【問1】 制限行為能力者に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
1. 土地を売却すると、土地の管理義務を免れることになるので、婚姻していない未成年者が
土地を売却するに当たっては、その法定代理人の同意は必要ない。
2. 成年後見人が、成年被後見人に代わって、成年被後見人が居住している建物を売却するため
には 家庭裁判所の許可が必要である。
3 被保佐人については、不動産を売却する場合だけでなく、日用品を購入する場合も保佐人
の同意が必要である。
4 被補助人が法律行為を行うためには、常に補助人の同意が必要である。
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【問1】*解説* 正解 2 (民法・制限行為能力者)
1.誤 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。
未成年者が法定代理人の同意を得ずに単独で行った行為は、原則として取り消すことができる。
例外として
(1)営業を許された未成年者(=
成年者と同一の行為能力を有する未成年者)は、
その営業に関して行った行為を取り消すことができない。
(2)
婚姻している未成年者(成年擬制)は取り消すことができない。 など
本肢では、未成年者は婚姻しておらず、営業の許可についても触れていないので、土地を売却
するには法定代理人の同意が必要となる。
2.正 成年後見人は法定代理人であり、後見人は、被後見人の財産を管理し、かつ、その財産に
関する法律行為について被後見人を代表する。
しかし、成年被後見人の居住用不動産の処分については平成12年改正で創設されている。
(成年被後見人の居住用不動産の処分についての許可)第859条の3
成年後見人は、成年被後見人に代わって、その居住の用に供する建物又はその敷地について、売却、
賃貸、賃貸借の解除又は抵当権の設定その他これらに準ずる処分をするには、家庭裁判所の許可を
得なければならない。
3.誤 日用品を購入する場合、保佐人の同意は不要。
保佐人の同意を得なければならないのは、大損する虞のある法律行為であり、日用品の購入その他
日常生活に関する行為については保佐人の同意は不要である。
<参考>
成年被後見人は、事前に保護者の同意があっても、その同意どおりの行動が取れない可能性が高い。
そこで、成年被後見人の行為は取り消すことができる。
ただし、
日用品の購入その他の日常生活に関する行為は、取り消すことができない。
4.誤 補助人の同意を必要とする法律行為は、家庭裁判所の審判で個別に定められたものに限られる。
●合格のポイント●
制限行為能力者のポイント
未成年者
<原則>取り消すことができる。
<例外>
① 法定代理人の同意を得た行為
② 単に権利を得、または、義務を免れる行為
③ 処分を許された財産の処分
④ 一定の
営業の許可を得たその営業に関する行為
⑤
婚姻をした場合
成年被後見人
<原則>取り消すことができる。
<例外>
日用品の購入その他の日常生活に関する行為は、取り消すことができない
被保佐人
<原則>
取り消すことができない。<例外>重要な行為(大損する虞がある行為)
被補助人
<原則>
取り消すことができない。<例外>家庭裁判所が定める「特定」の法律行為
この知識で肢1、3、4を誤りと判断できます。
残った2を正解とすればOKです。
なお、宅建試験特有のヒッカケとして・・・
もっともらしい理由付けで強引に結論を導くものがあります。
本肢では、「土地を売却すると、土地の
管理義務を免れることになるので」
がこのパターンです。
「~ので、・・・」や「~から・・・」があったら
アヤシイと思ってください。
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