くない鑑

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先人の苦労の賜物

2005年04月24日 | 知識補給
江戸城北の丸,坂下御門外にある独立行政法人国立公文書館。
ここで、4月5日からこの日まで開催されていた特別展「将軍のアーカイブス」を見に行って来ました。
今回のこの特別展は、その名の通り,徳川幕府の官文庫,紅葉山文庫に収蔵されていた書籍,文献の数々の展示会で、開場は同館1階をぐるりと囲う感じで設けられていました。
同館への最寄駅,地下鉄東西線竹橋駅に着いたのは10時半頃でした。
暫く地下に潜っていたので、久しぶりに出た地上の陽射しは眩しく、初夏を思い起こさせるような暑さでした。
同館までは、地上に出て竹橋を渡って3分ほど。
玄関を潜って正面にあった受付へ行こう・・・とした、大音響のブザー音。
一体全体何事?!と思いきや、無料の音声ガイド機を持った人が館外へ出たので、その警告音でした。
当の本人は、ただ携帯に入電があったので外で話そうと思っていただけかと思うのですが・・・そういう機能が着いていたとは、、、勉強になりました。
改めて...玄関潜って正面,エレベーターホール前に設けられた受付へ行くと、そこで手渡されたのは、冊子になっている今回の展示史料の紹介(目録)でした。
私も、今までに大きいものから小さいものまで、数多くの展示会へ行って来ましたが、斯くも立派なレジュメ風の物を貰ったことは無かったので、ちと感動しました。これによって、帰ってから復習も出来、更には暫く経ってからブログの執筆に掛かるときに大変重宝しました(笑)
しかも、文献紹介の文末に請求番号,巻末には参考文献まで載っていた丁寧さには、ほとほと感服しました。

今回展示された書物は、上にも記しました“紅葉山文庫”という江戸城内に設けられた公文書館に収蔵,保管されていたもので、その創設者は初代家康公です。
『吾妻鏡』『帝鑑図説』『貞観政要』などの、治世での“参考文献”となる書籍のほかに、『文選』『伊勢物語』などの教養での“参考文献”となる文学的な書籍などがありました。
他にも家康公は、各地に散逸している文献,書籍の収集と複製(書写)、そして戦国末期に伝来した印刷技術を利用した出版に事業に尽力したとのことです。
その後、歴代将軍のこの文庫より様々な文献,書籍を取り寄せて、治世の鑑としたようですが、その中で特にここを“利用”したのが、幕府中興の英主,8代吉宗公です。
紀伊徳川家当主より宗家を相続した直後、早々に紅葉山文庫の蔵書目録を提出するよう、管轄である書物奉行に命じているほど、ここに関心があったようです。
吉宗公、治世での参考文献から医術書まで、幅広く文庫から取り寄せており、それらは側近の学者は言うに及ばず、自らも読み漁って研究し、政策面での参考としていたようで、紅葉山文庫は公によって更なる充実が図られたそうです。

こうした“利用記録”は、管轄の書物奉行の留蝶にしっかりと記録されていて、公開された同書には将軍よりの請求に瞬時に、また細かい報告内容まで記されています。
また、同時に公開されていた『日記』には、日々の業務についてのほかに、蔵書の管理の難しさにも触れられており、先人の苦労が垣間見えるないようでした。
また、彼等のこうした苦労が無ければ、今日こうして見ることが出来ないと思うと、改めて敬意を表したいです。

このほか、儒学を奨励した5代綱吉公にまつわる文献,書籍、将棋マニアとして著名な10代家治公にまつわる文献,書籍などは、上記とは少し変わったものとして、大変面白かったです。
また、国図,郷帳なども合わせて展示されていて、興味をそそられました。
(これらは同館サイトで見られるようです)


今回のこの特別展。
貴重な文献,書籍を丁寧な解説とともに見れただけではなく、ケース上にはパネルがあって関連事項の紹介があったり、大変に見やすくて面白いものでした。
また、中でも多かったのは中国からの文献,書籍。
当時の日本が、如何に彼の国を手本とし、学んでいたかを改めて知りました。なのに・・・ね。

途中、その解説に目を奪われてメインの史料に目が行かなかったり、じっと見すぎて渋滞の原因となっていりしましたが、、、実に有意義でした。
また、こうした展示会があればいいのですが...。

ちなみに、同展示の最後のおまけとして、同館の紹介展示がありました。
先帝の勅書などありました中で一つ、(確か)昭和62年の法令文書に関する資料で驚くべきものが!
なんと、竹下内閣の各閣僚(全て国務大臣)の署名の下に捺印ではなく“花押”があったのです。
中には、当時運輸大臣だった現東京都知事石原慎太郎のものも。
今現在も、これが用いされているのか定かではありませんが、少なくても20年ほど前までは使われていた、、、ということですね。
こうなったら、自分も何か花押を考案して・・・みようかな。
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