たいよう合同事務所

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相続Q&A その20 死んだ親に、家族に内緒の借金があった場合

2014年06月25日 | 諸々
たいよう合同事務所 所長の渋瀬 清治です。 2014.6.25

田舎では、相続財産に含まれる土地、建物を
相続したがらない相続人がいますが、
借金は、相続したくない相続財産の一つですね。

今日は、借金を残して、亡くなった場合の話です。
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Q20=家族に内緒の借金があった!

 A=相続の対象には、「借金」も含まれます。

   したがって、万が一、
   借金を返し終る前に死んでしまったら、

   相続人である「夫又は妻」や「子供」らが、
   借金をかぶることになります。


   もちろん第七回目にお話しました「相続放棄」の手続をすれば、
   相続人が借金をかぶることはありません。


   でも、相続放棄の手続には、
  「相続開始を知ったとき
   = 通常は死んだとき 
   から三か月以内に行わなければならない」
   と云う大原則があります。


   他方、「内緒」ということは、
   夫・妻・子供らは、借金の存在自体を知らないってことです。


   さらに商売をしていた人が
  「頼まれて、他人の借金の連帯保証人になっていた」場合、
   頼んだ人が、「借金」を返済していれば、当然問題は起きないですが、

   借金を残したまま、死んでしまっていたとしても、
   つきあいのなかった相続人は知るよしもなく
   死んでから半年、1年たってから、お金を貸した人から
   連帯保証人の相続人なのだから、借金を返してくれ
   と連絡が入ることもあり得ます。


   親や兄弟に商売をしている人がいた場合は
   特に、情に流されて連帯保証人になっていることもありますので
   資金繰りが順調だったかどうか、
   3ヶ月以内に、調べてみる必要があります。


   また、連帯保証人になったという書類は、
   死んだ人の家財道具を整理しても出てこないでしょう。

   そして四十九日が過ぎて、ホットしている内に、三か月が過ぎてしまい、
   その結果、夫・妻・子供らが借金をかぶらざるを得なくなる
   ということも起こりえるのです。


   事業を経営していた人の相続人は、すぐにはわからない
   隠れ借金ともいえる「連帯保証人」の可能性も
   疑ってみる必要がありますね。

民間の地位保全の仮処分  公の執行停止の申し立て

2014年06月20日 | 諸々
たいよう合同事務所 所長の渋瀬 清治です。2014.6.20

弁護士のブログによれば、
労働事件に伴う、賃金仮払いの仮処分は出ても、地位保全の仮処分は
東京地裁では出ないとのこと。
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さて、
最近あった調査依頼の件に関連して
公に関する「地位保全」類似の制度を調べてみると、

地方公共団体の処分について
①審決の申請
②処分取消の訴え

どちらを取るにしても、
民間の「地位保全」に類似する
公の処分の執行停止は

①重大な損害
②緊急の必要
がある場合でないと
決定されないとのこと。
(行政不服審査法、
 行政事件訴訟法)

つまり、処分の執行なりが
続行している中で
① 審決の申請なり
② 取消の訴えなり
をすることになる仕組みに
なっていました。

日頃扱わない法律分野ですので
少し熱心に調べてみたのでした。

相続Q&A その19 夫の親を介護した場合に・・・相続人に入るのか?

2014年06月20日 | 諸々
たいよう合同事務所 所長の渋瀬 清治です。2014.6.20

財産の名義人は、男性であることが多いのですが、
その男性を、男性の妻でもなく、子供でもなく
他人である子供の配偶者(具体的には、子供の妻)が
面倒を見てきた場合には、亡くなって相続が発生した場合、
子供の妻に、割り切れない気持ちが残る場合があります。
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Q19= 長年介護してきた「義父」が、亡くなったのですが…(長男の妻)

 A= 親の介護を「誰が」引き受けるか?は、核家族化が進んでいる現代社会においては難しい問題です。

   そして、現状では、長男、ひいては、長男の妻が引き受けている場合が一番多いと思われます。


   でも、義父の相続において、長男の妻は相続人ではありません。

   ①義父の子供である「夫」並びに「義兄弟姉妹」及び、
   ②義父の妻である「義母」が相続人となります。

   ただ、長年介護してきた長男の妻としては、割り切れない場合もあり得るでしょう。


   義兄弟姉妹らが介護に全く協力してくれなかったのに、相続については口出ししてきたような場合等ですね。

   もちろん、「長男である夫が全て相続する」ということになれば、実際上問題はないでしょう。


   しかし、どうもそれが難しそうな場合には、
   法的対策として、義父の生前、
   義父が、自分の考えをしっかり表明できる間に、

   ①義父と養子縁組をしておく、

   ②自分に財産の一部を渡す内容の遺言を義父に書いておいてもらう、

   等の方法が考えられますよ。


   痴呆状態になってからでは、これらの手は打てませんから。


   

相続Q&A その18 財産の名義人が生死不明の場合

2014年06月15日 | 諸々
たいよう合同事務所 所長の渋瀬 清治でs。 2014.6.15

今日は、相続人のことではなく、
財産の名義人である「相続される人」
=通常は、「親」の立場の人が
生死不明の場合を取り上げます。
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Q18= 長い間、父親が「生死不明」の場合は、どうしたら良いのですか

 A= 相続は「人の死」という事実が発生することによって始まります。

   ところが、長い間「生死不明」の人の場合、
   生死不明=死ではありませんから、相続は始まりません。

   そうすると、生死不明の父親が財産を残している場合、
   たとえ、その妻や子供であっても、
   持ち主である父親に無断で、
   それを「売る」「捨てる」「壊す」
   といったことは出来ないことになります。 

   もっとも、相談に来られる人の中には、
   親の財産=自分の財産 と考えていて、
   勝手に処分するのが、何が悪い!?という人もいます(残念!!)。

   でも、妻や子供の立場として、何らかの事情により、
   父親の財産を整理しなければならない場合がありえますよね。

   そこで、法律は「七年間生死不明」ということを条件の一つとして、
   その人を死んだことにしてしまう制度を認めています。

   これを「失踪宣告」と云います。

   具体的には、家庭裁判所に必要な書類を提出して、
   ほぼ1年かけて、手続きを進めていくことになります。

   家庭裁判所が1年後に失踪宣告をすると、
   その人は死んだことになりますから、相続が始まります。

   失踪宣告も相続開始の原因の一つということですね。

相続Q&A その17 相続させたくない人がいる場合

2014年06月14日 | 諸々
たいよう合同事務所 所長の渋瀬 清治です。2014.6.14

今日の相続の話題は、自分の財産を相続させたくない人がいる場合 の話です。
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Q17=「相続させたくない人」がいるんですけど…。 

 A= 相続人が誰になるか?は、あらかじめ法律で決まっています。

   死んだ人の「夫又は妻」と「子」などといった具合に です。


   でも、事情によっては、
  「長男に相続させたくない!」という場合がありえます。

   では、その長男を相続人から外すにはどうしたらイイのでしょう?

   まず、考えられるのが遺言です。

   例えば、「全財産を次男に相続させる」という遺言をしておく方法です。

   ただ、遺言の場合、
   長男から、第九回目でお話しました「遺留分」の主張が出て裁判を起こされて、
   その分だけ返さなければならない場合もありえます。


   そこで、完全に長男を相続人から外す方法として、もし、
   ①長男から「虐待」や「重大な侮辱」を受けた場合や、
   ②長男に「著しい非行」があった場合
   には裁判所で認められる「廃除」という制度があります。

   現実にはなかなか難しいのですが「家庭裁判所の審判」さえ下りれば、
   完全に、長男を相続人からはずしてしまうことが出来ますよ。

相続Q&A その16 相続人に未成年者がいる場合

2014年06月10日 | 諸々
たいよう合同事務所 所長の渋瀬 清治です。 2014.6.10

今回は、相続手続きをしようとしたときに、
未成年者がいる場合の取り扱いについてです。
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Q16= 相続人に「未成年者」がいるんですが…。

 A=「遺産分割協議」は、相続人全員で、
    相続財産の分け方を話し合うことでした。

    ここで重要なのが、相続人「全員」という部分です。

 即ち、相続人の中に未成年者が居る場合、
    未成年者自身が話し合いに参加することは、
   「法律上無理」とされているために、
    全員が参加することができないことです。


    でも、相続人全員での話し合いでなければダメである以上、
    誰かが代わりに話し合いに参加する必要があります。

    そこで、誰が代わりに話し合いに参加するか?ですが、
    第一順位は「親」です。

    でも、親も「相続人の一人である場合」には、そうはいきません。

    子である未成年者の利益を無視して、
    自分だけに有利な話し合いをしちゃうかもしれませんから…。


 そこで、この場合には、
未成年者の代わりに話し合いに参加する人を
「家庭裁判所」で選んでもらわなければならない、とされているんです。

 要は、話し合うための条件整備だけでも一苦労ということですね。

相続Q&A その15 亡くなった人の預金を引き出すには?

2014年06月05日 | 諸々
たいよう合同事務所 所長の渋瀬 清治です。 2014.6.5

今回は、銀行預金を引き出すには、どんな準備が必要かについて です。
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Q15=「現金」を引き出すには?

 A= 死んだ人に預金があれば、それは相続の対象になります。

   でも、相続人が、預け先である銀行から、
  死んだ人の預金を引き出すことは、結構難しいんです。

   というのは、相続人が、死んだ人の預金を引き出そうとすると、
  銀行は、
  ①預金者が死んだこと、及び、その相続人が誰であるかを証明するための「戸籍」類の提出、
  ②銀行が用意する書面(=相続届)への「相続人全員による実印での押印」、更に、
  ③相続人全員の「印鑑証明書」の提出、等を求めてくるんです。

   要は、元々の預金者とは違う人からの預金引出しの要請である以上、
  銀行としては慎重にならざるを得ないんですね。

   ただ、以前お話しましたように、
  相続人は、原則として、一定の割合=相続分に応じて、権利を持ちます。

   ですから、仮に預金が十万円あれば、
  死んだ人の「妻」は、その半分=五万円の範囲で権利がある、
  即ち、銀行に対しても「単独で」引き出す権利が有る、
  ということになります。

   あくまでも理屈上の話ですけどね。

   実際の金融機関は、
  細かいところでそれぞれ取り扱いが違いますから

  たとえば、葬式費用を預金から払おうとする場合は
  早めに金融機関の窓口に、相談に行くことを
  お勧めします。