くない鑑

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「日本の神々と祭り」≪壱・・・出雲国と大社様≫

2006年05月05日 | 知識補給
歴博にて開催されていた特別企画展。
その、クローズアップされた四社の最初,「出雲大社」のブースで、まず最初に取り上げられているのは、旧出雲国内の遺跡です。
近年,この地の荒神谷加茂岩倉などで、考古学的史料価値の高いものが、続々と発見されています。

まずは、荒神谷遺跡では昭和59年,4列に整然と並べられた銅剣,359本が発見され、一方の加茂岩倉遺跡では、「銅鐸」が、明らかに埋葬されたであろう、横に寝かせた形で出土したそうです。
これに関して、同館民俗研究系の新谷先生曰く...
寝かせてあったという発見,埋蔵状況からして、これは故意に埋めたもの。
それは、敵などから隠す為かも。
...とのことでした。
確かに、発掘当時の写真を見るに、偶然ではなく、必然的に人間が埋めた,と考えるのが妥当、と思える配置でした。

続いて、青木遺跡から発見された「神像」や「琴」などが展示されていました。
「神像」はとても小さく、多少の破損があっても、とても精巧なもの・・・とは言い難い、稚拙な出来上がりでした。
「琴」は、弦などは無く、ただ板木のみだったのですが、先生曰く...
琴は呪術的な要素で用いられた、と考えられるそうです。

そして、次に(漸く)出雲大社中心の展示となります。
その前に...
出雲国には、(かつて)399もの御社があったとされ、「出雲国風土記」には、天平5年(733)時点で、官社184,非官社215、と記録されています。
しかし、その全てに社殿があったとは思われず、(中には)偶像崇拝(木石,自然自体など)の御社なのでは・・・との事です。

その中で、出雲大社は大国主命を祭神として、今の世まで連綿と続いてきており、それを主宰する神官もまた、(南北朝期に分裂した)北島,千家弐家の出雲国造家が就いていました。
これに纏わる展示としてあったのは、国造継承に際して、大変重要な「火嗣式」に於いて用いられた「火燧臼」と「火燧杵」。
これは、千家国造家尊福氏が、継承時の儀式で、実際に用いられたもの。
門外不出級のモノだとかで、大変貴重な品を拝見出来ました。

続いて展示されていたのは、出雲大社(を始めとして出雲国内の御社)と龍蛇神信仰について。
新谷先生は、ここが専門分野とかで、とても熱く解説されていましたが・・・
これ,実はセグロウミヘビなる、その名の通り,背中は黒いが、腹は黄金という、南国海に生息する、毒持ち海蛇に仮託された“信仰”だそうです。
しかし、それが(時折)対馬海流の流れに乗って、出雲近海にやってくるのですが、南国海生れゆえ、冷たいこの海流に乗ると、猛毒持ちも形無しに、人などを襲うことも無いほどに弱るとか。
そして、これを捕らえて出雲大社や佐太神社などに献上すると、御礼を下賜されるとか。
・・・して、そこまで厚遇される要因は・・・
腹が黄金という特徴から来ている・・・と、考えられるそうです。

そして、(序でに)もう一つ。
出雲大社は、縁結びの御社としても崇敬を受けていますが、それは、この龍蛇神信仰が関係しているそうです。
それは、佐太神社の祭神,佐陀大神の誕生に由縁があります。
即ち、佐陀大神は、“金の矢”を受けた枳佐加比比売命(キサカヒヒメノミコト)が、妊娠して産んだ神だとか。
この“金の矢”こそが、先に海蛇なのだそうです。
そして、更に言えば、“矢”は男性に見立てられるそうです。が、これについては厳島神社の折、ちと触れます。


続いて、出雲大社の造営について。
ここには、数々の文献や、模型などを使って紹介しています。
その中で...
壮大な出雲大社。
これを、鎌倉中期までは、3本1組で田字形に9組配したものだとか。
それが、財政難やら、権威低下などで維持出来ず、1本1組に変化したそうです。
また、南北朝から室町期,権威の低下した御社を、尼子経久や毛利元就,そして、豊臣秀頼が支援しそうですが、この間,時代の趨勢もあってか、仏教的要素が高まった造りとなっているそうです。
しかし、江戸幕府が秀頼遺構の排除(破却)と、再建案を提示。
その当初案は、日光宮と同じく、権現造りだったのを、粘り強い説得交渉の成果、「復古調の造り」という、出雲社側の案で一件落着したとか。

その後の、掛け軸などが展示されていましたが、同時に、数百年も経てば当然かもしれませんが、地形なども変化しているのも判り、大変面白かったです。


そして次,伊勢神宮と厳島神社のブースへ(帯同の衆)と移動しました。


ちなみに、出雲大社に関わらず、江戸時代は、久しく太平の世だったゆえに、概ね復古調の時代とかで、これを(民俗学的には)“江戸ルネッサンス”というそうです。

いざ、零・・・目指すは佐倉城!へ戻る!<<<<<◆>>>>>いざ、弐・・・伊勢神宮へ参らん!



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