goo blog サービス終了のお知らせ 

五行目の先に

日々の生活の余白に書きとめておきたいこと。

12月15日(月)晴後曇:師走らずとも

2008-12-16 02:35:52 | 仕事
 すっきりと晴れていいお天気だ。空気はきんと冷えてはいるが、風はほとんどない。ただ、研究室に入ったときにスチームの温かさにほっとするあたり、ちょっと汗ばんだりしていた先週とは明らかに違う。

 今週はYMを飲んでスタートする。冷めないうちにくっくっ、と飲んで仕事を始める。3コマの授業の配付資料を印刷しに行こうとすると、リソグラフのインクが切れている。しかも補充のインクもなくなっていた。1階の事務室まで取りに行く。どうも最近学生さんがリソグラフをコピー代わりに乱用しているようだ。夜遅くにコピーを取りに行ったりすると、某運動部の練習スケジュール表なんかの印刷ミスの紙が捨てられたりしているもんな。こういった証拠の隠滅くらいはしてもらいたいもんだ。

 ただこっそり使用するだけならまだいいが(それとてよくはないのだが)、紙を詰まらせたり、マスターを変な風にセットしたまま放置したりするものだからどうもよろしくない。こういった無責任な使用がやがて自らの首を絞める(そもそも絞められる首自体があるはずないのだが)ことにつながることは自覚すべきだろう。

 午前中は他の先生への仕事の依頼のメール文面を作成する。具体的には社会調査士の科目申請に関わる書類作成の依頼。それぞれの授業のご担当の先生方にお送りする。今週末には申請を行わねばならない。幸い比較的早くファイルは揃いそうだ。

 3コマの「地域生活調査方法論」は、今日から3回にわたって社会調査の手順について説明する。初回の今日は調査実施の必要性の有無と一連の流れについて講義する。終わりの25分ほどを使い、これから1月の末までに各グループが実施する調査についての打ち合わせをしてもらう。

 割とすんなりテーマが決まったところ、テーマよりも先にアルバイトや部活や帰省のスケジュールを出し合って調整を図っているところ、様々だが、自らテーマを設定して、ある程度形を整えた調査を行って(時間の都合上、サンプリングなどは捨象せざるをえないが)、プレゼンテーションを作るところまでもっていけるか。僕にとっても過去の経験のないところで授業をやっているので、結構手探りの部分もある。とにかく、やるだけやってみよう。

 ここからは事務仕事一辺倒。僕自身が担当する社会調査士科目の内容チェックをし、その後で来年度の新入生に配布する『学習案内』に新たに加える社会調査士資格の案内の文面を考える。こういった文面の作成は正直いって苦手だ。このブログを読んでくださっている方ならおわかりかと思うが、僕の書く文章は冗漫で、ぴぴっと説明するようなものには向かない。どうしてもくどくなるのである。とはいえ僕以外に書く者はいないので、あーだこーだと頭を悩ませながら書く。

 今週末から来週頭にかけて作成・チェックしなければならない大きな書類が4つほどある。そのどれもが提出を怠ったり、不備があったりすると頭を下げなければならない性質のものである。それらを全部終えることができれば、ようやく年の瀬という感覚になれるのだと思う。それまではとても1年の終わりという感じがしない。追いかけられているのはデスクワークばかりで、ちっとも走ったりはしないのだが、それでも忙殺されているという実感は、確かにあるのだ。

 夕食を食べ損ねてしまったが、家に帰れば何かあるだろう、と11時に研究室を出る。さすがに寒い。耳が痛い。帽子に付いている耳覆いでカバーする。直接空気に触れている部分で、最も敏感に寒さを感知するのは何といっても耳である。帰宅して遅い夕食。インスタントであるにもかかわらず、熱い味噌汁がとてもうまくじられた。

12月4日(木)晴:いざ就職戦線

2008-12-07 00:40:09 | 仕事
 昨夜授業の準備に手間取ったこともあって、いつもより20分ほど遅れて大学に出る。暖かい。少し急ぎ足で研究室に行ったので、額には汗がにじんでいる。とはいえ温かなNo.2は今日も欠かせない。

 3コマの「比較社会学」は「就職する」がテーマ。もともとシラバスのスケジュールには入れていなかったのだが、先週の「働く」の授業へのコメントのなかで、就職活動について言及したものが多かったので、急遽設定したのである。

 映像資料は1991年の映画「就職戦線異状なし」を使った。フジテレビの製作による、マスコミ就職をめぐる作品である。実際に新宿河田町にあったフジテレビ本社と早稲田大学のキャンパスが何度も登場する。今とは違ってあちこち小汚い早稲田のキャンパスが今となっては懐かしい。マスコミ研究会のたまり場として出てくる第一学生会館も今はない。

 バブル期の求人状況がどのようなものであったのか、僕自身も先輩から聞かされた話しがリアリティをもって描かれている。テレビ局各社が入社試験日の探り合いをしたり、食品会社が内定者に他社の試験を受けさせないように温泉旅行に連れ出したり、はたまた金品からマンションまでを贈ったり、と今では信じられないような場面が出てくる。今の学生さんたちには信じられないだろうが、実際にあったエピソードとみて間違いない。

 映画そのものとしても結構楽しめる。織田裕二や的場浩司は若いし、仙道敦子も素敵だ。和久井映見はバブル時代特有のメイクやファッションがちょっとおかしい。それに当時はまだ無名だった鶴田真由が女子学生役で出演している。

 僕自身、大学生の時分にこの映画を観ているのだが、僕らの年代が就職活動をするときには、バブル崩壊後の超氷河期になっていて、映画のなかの出来事は過去のファンタジーになっていた。それでも、一応就職協定があった時代なので、マスコミ志望者以外は割とゆったりしたスケジュールで就職活動をしていた。3年生のころから就職活動する、なんていう学生はそれほど多くはなかった。

 結局のところ、就職活動のカオス状態を招き、大学教育を実質2年半にしてしまったのはマスコミの責任である。それが就職協定がなくなるときに、新聞各社はしれっとして「青田買いの懸念」や「大学教育の破壊」を懸念していた記事を書き連ねているのをみて、憤然とした記憶がある。そんなことをやっておいて、大学教育をちゃんとせよ、とはどの面下げて書いてやがるんだ、と思う。

 だから、最近の若者の新聞離れに対する慨嘆(それを「危機」と煽っているのもまた新聞である)を耳にしても、学生さんには「日本の新聞なんて読まんでええ」というようにしている。

 とはいえ、大学側にいる人間としては、できるだけ学生さんの希望がかなうように企業にお願いをし、頭を下げていくしかない。今まさに就職戦線に打って出ようとする諸君の幸運を祈る。

 4コマの「公民演習」は『津軽、近代化のダイナミズム』を引き続き読む。街の盛衰をめぐって、イトーヨーカドーやダイエー、イオンといった大型店の進出の功罪を中心に議論する。

 帰りがけにそのイトーヨーカドーで食料品と『とめはねっ!鈴里高校書道部』というマンガを買って帰る。『とめはねっ!』は、『ヤングサンデー』の休刊で『ビッグコミックスピリッツ』に移ってきた作品で、珍しい書道ものである。なかなか面白いのでコミック本で最初から読んでみることにした。僕自身は書道をやるわけではないが、身近なところに書道があったので、ついつい引き込まれてしまう。ひととおり読んだら実家に持っていって、教室の生徒さんたちにも読ませてあげたいと思う。

 夜になると冷えてきた。週末はどうやら雪になりそうである。

12月1日(月)晴:没頭

2008-12-02 01:31:36 | 仕事
 今日の朝食はホテルを出てすぐ、伏見駅に向かう途中の喫茶店で摂った。ブレンドコーヒー420円でトーストが1枚付いてくる。よっぽどファーストフード店のセットメニューのほうが安いのだが、コーヒーがうまい。しかもおかわり可なので2杯飲む。パンも焼き立てでおいしかったので、追加でシュガートースト(100円)も頼んだ。

 お目当ての資料の貸し出し先に足を運んでみた。明日確実にみられるかを確認するためだ。すると今日一日こちらで閲覧させてくれるとのこと。ありがたい。コピー不可の資料なので最初はレポート用紙に書き写していた。だがこれではスピードが一向に上がらない。パソコンを持参していたので、利用の可否をきいてみたら、こちらもOKしてもらった。おかげで作業能率がぐっと上がる。写真複写をしても、いずれデータ入力をしなければならないのだ。入力しながら資料の内容をきっちり読み込むので一石二鳥だ。

 それでも時間の制約はいかんともしがたい。3日かけてやろうと思っていた仕事なのだ。トイレに立つ以外はずっとキーボードを叩き続ける。幸い資料館を訪れる一は少なくて、周囲に迷惑をかけることはほとんどなかった。

 昼休みを10分だけ取ることにした。資料館のレストランに行ってみる。きしめんを頼み、ふうふう冷ましながら食べた。食べ終えるとすぐに席に戻って入力し続ける。閉館時刻ぎりぎりまで作業させてもらった。資料館のほうでは、明日の朝からの閲覧に備えて返却してくれるとのこと。何から何まで便宜を図ってもらって、深々と頭を下げて辞する。

 夕方の鶴舞公園を散歩する。ここの噴水塔や名古屋市公会堂といった近代建築もとても好きだ。とくに噴水塔はライトアップされた姿が夕暮れ時によく映える。

 地下鉄を乗り継いで、星ヶ丘へ。駅前の三越百貨店のなかにある、三越映画劇場に行く。観逃してしまった「アフタースクール」をここで観ることができるのだ。映画サービスデーで1,000円で観る。座席数68の、ミニシアター然とした小さな映画館だ。でもとても好ましい雰囲気。お客さんも10数人いる。

 中学校教師の神野(大泉洋)、同級生の木村夫妻(堺雅人と常盤貴子)、そして同じく同級生(を名乗る)探偵の北沢(佐々木蔵之介)の4人が物語の中心。木村(堺)の秘密と失踪から、それぞれの平凡な日常が大きく変化していくのだが…。

 途中までは退屈した。うーん、この作品のどこが面白いのか、と思っていたが、後半に入るとぐんぐんと引き込まれていった。最初はちょっと現実にありえそうかも、と思っていたのが、どんどんと滅茶苦茶な方向に進んでいく。われわれが持っている、ある種の思い込みを巧みに突いて、おおっ、と思わせる。いや~やられた。最後までみると実に面白かった。

 個人的には、神野の持つ、2つの表情が印象に残った。一面においては生徒の兄貴のような教師であり、それでいてもう一面ではきわめて冷淡な部分をもっている。教室から出て行く北沢に投げかけるひとことは、よくぞいった、と拍手したくなる。世間的には「失格」といわれても仕方のない教師像である。オンとオフの二面性を許容するほど、現代社会は寛容ではない。そしてこんな先生は、うちからは絶対に輩出されることはないであろう。

 ホテルに戻る前に、栄で下車して、灯りのチカチカする街をあてもなくぶらぶらする。少し風が冷たいが、それがかえって気持ちいい。帰って眠るのがもったいないくらい。ずっとこうして歩き続けていたい。

11月28日(金)雨後晴:没年調べ

2008-11-30 02:26:32 | 仕事
 6時半起床。今日は午前中の検査の関係で朝食を摂ることができない。ただし水分はOKということだったので、「Yellow Matador」を飲む。お腹が空いているところにすっきりと浸み込むような感じ。おかげで気分もよくなった。

 ホテルの外に出ると雨が降っている。しかも結構な降りだ。幸い駅はすぐ近くだったので、さほど濡れずに済んだ。東京駅のコインロッカーに大きな荷物を放り込んでから病院に行く。

 ここを訪れるのは1年ぶりである。受付開始より前に着いたので、受付機の前には長い列ができていた。採血をして安全性を確認してからCT検査を受ける。検査結果を受けての診察まで時間があったので、ここで朝食を食べることにした。病院の外に行こうとしたら、いつのまにか院内にTULLY'S COFFEEができていた。もともとレストランやらコンビニは整っていたが、こんなのまでできたのか。コーヒーとサンドイッチを買い、近くのイスで食べる。

 診察の結果、2年前に切除手術を受けた部位の再発の可能性はきわめて低いとのことで、定期的に通うのは今日で終わりということになった。実家の近くの病院で診察を受けてから、手術の執刀をし、そしてアフターケアまで面倒をみてくださったB先生とはひとまずお別れである。素晴らしい先生なだけに、お会いできなくなるのはちょっと寂しかったりもする。

 予想よりも早く検査と診察が終わったので、用務先へはバスで向かうことにした。国際展示場駅前から「門19系統(門前仲町行き)」の都営バスで豊洲に行き、「業10系統(新橋行き)」「東12系統(晴海埠頭行き)」と乗り継いで晴海埠頭へ。厚い雲が張り出したどんよりとした空の下の海を眺める。

 踵を返すと、広い空き地に2016年の「オリンピックスタジアム予定地」の看板がみえる。

 「都05系統(東京駅南口行き)」に乗り、有楽町駅前で下車。昼食と食後のコーヒー(例によって「カフェカプシーオ トーア」で)を済ませたころにはすっかり空が晴れてきた。日比谷公園の脇を歩いて内幸町のバス停へ。市政会館の建物の堂々たる姿に見入る。

 「橋63系統(小滝橋車庫行き)」に乗って国会議事堂前で下車。国会図書館に入る。辺りは紅葉が美しい。

 閲覧・複写をする資料は予めピックアップしてあったので、すぐに請求手続きを取り、貸し出しカウンターの前で資料の到着を待つ。待っている間の時間をどう使うのか(だいたい20ないし30分くらいかかる)もここでの資料収集のポイントのひとつ。とりあえず最初のものが出てくるまでは小説なんかを読んだり、別の資料の検索をしてひたすら待つ。

 僕の場合、資料を受け取ったら、それが紙媒体の場合、ほとんど読むことはなくすぐに複写申し込み用紙を作成して、複写カウンターに持っていく。いちいち内容を吟味している時間がもったいないのだ。コピーができあがるまでの間、マイクロ資料室でマイクロフィッシュを読む。

 コピーやマイクロフィッシュの焼き付けは、本来著作権法の制約を受けるのだが、歴史資料の場合は制約はかなりゆるやかになる。原則は組織が発行している資料(たとえば東京市役所など)なら、公表・刊行後50年が経過すれば制約はない。一方、個人による著書は著者の死後50年が経過していなければならない。つまり同じ1930年刊行の資料でも、官公庁などが出しているものは全複写が可、個人名の著者がいる場合には、その人が1958年までに亡くなっている必要がある。

 わざわざ遠出をして複写するわけだから、できるだけ全複写したい。でも司書さんたちはきっちりチェックされるので、こちらとしても著者が何年に死亡したのかを示さなければならない。OPACでわかることもあるが、わからない場合は冊子などで調べる。明らかにできなければ「存命」扱いになってしまう。気分のいいことではないが、重要な作業なのだ。

 その点、今日はきっちり欲しいものを全複写で入手することができた。図書館の外に出ると、ライトアップされた国会議事堂がくっきりと浮かび上がっている。

 「橋63系統(小滝橋車庫行き)」で大久保通りまで乗り、そこから「早77系統(新宿駅西口)」で歌舞伎町で下車。西武新宿駅へ。久しぶりに西武線に乗る。西武線=黄色い電車だったのが、新しいコーポレートカラーに基づいた電車は青が基調である。あれこれ変化しているようだが、地元の最寄りの駅だけは以前と比べて何も変わっていなかった。


11月26日(水)晴:理想の仕事

2008-11-27 07:21:29 | 仕事
 ほぼいつもどおりに研究室に行く。今日もハーブティー(No.2)を飲む。きっちりとNo.1とNo.2のローテーションを守っている。仙台ではコーヒーをやたらと飲んでしまって、少々胃がお疲れ気味なので、やさしいハーブティー(しかもNo.2は胃弱に効くブレンドになっている)は実にいい。

 正午から講座会議。今日はそれほど他の先生方に迷惑をかけることなく終わることができた。

 4コマのゼミは『社会学』の13章(労働)の前半部分を読む。仕事に何を求めるか、3年生はそろそろ気になる時期になってきている。安定/不安定、単調/複雑、低賃金/高賃金という3つの対立軸を組み合わせて、理想の職業とは何かを考えてみる。僕の現在の職業は、安定(任期なしなので)・複雑(研究・教育以外の仕事にかり出されることが多くなっているので)・低賃金(先日大久保先生に正直に月収を申したが、「いいじゃないか」とはおっしゃらなかったので)といったところか。でもいい仕事だと思っている。天職だと思ってやっている。

 結婚した後の就労のあり方についても議論が展開した。自分はバリバリ働いて、夫に家事をしてもらって、というのがいいという意見が出たので、「僕は養ってもらいたい派です」といったら、みんな沈黙してしまった。そのためにはもうちょっと料理をちゃんとできるようにならなければならない。

 ゼミの後は協同研に出る。附属小中学校の社会科の先生方が提示された、次年度の研究方針についての意見交換。現場のことを知っているわけではないので、観念的なことしかいえないのだが、それでも真剣な議論になる。僕にとっては貴重な勉強の場になっている。

 明日の授業準備を整えてから帰宅する。すぐに車に乗って「花の湯」へ。風呂に入る前は、駐車場を吹き抜ける風が冷たくて仕方がないのだが、存分に温まった後だと実に気持ちいい。外気温は0℃だが、それほど寒いと感じない。帰宅するなり、着替えをして直ちにベッドに潜り込んだ。

11月25日(火)晴:炎熱教室

2008-11-27 00:32:26 | 仕事
 弘前に戻ってきたら、先日の雪はすっかり融けてなくなっていた。空気は冷たいが、この時期にしては暖かいような気がする。自宅を出て、横断歩道を渡ったところで知り合いの学生さんと会った。固まってやってくる電車組なのである。おしゃべりしながら大学まで歩く。

 今朝もハーブティーを飲む。慌ただしい朝でも、これを飲まないと一日が始まらない。相対的に暖かいとはいえど、やはり冬は冬である。やわらかな香りとともに心も身体も温まる。

 ゼミの3年生がTuesday実習に出かけるのを見送った後、研究室を出る。生協で以下の3冊を購入。
・NHK美の壺『長崎の教会』日本放送出版協会
・飯田道子『ナチスと映画』中公新書
・小林英夫『〈満洲〉の歴史』講談社現代新書

 スコーラムで昼食。朝鮮風焼き肉のランチを食べた後、『ナチスと映画』を読む。映画という新たな宣伝媒体を、ヒトラーとゲッベルスがどのように利用したか、という第Ⅰ部と、戦後の映画がナチスをどのように描いたか、という第Ⅱ部とからなる。いずれも個人的に興味をもっていたテーマだ。

 4コマの「社会学の基礎」は、僕の担当する最後の回。教室に入ると暖房が効きすぎて、ものすごく暑い。今日の出で立ちは長袖のTシャツの上にタートルネックのセーター、それに薄手のジャケットというもので、これでは暑くてたまらない。ジャケットはもちろん、セーターも脱いで、腕まくりをして授業をする。教室も今日は出席を取るだろう、と見込んでか、ほぼ満席である。

 額に汗をにじませながらしゃべった。窓際の学生さんには、窓を開けてはどうか、と勧めてもみたが、どうも開ける様子はない。前方の扉と窓を開いて授業をする。話しの展開はまずまずいい流れで行けたと思う。基礎ゼミの受け持ちクラスにいた学生さんが授業の後で話しかけてくれた。こういうのはとてもうれしい。

 しかし授業の感想を書いてもらうと、必ず数枚何も書かずに提出しているものがある。書くのは面倒くさいが、白紙で出すよりはマシだろう、という考え方なのか、あるいは代返を頼まれて、とりあえず名前だけ書いて出しといてやろうという算段なのか、よくわからないが、少なくとも僕からみれば何も書かないで出すくらいならはなから出さないほうがマシである。白紙で出すというのは、①教員の指示を聞いていない、もしくは②やる気がない、のいずれか、または両方を自らアピールしているようなもので、愚策である。そもそも一生懸命に考えたことをまとめたペーパーと同等に扱われるわけがないのだ。

 教室の外、そして校舎の外に出ると周囲の空気が冷たくなってきて、気持ちがいい。研究室に戻り、仕事をしていると、授業の後の休み時間に感想を書ききれなかった他学部の学生さんがわざわざ届けにきてくれた。こういう人もいるわけだから、ますます白紙組は不利な状況に陥るわけである。

 21世紀教育(いわゆる一般教養科目)の授業は楽しい。やはりいろいろな学部の学生さんが混じっていたほうが、教える側としても伸び伸びとやれる。今まで受け持ってきたのはオムニバスの授業ばかりだったけれど、来年あたり、半期を一人で担当する授業もやってみたくなった。

11月21日(金)曇後雪:遠くて近い「山びこ」

2008-11-23 00:09:04 | 仕事
 いつもより10分ほど早く大学に着いた。研究室に入ってすることは、まずコートを脱ぎ、マフラーと一緒に入口のドアの脇にかけること、そしてポットの電源を入れることである。パソコンの電源を入れ、立ち上がるころにお湯が沸く。

 沸いたらハーブティーを淹れる。今日はNo.2の日。ティーポットにお湯を注いで数分待つ。いい具合になったところでマグカップに注いでいただく。ほんの10分ほどの時間で心と体を温めて、スイッチをオンにする。

 2コマの「社会学演習」では、通常のライフコースものではなく、先日の「比較社会学」でも使った「山びこ学校」を観る。履修者の院生さん2人は現職の先生で、これまでご覧になったことがないとのことだったので、いっぺん観てもらって、どんな風に感じるのかを知りたかったのだ。

 同じ映像でも、先生と学生さんとではやはりみるところが違う。とくに子どもたちの様子(映像のなかの中学生は、現在の小学校低学年のような雰囲気なのだとか)に関しては、僕も感心するほど細かいところまで目配りをされていた。

 「山びこ学校」の実践からすでに半世紀近い時間が経過しているが、現在も無着成恭が行ったような綴り方教育の運動はあるのだそうだ。身の周りのことを文章化していくという営みには、それなりに普遍的な価値があるのだろうが、それでも現代の子どもたちがそうした実践を山元村の子どもたちと同じように受け止めているとは思えない。「山びこ学校」は遠くなったようで、意外と近くにあるのだ、と知った。

 研究室のスチームの効きが今ひとつ。昼食を摂っているときも少し寒いなあ、と話す。でも教室によっては効き過ぎるところもあるらしい。熱いお茶がおいしく感じられる。

 午後に英文購読。1回の分量を少なくして、じっくりゆっくり時間をかけて読む。訳した内容をできるだけ自然な日本語にしていくときに頭をひねる。単純な動詞にうまい訳語が当てられずに、辞書を使って意味を探す。きちんと目標を立ててやるべきなのだろうが、よくよく噛みしめて咀嚼するのも悪くはなかろう。

 夕方になって、明日の推薦入試の試験場設営が始まった。僕も受験生の控室として使用される部屋をチェックしに行く。普段は散らかっている場所だけに気がかりだったが、行ってみるときれいに片づけられていた。

 僕自身のスケジュールを確認してから帰宅する。夜になって雪が降ってきた。そうそう積もりそうにはないけれど、せっかくの試験日はできるだけいいお天気でお願いしたい。
コメント (2)

11月13日(木)晴:制服授業

2008-11-15 00:29:34 | 仕事
 今日も少し冷えるがいい天気だ。だがきっと初雪は急にやってくるのだろう。考えたくはないが、もうすぐそこだ。

 例によってハーブティーを飲む。部屋は十分すぎるほど暖まっているので、窓を開いて冷たい風を入れる。そろそろ八甲田山が美しくみえるはずなのだが、今日はよくみえない。

 3コマの「比較社会学」は、「着る」がテーマ。プリントを手早く配り、おニャン子クラブの「セーラー服を脱がさないで」を流している間に廊下に出て、角帽に学ランを身に着け、その上からマント(オペラ座の怪人変身グッズのもの)を羽織る。これで下駄を履けば完璧なのだが、さすがにこの時期ではムリがある。牛乳瓶の底眼鏡も途中で少しだけ着用した(板書する際に不便なので、すぐに戻してしまったが)。

 衣服の機能と記号としての意味について解説したうえで、制服の意味の変遷を明治から現代に至るまで整理した。今の学生さんたちにとっては、制服廃止運動なんてどうもピンとこないものらしい。僕自身もそんな動きに直面したことはないのだが、小学生くらいのとき、菅原文太と坂上忍が親子を演じていたドラマのなかで、中学校に私服で通学し続けるといったシーンがあったのを覚えている(「中卒東大一直線」とかいうタイトルだったような)。それこそDVDでも出ていれば使いたいところだったのだが。今日は映像は使わず、90分しゃべり通しての授業となった。

 4コマの「公民演習」は、『タテ社会の人間関係』を最後まで読む。ひととおり読んでみると、この本で展開されている理論が、ゼミの人間関係にも適用できるんじゃないか、といった話しになってくる。久しぶりにしっかり読み直してみたが、今でも通じるところが多い。もちろん、部分的には古くなってきているところもある。その辺を腑分けして読めたかどうかがポイントである。

 社会調査士関連の仕事もひと段落ついたので、早めに帰ることにした。帰りがけにインフルエンザの予防接種を受ける。効果が出るのは接種してから2週間くらい後なので、それまでに感染した場合は諦めてくださいね、といわれた。ちょっと不安になる。

 夕食の後、たまっていた疲れが出て、猛烈な睡魔に襲われる。しばらくコタツでうたたねをした後、いったん目を覚ましてベッドに潜り込む。風呂に入らなきゃ、という思いも眠気に負けてしまった。眠る前に確認した、アジアシリーズの結果はライオンズの負け。なんてこったい。今回はテレビ中継がない(CS放送だけのようだ)のがもどかしい。

11月12日(水)晴:へろへろ

2008-11-13 01:11:57 | 仕事
 ここのところ、それなりに寒いものの、穏やかな陽気が続いている。ガソリンスタンドなどでは初雪予想を13日ごろとしていたが、もう少し先になりそうだ。

 今朝もハーブティーを飲んで仕事を開始する。ほっとするようなやさしい香りと、胃がすっきりするさわやかな味が気に入っている。よし、今日もしっかりやろう。

 午前中からお昼にかけて、書類作成の作業の続き。科目担当予定の先生に電話をして内容の確認を取ったりする。分量は少ないのだが、とにかく気を遣う。

 郵便物を1階事務室に取りに行ったついでに、いつものように弁当を買ったのだが、考えてみれば今日くらいはスコーラムにでも行ってのんびりすればよかったと後になって悔やむ。3コマだって空き時間なのだ。研究室でもそもそと食べる。

 ゼミで配布する先週のフィールドノートの取りまとめをし、今日の購読箇所を再読する。それでもゼミの時間までは少々間があったので、生協に出かける。研究費を全然使っていないので、ここぞとばかりに買いたいと思っていた本を買うことにした。買い物カゴをもってきて、値段もろくに確認せずに入れていく。今年度はまともな研究書をほとんど買っていないので、あっという間にカゴがいっぱいになった。納品検収は生協のほうでやってくれることになったので、研究室に戻る。

 4コマのゼミはギデンズ『社会学』の6章「身体の社会学」の前半部分を読む。フーコーの『性の歴史』と優生学に関わる部分が出てきたので、昔取った杵柄とばかりに解説を加える。議論もなかなかいい感じで進んだように思う。

 夕方に会議がひとつ。会議そのものは何の問題もなかったのだが、スチームが効いて、しかも狭い、窓を閉め切った状態なので、頭ばかりが上気して、酸欠状態のようになった。終わってから廊下に出てもくらくらする。参った。

 研究室に戻っても仕事にならないので、しばらくマッサージチェアで横になっていた。落ち着くと今度は強烈にお腹が空いてきた。夕食時まではまだ少々ある。が、結局我慢できずに非常食用のカップ焼きそばに手を出す。

 ようやく落ち着いて仕事に戻る。書類はやっと完成して、チェックする。こうなるといてもたってもいられない性分で、すぐにEX-PACKに入れて封をする。だが近所に投函できる口の大きなポストはない。明日の郵便局まで出しにいかなければ。ついでに明日の授業の準備も済ませておく。少し寝坊しても大丈夫かな。

 10時を回ったところで帰宅。変な時間に食べてしまったので、小さめの寿司のパックを買って帰る。風呂のなかで『昭和史発掘』の朴烈事件の部分を読む。だが、途中でうとうとして本を湯船に落としてしまった。しかもこんな日に限って入浴剤を入れている。ほんのり緑色に染まってしまった。今夜は乾かして、早く休むことにしよう。

11月11日(火)晴:悪戦苦闘

2008-11-12 02:00:18 | 仕事
 朝起きるとひどい寝ぐせがついている。もともとがもともとだから、どうってことないといえばそれまでなのだが、あまりにひどいので、必死に直す。直りきらないが、きりがないので大学に出る。おかげでいつもより少々到着が遅れた。

 おいしいモーニングティーを飲んで仕事を始める。ここ数日、社会調査士資格の科目認定のための書類を作成に追われている。不慣れな仕事ゆえ、なかなか進捗しない。しかし周囲の先生方に協力していただいて、何とか期日までに提出するメドは立った。学生さんの間でどれくらいの需要があるかわからないけれども、やるからにはきちんとした、いい授業を提供したいと思う。

 昼休み前に生協に行き、頼んでいた『あの日、玉電があった』(東急エージェンシー)と一緒に、小熊英二・姜尚中編『在日一世の記憶』(集英社新書)を買う。新書にしてはかなり分厚い。なにせ1,600円だ。パラパラとめくってみたが、これだけインテンシブなライフヒストリーが新書で読めるというのはありがたい。

 昼食(生協の出店の牛丼とサラダ)を挟んで、再び書類と格闘。そうこうするうちに時計は2時を回っていた。慌てて支度をして、総合教育棟へ。

 今日から3週にわたって「社会学の基礎」を受け持つ。初回はビデオをみせることになっていて、NHKスペシャル「シリーズ明治」のなかの「ゆとりか学力か」を選んだ。前期は岸部シローのナレーションによる「不都合な日本の真実」が不評だったからなあ。今回はビデオ授業と自分の受け持ちの授業とが連続しているので、我田引水的なチョイスができた。

 半分くらいまで教室の前方の壁際でスクリーンを眺め、後半になったところで最後列のベンチに腰掛けてみた。後ろの出入り口では学生さんたちが出たり入ったりしている。静かに出入りしているからさして問題はないのだが、映像も終わろうというときになってそろりと入り込んできた学生さんと不意に目があった。するとその学生さんはドアを閉めて帰っていってしまった。別に途中からでも出てもらってかまわなかったのに。怒られると思ったのだろうか。まあ遅刻するのはよくないことだけれども。

 ビデオをみてのミニ課題レポートを回収して、大急ぎで教育学部に戻る。4時からはサポーター実習の省察検討会。息を切らしながら冒頭の司会を務めた。

 研究室に戻ると、暖房のせいか、頭がカーッとして、少しくらくらする。しばし休憩。落ち着くと再び書類に向かう。締め切りから逆算して、明後日の午後に郵便局に持っていけば間に合いそうだ。何とか明日一日でケリをつけたい。

 午前0時近くに帰宅して、風呂で『昭和史発掘1』を読む。ようやく石田検事の怪死の部分を読み終えた。清張さんの推理がどこまで当たっているのか、今では確かめようもないが、かなりいい線を突いているような印象は持つ。ついつい没頭してしまうので、追い炊き機能のついていない自宅の風呂だと、最後のほうはお湯がぬるくなってしまって、ちょっとよろしくない。

11月7日(金)曇:4分の1

2008-11-09 12:04:01 | 仕事
 昨日のうちに今日の2コマの「社会学特論」の授業の準備を済ませておいたので、いつもと同じく10時ちょっと過ぎに研究室に着く。先に来ていたゼミ生と挨拶がてら少し雑談して、気持ちを切り替える。プロジェクターとスクリーンを準備すると、大学院生の2人がやってきた。

 今回のテーマは「若者が自立するとき」。「タナカヒロシのすべて」を素材にして、パラサイトシングルの若者(といっても映画の主人公田中宏は32歳の設定)が自立する契機を読み解くというのがお題。まあそんなことは後づけみたいなもので、とにかく大好きな鳥肌中将をみてもらおうというのがねらいだった。全編通しで観るのがよいのだが、残念ながら50分ほどに短縮。

 僕としては、半分は笑って観てもらえるB級映画のつもりでチョイスしたのだが、意に反して受講生のお一人は泣いてしまっている。主人公の境遇をかわいそうに思ったそうなのだが、いやあ、これは想定外だった。それだけ中将が迫真の演技をみせていたということなのだろう。授業の後で、中将の公式HPをみせたら、さすがに引いていたようだったが。

 院生さんと入れ替わるようにゼミ生がやってきて、昼食。持ってきてくれた豆茶をいただく。香ばしくておいしい。

 生協で注文した林順信編著『世田谷のちんちん電車』(大正出版)を受け取る。実家にも1冊あるのだが、そちらはずいぶん読んでボロボロになっていたので、もう1冊買うことにした。この手の本にしては珍しい3刷である。それだけよくできた本ということだろう。その後JTBキャンブックスから同編著『玉電の走った街今昔』という本が出ているが、内容的には『世田谷のちんちん電車』のほうがいいと思う。ついでに『日産名車コレクション』の2(サニー)と3(プリンススカイライン)を購入。後者は僕の父にとってかなり思い入れのある車のようだ。

 夕方から研究会に出る。今日までが文献の紹介・報告で、次回からは各自が研究内容の報告をすることになった。僕は早めのスケジュールを組んでもらって、来年1月に報告をする予定。将来的な目標が設定されているので、脱落すると他の3人の先生方に相当な迷惑がかかる。4分の1の役割だが、欠けてはならないポジションなので、プレッシャーもあり、また楽しくもある。

 鍛冶町の「ル・コショネ」で夕食。どれもおいしかったが、とりわけパスタの絶妙の茹で加減が素晴らしかった。おいしい食事を摂りながら、今後に向けての気勢をあげる。しっかりやらなければ。

11月5日(水)晴時々雨:人間観察

2008-11-06 00:43:57 | 仕事
 いいお天気だ。それに風もなく穏やか。車で大学に出る。研究室に着いたところでゼミ生と会う。少し雑談してから仕事を始める。

 お昼前にねんきん特別便への回答と保険料控除の書類を事務方に提出する。この手の書類を作るのは初めてではないが、いつもどこかしらミスをする。慣れるというところまで至らない。

 昼食はゼミ生と食べる。丸田祥三さんの本を引き合いに出して、しばし写真の話し。丸田さんの写真には、『鉄道廃線跡を歩く』シリーズで使われたものなど、強く引きつけられるものがあったが、最近は往時の勢いがないようにも感じられる。写真に添えられた語りが、写真をみる側の自由な想像力を削ぐようなところもあった。いや、個人的に好きな写真家の一人ではあるのですが。

 4コマのゼミは、フィールドワークに出る。時期的にも、外に出て観察をするのは今日が限度だろうということで、5コマの時間も使って大学の外に行ってみることにした。

 最初の観察地点は弘前公園。今は「弘前城菊と紅葉まつり」をやっている。平日の昼間なので、どれほどの人出があるかわからないが、行楽に訪れる人々の特徴をできるだけ微細に記録しよう、ということで各自が思い思いの場所に散らばる。

 本来ならフィールドノートを用意するべきところなのだが、寒いし、メモを取るにもどうも人目につきそうなので、携帯電話のメール機能を使用することにした。彼女たちなら入力も早いし、端からみればメールを打っているようにしかみえない。しかもそのまま僕のメールアドレスに送れるので、利便性は高い。

 25分ほど、時間を決めてあれこれ記述してみる。僕もベンチに腰掛けて、紅葉を愛でる夫婦や、中年女性のグループの服装、振る舞いなどを記録していった。2年生の3人は、僕からみえるところで一生懸命に観察し、記録している。それなりに楽しんでくれているようだ。

 雨も落ちてきたので、今度はファミレスに移動。ここでも引き続き観察を行う。ドリンクバーとデザートを注文し、雑談をしているフリをしながら、エリアを分担して観察する。周りからみれば、せっかくファミレスに来ているのに、5人が5人とも一心にメールを打っていて、会話が少ない集団に、いささかの奇異を感じたかもしれない。実際、こちらがちらちらとみるものだから、相手のほうもわれわれを凝視するような場面もあった。

 こちらは1時間ほどで終了。弘前公園とは異なり、対象が頻繁に移動するわけではないので、結構詳細な記録ができたようである。フィールドノートはそのまま僕宛にメール送信してもらった。この辺も実に便利である。

 大学に戻る車中では、2年生に「よくみて、よく記録するための枠組みを作るためにテキスト(ギデンズ『社会学』)を読んでいるんだよ」といった。この話しにはみんな納得してくれたようだった。そうでなければ、普段のゼミがいささか退屈で、しんどいだけのものになってしまう。その点でもいい機会をもてた。もっと早くにやってみればよかったのかもしれないが。

 日本シリーズ第4戦は、とにかく岸投手の見事なピッチングに尽きた。昨日の鬱憤も快投で吹き飛んだ。この勢いで明日も行ってもらいたい。明日が大一番になりそうな気がする。

10月31日(金)曇後雨:F研発表

2008-11-01 15:46:43 | 仕事
 1週間のなかで唯一の午前中の授業である「社会学特論」は、受講生の都合で今日だけ午後の3コマに変更になった。そんなこともあって、ゆっくりと大学に出る。でもバックパックを背負ったまま、生協の出店で弁当を買うというのは少々バツが悪い。まさに今出てきました、という感ありありだ。

 今日も研究室で弁当を食べる。ゼミ生が持ってきてくれた「綺羅」というデュオのCDをかける。童謡や唱歌といった聴き慣れた曲が中心なのだが、アレンジが美しく、またヴォーカルの広谷順子さんの歌声が実に聴き心地がいい。

 巡見で乗った都電荒川線のことが話題になる。林順信さんの『都電が走った町今昔』(JTBキャンブックス)を読んでもらった後で、今度は同じ林さんの『玉電が走った町今昔』を勧める。本当はこちらも乗ってみたかったのだが、時間に余裕がなかった。僕個人の好みとしては、車両も沿線風景も荒川線より世田谷線なのである。

 3コマの大学院「社会学特論」は、成瀬巳喜男監督作品「めし」を観る。キーワードは「女性の幸せ」。1951年という時代背景のなかですでに、サラリーマンの夫と専業主婦という新しい家族のあり方に疑問を感じ、生き方を模索しようとする姿が表れていたことを考えてもらうために選んだ素材。ストーリーもさることながら、原節子の美しさが際立つ。小林桂樹が若いのにもびっくりする(当たり前だ)。それと上原謙については、どうしても晩年のエピソードに話しが向いてしまう。いかんいかん。

 4コマの時間にF研報告のパワーポイントのチェック。多少時間に余裕があるのを確認して、スライドを3,4枚付け加える。1時間くらいはしゃべれる内容になった。

 今日のF研は珍しい教育学部での開催。教育学部所属の僕が報告者だからそうなったのだが、冷たい雨が降る中ご足労いただくのは少々心苦しかった。ファンヒーターを持ち込んでみたものの、あまり温度は上がらない。

 初めてのパワーポイントを使っての報告です、といったら、「じゃあアニメーションとか凝ってるんでしょう」と返された。図星である。まあ初心者にありがち、いうことで。

 報告に関しては、手持ちの材料で話したいことは話せたとは思う。ただ、インタビューそのものの詰めが甘いということ、それと本来の調査目的(学生の調査実習)とは違うところに研究をもっていこうとしているので、その辺のズレのようなものが露呈してしまったように思う。

 とはいえ、先生方からは有益なコメントをいただくことができた。さすがに長年にわたって津軽のフィールドワークをされてきた方々だけあって、この地域ではこうだった、こんな話しを聞いたことがあるよ、といったことを多々ご教示いただいた。僕のほうで、割と単純化していた視点についても、もう少し細かく精緻に捉えていく必要性とか、とにかく勉強になった。

 先生方からみれば、大学院生や学部生レベルの報告だったかもしれないが、何せ津軽のフィールドワークということでいえば、僕は初心者中の初心者である。不出来を恥じるというよりは、何でも貪欲に吸収させてもらうつもりでやっていこうと思っている。

 デキはともかくとして、当面の目標だった報告が終わってひと安心。できればこの緊張感を持続して研究のほうもやっていけるように。

 「健康温泉桃太郎」で湯に浸かる。寒くなっていくこの時期、温泉が何よりの極楽である。

10月30日(木)曇:「フレー、フレー、努力!」

2008-11-01 15:14:10 | 仕事
 いつもの時間に自宅を出る。今日は歩き。研究室に着くなりファンヒーターのスイッチを入れる。ほどなくしてゼミ生が顔を出す。寒そうだ。熱いお茶を淹れて一緒に飲む。いつまでも寒いとはいってられない。仕事開始。

 午前中は授業の準備。今日の授業で使う映像は、これまでのDVDと違ってVHSなので、チャプターごとにスキップするなんてことができない。流す時間を気にしながら、ノートに手を入れる。

 昼休みにゼミ生がやってくる。が、どうも元気がない。体調を崩しているようだ。疲れもあるし、加えてこの寒さだ。早く帰宅するよう勧めたが、授業があって帰れないそうだ。僕からすれば、授業の2つや3つ休んだってどうってことなかろう、体調不良を責めるような了見の狭い先生など、うちの学部にはいないし、と思うのだが、やはり出席しないと気が済まないらしい。授業に行っている間、部屋で休むようにいって教室に向かう。

 3コマの「比較社会学」は、「学ぶ」の続き。前回は「山びこ学校」を観たが、今回は1960年代以降の受験競争の様子を伝える映像を観てもらう。

 ハチマキを締めた小学生が、塾の先生にビンタを張られている光景なんてのは、まさに僕が経験してきた受験勉強そのものである。映像のなかに出てくる「フレー、フレー、努力!」なんていうシュプレヒコールなぞ、今思うとどれほどの意義や効果があったのか、わけがわからん。僕の通っていた塾では、杉並公会堂に集められて、早稲田と慶應の応援団の学生が応援合戦をやっていたのをみせられた記憶がある。今思うと両校の応援団にとってはいいアルバイトだったのだろう。

 学生さんたちはかなり引いていたようだったが、今から思うととても懐かしい。

 ノートの内容を削った分、みんなで受験競争の思い出とか、映像を観た感想をしゃべってみる。10人しかいない授業だから、こういう気楽な討論がやりやすい。塾に通ったことがある、という人がほとんどだったが、それでも僕のような塾経験というのは、やはり隔世の感があるようだ。

 4コマの「公民演習」は、文献購読の予定だったが、受講生の体調不良でやめることにした。休止にすることも考えたのだが、まだ帰るわけにはいかないという。結局、先日大学院の授業で使った「私は二歳」を観ることにした。少しばかり感想でも話そうか、といったが、話す気力もなさそうだったので、おしまいにした。

 劇団プランクスターのメンバーが研究室にやってくる。新作のポスターをもってきてくれた。目下鋭意稽古を進めているとのこと。今回は社会派の作品だそうで、とても楽しみだ。僕はご招待ということでチケットを頂戴してしまったが、その他に数枚チケットを買う。旗揚げ公演とは違い、今度はちゃんとしたホールを使っての舞台だ。たくさんお客さんが来るといい。

 出がけに炊飯器をセットしてきたので、今日は自宅で夕食を摂ることにする。すっかり暗くなった道を歩いて、イトーヨーカドーで総菜を買って帰宅。食べ終わって少ししてから、再び研究室に戻り、明日の授業の準備、それから夕方のF研の報告の準備をする。山田野調査の内容を、僕の研究関心に沿ってアレンジして報告する予定。これまで僕の個人発表でパワーポイントを使用したことはない。だから今回の報告が初めての機会ということになる。優しくも厳しい先生方の前で、ちゃんと発表できるかどうか、緊張もし、それ以上に楽しみでもある。

10月20日(月)晴:電子申請

2008-10-21 02:18:09 | 仕事
 昨夜少々夜更かしをしたので、目覚まし時計の時刻を1時間遅らせて10時に起きる。気分的に歩くのがよろしかろう、と思って歩きで大学に出る。

 研究室に着くと、昨夜作成した科研費の申請書のファイルを開く。が、なぜかこれまでほとんどトラブルのなかったパソコンが、立て続けにフリーズする。何とか大事なファイルを外付けのHDに避難させて、起動し直す。どうやら大丈夫そうだ。プリントアウトして読む。

 僕の場合、自分で書いたものは紙に打ち出して読まないと、やたらとミスやおかしなところを見落としてしまう。どれだけディスプレイがみやすくなっても、最終的には紙に頼らざるを得ない。実際、読み直してみるとおかしなところだらけだ。これは午後にきちんと修正をしなければならないな。

 生協で注文しておいた「東京本」を数冊受け取る。午前中から研究室で作業していたゼミ生と、お弁当を食べながらちょこちょこ拾い読みをして、巡見に役立ちそうなところがないか探してみる。ゼミ生のほうでもあれこれリサーチしているようで、そちらからの情報にも耳を傾ける。

 3コマの「地域生活調査方法論」は、社会調査の歴史について話す。といっても1回しか時間を割けないので、実に大ざっぱな流れだけを扱う。60分の講義のなかで、エンゲルスからブースとラウントリ、そしてシカゴ学派からラザースフェルド、マートンまでの話しをする。貧困から始まる都市問題に対する研究者の熱をうまく伝えられただろうか。残りの30分は、グループ討論の時間。現代日本の貧困調査を自分たちで行うとしたら、どのような定義をし、どのような場所で、どのような方法を用いて調査をするか話し合ってもらった。もちろん初回なので、きちんとした答えなど用意できなくてもいい。約40人を9つのグループに分けたので、巡回して回るのは大変だけれども、早くに打ち解けて、割といい議論が展開されていたように思う。

 4コマのオフィス・アワーの時間は、ゼミの所属希望届に押印をし、一緒に来た学生さんにはゼミの概要を話す。やりたいことがないので、社会学なら何でもできそう、といった話しを持ってこられることが多いのだが、社会学には社会学なりの狭さというか、焦点の絞り方があるので、といった説明をすると、ちょっとがっかりされてしまう。でも誇大宣伝を打つわけにもいかないので。

 作成した科研費の申請書を、電子申請を使って提出しようとしたら、どうもアクセスが集中しているらしく、サーバがダウンしてしまっているようだった。提出期限は今日までなので、一応事務の方に断りを入れに行く。すると午後2時からつながらない状態が続いているとのこと。明日まで待ってもらえるらしい。ならばもう少し手直しもできようか。便利は便利だが、ひととおり情報を入力して、「次へ」ボタンを押した途端に落ちてしまうというのの繰り返しには参った。

 さすがに観念して、しばらく待つことにした。タイミングよくゼミ生が研究室に立ち寄ったので、コーヒーを淹れて飲む。ゼミの新入生が増えたことと、今日は真面目な説明をしたことを、ちょっと誇らしげに話す。とりあえず1人ではなく、2人になってよかった。

 自宅に帰り、若干の手直しをしたうえで申請をする。さすがに混雑状況は緩和されたようだ。ちょっとした解放感。

 食料品を補充して、それなりにバランスの取れた食事を摂ってほっとする。今日の授業のグループ討論で、「貧困」の定義(条件)を、「三食きちんと食べられない」としていたところがあったが、それなら先の週末の僕なんて完全にあてはまってしまうなあ。