K馬日記

映画や美術、小説などの作品鑑賞の感想を徒然なるままに綴っていきます。

【2021年】個人的映画ランキング

2022年01月08日 | 映画
新年あけましておめでとうございます。2021年、あっという間に終わってしまいましたね。初夢ではなぜか弟と一緒に大学の卒業証書を受け取っていました。
昨年のハイライトは……①47都道府県踏破!②10年ぶり吹コン+アンコン、③ドバイ万博訪問、ですかね。

今年の映画鑑賞本数は新旧含めて90本!楽器の練習に忙殺され、自宅待機期間の影響で目標の100本に届かず……無念でした。
毎年恒例新作のベスト10を発表させていただきます。


【第1位】アナザーラウンド (Druk)
トマス・ヴィンターベア監督
製作国:デンマーク
日本公開日:2021年9月3日
人は血中アルコール濃度0.5%においてパフォーマンスが改善するという学説にトライする飲んだくれ中年青春譚。
「青春とは夢であり、愛は夢にある」という冒頭の主題。夢は必ず覚めるもの、友人の死をきっかけに夢から覚めてからのジャズバレエダンスのカッコよさと言ったら!


【第2位】ラストナイト・イン・ソーホー (Last Night in Soho)
エドガー・ライト監督
製作国:イギリス
日本公開日:2021年12月10日
グエルチーノの『サスペリア』を想起させるビューティフルホラー。1960年代のロンドンが孕む光と影の世界を不気味で煌びやかに描く。相反するものを同時に再現する対極主義の妙がここにある。
『ウィッチ』主演のアニャ・テイラー=ジョイ、こんな成長してたのね……


【第3位】ファーザー (The Father)
フローリアン・ゼレール監督
製作国:イギリス
日本公開日:2021年5月14日
認知症の父と介護する娘、という何の捻りもない設定ではあるものの、主体を認知症患者に据えたことで奇妙なサスペンス映画のような体を成した作品。
認知症の問題を主観と客観の不和という切り口で踏み込み、観客に認知症を疑似体験させる手法、そしてそれを可能にしたアンソニー・ホプキンスの演技、見事でした。


【第4位】イン・ザ・ハイツ (In the Heights)
ジョン・チュウ監督
製作国:アメリカ
日本公開日:2021年7月30日
ニューヨークのワシントンハイツに住むドミニカ系ヒスパニックの話。黒人問題を扱う映画は数多くあるがヒスパニックのテーマアップは意外と珍しい?
『ラ・ラ・ランド』以降久しぶりに好みのミュージカル映画に出会えた。音楽も素晴らしいので、ぜひサウンドトラックもお聞きください。


【第5位】羊飼いと風船 (Balloon)
ペマ・ツェテン監督
製作国:中国(チベット)
日本公開日:2021年1月22日
チベットの天才映画監督、ペマ・ツェテンの作品。第20回東京フィルメックスで最優秀作品賞を獲得した作品。中国の同化政策に晒されるチベットの伝統や文化を丁寧に描写した作品。
詳細の感想は記事に書いたので良ければお読みください。


【第6位】騙し絵の牙
吉田大八監督
製作国:日本
日本公開日:2021年3月26日
『紙の月』でファンになった吉田大八監督の新作。高野恵を演じた松岡茉優の演技が素晴らしかった。「後半からひっくり返る」というキャッチコピー通り、話も最後まで結末が読めずいい脚本でした。


【第7位】空白
吉田恵輔監督
製作国:日本
日本公開日:2021年9月23日
『ヒメアノ~ル』『愛しのアイリーン』と衝撃作で印象的な吉田恵輔監督の新作。松坂桃李演じるスーパーの店員の冤罪をきっかけに、メディアの偏向報道や歪な親子愛等様々な問題を提起する。
赦す・赦さないに揺れる人間の心の機微を巧みに描写している。


【第8位】モロッコ、彼女たちの朝 (Adam)
マリヤム・トゥザニ監督
製作国:モロッコ・フランス・ベルギー
日本公開日:2021年8月13日
イスラーム教国家のモロッコ。夫なく身籠ったサミアと夫に先立たれたやもめアブラ、2人のシングルマザーの話。女性であるが故に不遇に見舞われた二人が、徐々に心を通わせていくヒューマンドラマ。絵画のように静謐な画作りが美しい。
観たらモロッコの伝統的なパン「ルジザ」を食べたくなること必至。


第9位】トゥルーノース (The North)
清水ハン栄治監督
製作国:日本・インドネシア
日本公開日:2021年6月4日
北朝鮮の強制収容所から逃亡を図る脱北譚。冒頭、TEDで流暢に英語を話すアジア人の正体、最後見事に裏切られる。
過酷な環境にありつつも空を見上げ、隣人愛を説くクリスチャンの兄妹の姿に胸を打たれる。韓国版キリストの受難か。


【第10位】クルエラ (Cruella)
クレイグ・ギレスピー監督
製作国:アメリカ
日本公開日:2021年5月27日
エマ・ストーンのクルエラがハマり役過ぎる……白黒の髪も似合ってたし、ファッションデザイナーとしてオシャレに衣装を着こなすのも素敵。
観た後にはきっと"Cruella de Vil, Cruella de Vil..."と口ずさみたくなることでしょう……


2021年はこんな感じでした。今年もいい作品に出会えることを願っています。
因みに、映画初めはマーク・ハーマンのブラバン映画『ブラス!』で映画館初めはアメリカ大手化学メーカーデュポンの不正を描いた『ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男』でした。
皆様もぜひ良い映画ライフ、もとい新年をお過ごしくださいませ。


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2 Comments

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Unknown (franny0330)
2022-01-10 13:19:28
こんにちは。
「アナザーラウンド 」が第一位とは驚きました。
マッツ・ミケルセンは好きですが、私にはそれほど印象に残らなかったものですから。
人によって違うものですね。
この中では、「ファーザー」と「モロッコ、彼女たちの朝」が好きでした。
先程「羊飼いと風船」の拙い感想をあげましたので、よろしかったらご笑覧ください。
考えさせられる映画でしたね。
Unknown (tadakeima)
2022-01-10 18:47:07
こんにちは、コメントいただきありがとうございます。言語化するのはなかなか難しいですが、コメディチックながらもずっと鬱屈とした雰囲気だったが故に、最後の卒業パレード×ジャズダンスのシーンが一際輝いて胸に刺さりました。
ファーザーもモロッコも良かったですよね。『ノマドランド』があまり刺さらなかったので、とりわけ『ファーザー』は面白く感じました。『羊飼いと風船』の感想読ませていただきました。ペマ・ツェテン作品には静かな抵抗のメッセージを感じますよね。将来的にウイグル映画が出てきたとしたら近いテイストになりそうです。

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