K馬日記

映画や美術、小説などの作品鑑賞の感想を徒然なるままに綴っていきます。

トーマス・マッカーシー『スポットライト 世紀のスクープ』

2016年09月14日 | 映画
もうすぐ半期が終わることに驚きを隠せないただけーまです。歳はとりたくないものですね。

鑑賞したのは5月ですが、今回はトーマス・マッカーシー監督の『スポットライト 世紀のスクープ』の所感を記します。



<Story>
2001年の夏、ボストン・グローブ紙に新しい編集局長のマーティ・バロンが着任する。マイアミからやってきたアウトサイダーのバロンは、地元出身の誰もがタブー視するカトリック教会の権威にひるまず、ある神父による性的虐待事件を詳しく掘り下げる方針を打ち出す。その担当を命じられたのは、独自の極秘調査に基づく特集記事欄《スポットライト》を手がける4人の記者たち。デスクのウォルター"ロビー"ロビンソンをリーダーとするチームは、事件の被害者や弁護士らへの地道な取材を積み重ね、大勢の神父が同様の罪を犯しているおぞましい実態と、その背後に教会の隠蔽システムが存在する疑惑を探り当てる。やがて9.11同時多発テロ発生による一時中断を余儀なくされながらも、チームは一丸となって教会の罪を暴くために闘い続けるのだった・・・。(オフィシャルサイトより)


性的な幼児虐待という教会の隠されてきた罪を暴いた事実に基づいた物語。性的虐待を実践した個別の神父を罰しようとするのではなく、教会という組織全体の腐敗を訴えようと奔走し、関係者を追い詰めていく記者の面々は観ていてとても痛快です。



そして、腐敗した教会関係者と悪事に加担する弁護士のイヤラシイ悪意はとても巧妙な演技で魅せてくれるのも魅力のひとつ。物語の題材が良かったのでとても面白く観れました。
印象深かったのは「記事にしない場合の責任は?」という記者レゼンデスの言葉。自由社会は悪事をするのも自由(もちろん、法律による制約はあるが)だし、それを見逃すのも自由、被害を隠すのも自由(被害者への倫理)…それがましてや神権の許での悪事ですから、その見えづらさは嘗てないほどに強いものです。謂わば神の悪事を暴こうという試みなのですから。
そんな状況下でも正義を貫くことの重要性をこの映画は伝えてくれます。最終的に悪事を公表した結果、事務所に多数の被害を告白する電話が鳴るシーンは見事なエンディングでした。



こうした事実ベースの映画はドラマにリアリティがあり、説得力がある分安心感を持って観れますね。ただ、史実をなぞった映画という印象なので、映画館で観て良かったかと問われると他人にはレンタルでオススメしてしまうかも。
最近ケイト・ブランシェットの『ニュースの真相』を観ましたが、そっちの方が個人的には好みでした。


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