女が龍の外骨格である旧瀬戸大橋の通行止め、橋から龍に変わるためのセッティングの指示やセッティング後の保険に訓練から救助活動に切り替えられる瀬戸内龍の発進要請を行った。中でも最重要最優先のアクションがスジヤへのダイヤグラフ作成の依頼である。

つづく


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ねぇ (nene777ne@yahoo.co.jp)
2012-05-08 21:44:45
はじめまして!ヾ(〃 ̄ ̄ ̄ ̄(エ) ̄ ̄ ̄ ̄〃)ノヽ口―♪ 初めてコメント残していきます、おもしろい内容だったのでコメント残していきますねー私もブログ書いてるのでよければ相互リンクしませんか?私のブログでもあなたのブログの紹介したいです、私のブログもよかったら見に来てくださいね!コメント残していってくれれば連絡もとれるので待ってますねーそいじゃ☆彡:・;.*:・。゜゜・:゜*:。゜.*。゜.o。・。゜。o.゜。・*。・゜.。☆彡アドレス残していくのでメールしてね!そいじゃ☆彡:・;.*:・。゜゜・:゜*:。゜.*。゜.o。・。゜。o.゜。・*。・゜.。☆彡
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ねぇ様へ (たにぬねの)
2012-05-10 08:18:38
コメント、ありがとうございます。
ねぇ様のブログをみたいです。URLなど,教えていただけないでしょうか。
よろしくお願いします。
返信する

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