光山鉄道管理局・アーカイブス

鉄道模型・レイアウトについて工作・増備・思うことなどをば。
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「オオカミが電車を運転するだけのマンガ」

2024-05-08 05:20:16 | 書籍

 先日の秋葉行きで入手した一冊から。

 一昨年くらいからWEBで話題になっていたコミック「オオカミが電車を運転するだけのマンガ」(らった作 NEKO PUBLISHING)
 これの単行本がWEB販売で売られ始めた事は知っていましたが、先日の上京を決めた時「どうせなら店頭で買ってみたい」と思い立って秋葉原の書泉ブックタワーに赴きました。

 開店直後の売り場で単行本を手に取りレジへ。
 紙の本はこの時の感動と手に取った時の本の重さ(軽さ?)と質感をも楽しむもの、それも家で配送を待っているよりも自分から買いに行く方が楽しい感じがします。
 (これの中間的なイメージが最近の「コンビニ取り置き」ですが本屋でもない店に本を引き取りに行くというのだけが違和感があります)

 まあ、余談はさておき

 本作の内容はタイトルそのまんま(笑)
 「関東の架空私鉄を舞台に電車を運転して、電車を車庫に入れて、電車を分割併結して、他社からの乗り入れ車両を運転したりする」という、それだけのマンガです。
 ですが本作の白眉と言って良いのはそれらを運転するのが「オオカミさんたち」であるという点。
 それも人間の世界にオオカミが紛れ込んだのではなく「元々がオオカミたちの世界の鉄道のはなし」として成立させているのが素晴らしいと思いました。

 それでいて運転に関してはこの種のファンタジーにありがちなおとぎ話的設定は一切なし。実車の電車を運転する時とほぼ同じ手順、運行システムが再現されていて職業人としての会話のノリも非常にリアリティがあります。
 (それでいて「俺は肉球に冷えピタを追加で」なんてセリフも飛び出してくる)

 第一実際の鉄道を舞台に人間を主人公にしたマンガでだったら、これだけ無味乾燥な専門用語が飛び交うだけのはなしに面白さのポイントをどこに感じたらいいのかわからなくなると思うのですが、キャラクターをオオカミにしたというだけで「まるでガンダムの日常描写を覗いている」様な面白さを出しているのですから。
 更にそれを支えているのが、一種温かみを感じさせるキャラクターの作画と丹念な日常描写。オオカミたちのキャラクター毎の描き分けもしっかりしていてリアルとファンタジーのバランスをうまく取っている印象でした。

 巻末の設定資料のボリュームも豊富で架空世界の架空鉄道創生の魅力が横溢しています。

 本作の作者は姉妹編としてRM MODELSに「オオカミが鉄道模型を始めるマンガ」というのも連載していますがこちらの方も(「TEZMO SYNDOROME」と併せて)単行本化を熱望いたします。