タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

クリスマス会の夜に

2016-12-09 21:19:57 | つれづれ


昨日はタマル産では、クリスマス会でした。
今回は集合写真を逆光で失敗してしまいましたよ。
院長家庭は夫婦で参加したのですが、
クリスマスに合わせて赤とゴールドのセーターなのですが、
まるで赤い、ちゃんちゃんこのようです。

前の夜に3人も赤ちゃんが生まれて、
さらにその夜も赤ちゃんが続けて生まれ、
なんとか形にはなりましたけれどね。

一次会の今年の企画はビンゴゲームです。
日勤の2人が交代で参加して、1位、2位を独占です。
3位には新人さんと、これはハッピーな結果でしたね。
賞品は、金、銀、それに銅色の飾りのポインセチアです。

二次会は、座席だけチェンジして、お食事会。
普段はバラバラに出会っていても、みなが集まるのは年に2回だけですなのです。
これらに先立つ勉強会では、今回も新生児の蘇生術なんかを、訓練しましたよ。

どうですか?みなさんも懐かしい顔が有りましたか?
タマル産の助産師さんなんて、いつもこのお店に行くと、
孫が大きくなった話をウェイトレスさんからされるのですからね。

それでは、今日の話題にしましょうか。
ネットニュースの本日分です。
「高知赤十字病院で生まれた子どもに重い脳性まひが残ったのは、
医師らによる分娩時のミスが原因だったとして、
高知県内に住む本人と両親が運営元の日本赤十字社に
計2億円余りの損害賠償を求めた訴訟の判決で、
高知地裁は9日、1億8千万円余りの支払いを命じた。」

未だに同じようなニュースを流していますね。
もちろん赤ちゃんが生まれて、障害の有る子だったら悲しいのです。
そんなことは親でなくとも、医療者ももっと重責を感じているのですよ。

だからと言って、障害が残ったのは、医師らによるミスだと決めつけているのはどうでしょう。
そうではなくて、放っておけば必ず障害が残っていたのですよ。
たとえば自宅で生まれていたら、亡くなっていたかもしれません。
入院していれば四六時中、分娩監視装置も付けていたことでしょう。
ですが、その時の判断がベストだと信じて、赤ちゃんを経膣的に産む手伝いをしたのでしょう。

胎児は突然、元気がなくなることが有って、
1時間もかけて帝王切開を緊急でするより、
経膣的に産ませてあげた方が結果が良いと判断してそうされたのでしょう。
それがミスだと言うのでしょうか。
報道機関や裁判所は、すべての赤ちゃんを帝王切開すれば良いと考えているのでしょうね。

では現状はどうなっているのでしょうか。
産科医療補償制度というものが発足しているではないですか。
ほとんどすべての分娩施設は、新生児が脳性麻痺になった時に備えて、
みなさんが支払う分娩費用の中から、その保険料を払っているのです。

お産では、すべての赤ちゃんが元気に生まれるとは限りません。
それは「医者のミス」ではなくて、本来、防ぎようがないものなのですよ。
もうそろそろ分かってほしいですね。
こんなやり甲斐の無い仕事ですから、今日も分娩するところが無くなっていくのです。
この20年弱で、有床診療所が半減したのですよね。

昨日のChristmas会の前の夜も、その日の夜中も、
胎児が元気が無かったのです。
お母さんには酸素マスクで酸素を吸ってもらいながら、
陣痛促進剤も少量のみ使用し、
短時間で終わらせることで、元気な赤ちゃんを産んでもらいました。

こういう時は、赤ちゃんは子宮の中でウンチをします。
普通は生まれてからするのですよ。
その羊水に出したウンチを自分で飲み込むものだから、
生まれてからも、肺呼吸が少し、しんどいのです。
でも1日もすれば、すっかり元気になってくれます。

帝王切開にしていたら、かえって時間がかかっていたこもしれないし、
次のお産でも、既往帝王切開ということで、ずっとリスクが上がっていたことでしょう。
結果が良ければ、何とでも言えるかな。

まあ、毎日がストレスですが、
ひとときは、職員みなで、心の休まる時間を持てたことに感謝です。