(前編から続く)
それは、1996年夏のことでした。魚津から長岡まで北陸特急に乗車中、途中黒井駅を通過しようとしていた時、ヤードの彼方に一瞬見えたのでした。夕刻の逆光線下ではっきり見えなかったので、その時は見間違えかな?とも思いました。しかし心の奥底では奇跡を願っていました。。。
後日、一つの情報が私の許に届きました。
「北一産業のタキ85759と85760、神岡鉱業に転属」
そうです、生き延びることが出来たのです!あの日見たものは幻覚ではなかったのです! その後の春先、羽越本線の中条駅で、「神岡鉱山前駅臨時常備」と独特な書体で書かれた札も誇らしげに、冷たい雨の中佇むタキ85759と再会できたときは、正直嬉しかったです。神岡転属後は、吉原の岳南ヤードにも時折姿を見せてくれ、2003年に2輌揃って廃車となるまで、すっかりお馴染みになりました。
冒頭の写真は2000年5月4日に神岡鉄道の終点、奥飛騨温泉口駅で撮影したものです。同鉄道は列車本数が何分にも少なく不便なので、列車利用で訪問した貨車ファンなら、神岡鉱山前で下車し、鉱業所を見て、そのまま猪谷へUターンしたくなるところですが、終点まで乗り通すと良いことありますよ。。。そう、かつて、ここから原木が無蓋車に積み込まれて、各地へ発送されていたであろう同駅の側線は、遊休タンク車の置き場となっており、バラエティ豊かな硫酸タンク車を良い条件で撮影できたのも懐かしい思い出です。
当日は僚車タキ85759の姿もあり、全2輌(!)揃っていました。
当日いた珍車その1、タキ6252。稀有なキセ付き濃硫酸専用車ですが、無水硫酸専用車時代に装備されていた、特徴的なドーム上プロテクタが専用種別変更後に撤去されたので、まるでタキ7750型カセイソーダ専用車みたいです。
当日いた珍車その2、タキ1337。当時は既にタキ300形式現存最若番でした。昭和31年日本車輌本店製造。
(写真は全て2000年5月4日 神岡鉄道奥飛騨温泉口駅で撮影)