昔に出会う旅

歴史好きの人生は、昔に出会う旅。
何気ないものに意外な歴史を見つけるのも
旅の楽しみです。 妻の油絵もご覧下さい。

北海道旅行No.4 「下サロベツ原野」の景色

2010年08月02日 | 北海道の旅
北海道旅行2日目の7/15、道道106号を北上、幌延町の交差点から右折して「幌延ビジターセンター」へ向いました。

前回紹介した「オトンルイ風力発電所」の少し北から右折します。



サロベツ原野には延々と木道が続き、辺りは低温湿地帯の草原です。

向こうに見える建物は、「幌延ビジターセンター」で、観光する人もまばらでした。

木道の両脇に「ヤマドリゼンマイ」の青々とした葉が生茂っています。

クルクルと巻いた芽を茶褐色の毛で覆っている姿から山鳥の名が付いたのでしょうか。



幌延ビジターセンターの建物正面です。

向って右手にサロベツ原野への木道が続いています。

一階ではサロベツ原野の動植物の説明パネルや、映像を見て、二階ではサロベツ原野の展望室がありました。

西に見えるはずの利尻富士が見えないので、管理人さんに外で方角を教えて頂きましたが、やはり霞んで見えませんでした。



幌延ビジターセンターで展示されていたサロベツ原野の地層です。

地層は、円筒状に切取られ、気候変動の歴史から地層区分が出来るためか、その脇に年代の目盛と、各時代のイラストが描かれていました。

一番上が現代、次が2,000年前、次いで2,500年前、3,700年前、4,500年前、5,000年前、5,400年前、一番下が5,700年前となっていますが地層の時代区分の意味は分かりませんでした。

■地層の横に説明パネルがありました。
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泥炭地 やわらかな大地
サロベツ原野は、天塩川の下流にあり、東西およそ5~8Km、南北およそ27Kmにわたって広がっている。ほとんどが海抜5m以下で面積約20,000ha、その70%の14,600haが泥炭地となっている。ミズゴケ、ヌマガヤなどの湿原植物が低温多湿のため完全には腐らず、長い年月の間に厚く積み重なりスポンジ状になった柔らかな土壌、それが"泥炭"である。1年に平均1㎜位しか成長しない。つまり1mの泥炭が堆積するには、およそ1,000年くらいかかることになる。サロベツ原野の泥炭層の厚さは3~7mである。最大層厚はおよそ8mである。
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サロベツ原野付近の地図です。

「幌延ビジターセンター」の他、北の豊富町には「サロベツ原生花園ビジターセンター」があります。

「幌延ビジターセンター」の説明パネルによるとサロベツ原野は、かつて湾だった場所が次第に泥炭で積り、現在の湿地となったようです。

サロベツ原野には蛇行して流れるサロベツ川があり、海岸に並行して2~3Km辺りを北から南に流れ、天塩川に合流しています。

等高線のある地図を見ると国道40号や、函館本線から西側は低地となっており、農地に向かない湿地を避けて開発された歴史があるものと思われます。



「幌延ビジターセンター」の2階展望室から見た「サロベツ原野」です。

手前の建物横入口から左上の長沼まで木道が続き、所々に観光客の歩く姿が見えます。



「幌延ビジターセンター」横の案内板にあった「下サロベツ原野園地」の案内図です。

幌延ビジターセンター付近は、「下サロベツ原野」と言われ、特別保護地区になっているようです。

一方、「上サロベツ原野」は、北の豊富町にある「サロベツ原生花園ビジターセンター」付近と思われます。

■案内板に「下サロベツ原野園地」の説明文がありました。
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下サロベツ原野園地
春から秋にかけ、高層湿原と低層湿原をとおる木道のそばでは美しい高山植物・湿性植物・水生植物が咲きそろい、草原の野鳥たちがさえずります。
下サロベツ原野園地では、このすばらしい自然のメッセージを体感し、親しみながら自然とふれあえるよう、「自然学習歩道」として観察施設や木道などを設置しています。
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木道を歩いて行くとカキツバタと、タチギボウシが群生している場所がありました。

「サロベツ原野」は、美しい花が咲き誇る原野のイメージがありましたが、その時には花は少なく、広い草原と池が目立つ地味な印象的でした。

タチギボウシ[立擬宝珠]は、ユリ科ギボウシ属の植物で、ツボミが膨らんだ形が、橋の欄干の上などに飾られる擬宝珠に似ていることから名づけられた薄紫の花です。



長沼の南端にある「水生植物観察デッキ」から見た景気です。

池の水面には水草が浮かんでいます。

長沼は、北東方向に細長く伸びる池で、左手の岸辺には木道が続いていました。



長沼の岸にあった案内板です。

冒頭に「今、沼ではこんな花が咲いています。」と書かれていました。

■同じく長沼の岸にあった案内板のコウホネの説明文です。
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コウホネ(スイレン科)は北海道から九州の沼や池で普通に見られる水生植物ですが、サロベツ湿原にはこのほかにオゼコウホネとネムロコウホネが自生しています。この2種は、北海道の北部・東部の一部と、本州のごく限られた場所でしかみることのできない貴重な植物です。
全国で3種とも自生しているのはサロベツ湿原だけかもしれません。

コウホネの名前の由来
コウホネは河骨と書きます。
白く細長い根茎(こんけい)が骨のように見えることからつけられた名前です。
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長沼に浮かぶ水草に、黄色い花が咲き始めていました。

サロベツ原野には日本にあるコウホネ・ネムロコウホネ・オゼコウホネの3種類が育つとされています。

写真後方に見える茎や葉が水面から上に立ちあがっているのが全国で見られる「コウホネ」と思われます。

写真手前の水面に浮かぶ葉は「ネムロコウホネ」か、「オゼコウホネ」のようで、この二種は本州北部から北に育ち、ごく近い品種のようです。



長沼の岸辺に野鳥を撮影していると思われる人達がいました。

カメラには巨大な望遠レンズが付けられ、長い時間シャッターチャンスを待っているようでした。

この物々しく武装?したような集団には野鳥も警戒してなかなか近づいて来ないのではと思います。



野鳥と言えば幌延ビジターセンターに水鳥「アカエリカイツブリの親子」の模型が展示されていました。

自然には様々な外敵がおり、警戒したヒナは親鳥の背に隠れるそうですが、首から下がスッポリ隠れているのには驚きです。

サロベツ原野の池沼には様々な鳥が紹介されていましたが、野鳥を撮影する大勢のカメラマンが、野鳥の生活環境の破壊にならないか心配です。

■展示の「アカエリカイツブリの親子」の説明文です。
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アカエリカイツブリの親子
サロベツ原野には100個以上の池沼が点在しミコアイサ、キンクロハジロなど北方向の水鳥類で我が国最大の繁殖地となっている。代表種、アカエリカイツブリは水草などで浮巣をつくりオスとメス共同で子育てをするのが特徴。ヒナは危険を感ずると親鳥の背中に隠れる。
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