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[映画] TNG パトレイバー首都決戦 ディレクターズカット

2015-10-14 | 映画
「THE NEXT GENERATION パトレイバー首都決戦 ディレクターズカット」を府中TOHOシネマズにて観て来ました

5月版の感想で、”(シリーズ作品で)8回も劇場に足を運ぶなんて~”ってな事を書きましたが、厳密に言うとオレの場合は五章と七章を2回ずつ、更に5月版もアトモス音源の為に2回目を見た事を数えると今回のDC版で劇場に足を運ぶのが12回目(!)という事になります…w

> パトレイバーのファンは昔から義理堅いというか「自分たちが支えなければ後がない」という
> 使命感があって、だからこそ見に来てくれたし、熱心にモノも買ってくれた。
>


GIGAZAINEの押井監督インタビュー記事からの引用ですが、ええ、まあこういう心理がオレの中にもあったことは否定しません……パンフレットも買って円盤も買って(”欠席裁判” の為に第三章以降ですが)劇場に12回も足を運んで…(^_^;)

だからと言って使命感だけでこんなに付き合えるかというと流石にそれはなくて、オレなりに面白さを見いだせていたからこそであるのは当然です……第一章の公開から1年半、DC版の円盤がまだ来月に控えてますが、最後までメッチャ楽しめたシリーズである事は断言出来ます(o^∀^o)



以下ネタバレ感想:
最後の最後でバンと「GRAY GHOST」とタイトル表示された時はゾクッとしましたねえ!……「パト1」冒頭における、暴走シーンとスタッフクレジットを交互に表示させるセンスを一瞬に凝縮させたかのような演出にシビれましたヽ( ̄▽ ̄)ノ

今回のDC版の何が違ってたのかというと、構成や流れは基本的に5月版と同じで、既存のシーンの尺がそれぞれ伸びてセリフが1.2倍くらいに増えてる~といった印象でした

全く新規のシーンが見られたのは、熱海でのメインキャラおさらい、高畑の映像持ち込み、アジト急襲、そして NO FILE のパズルのシーンくらいだったかな……なので、大幅に印象が変わったというカンジは無かったんですが、細かい部分で物語の背景的な要素にフォローが入ったというカンジですかね

あと章シリーズでの登場人物達の軽快なノリが改めて強調される事で、”あのバカバカしい日常の延長線上に(地続きに)「戦争」が存在している” という劇場版の主題が、より効果的に演出されていたのではないでしょうか

そして全てのキーである ”灰原零” ですが、言及される箇所は確実に増えてるのに、その ”存在感” は更に薄まるという実に不思議な効果を出していましたな

”あいつがどんな人間だったか具体的には覚えていない
 ただあいつはずっと笑っていた気がする”


灰原の同級生たちがこんな証言をしていましたが、劇場版を見た観客もほぼ同じ印象を抱いて劇場を後にしたかと思います

”印象に残っていない(生徒)” とはどういう事なのかなとイロイロと思いを巡らせてみたんですが、特にこれといった才能もなく、内気で引っ込み思案でいつも隅っこの方で目立たない~タイプと灰原は全く違いますよね……女性自衛官で初の戦闘ヘリのパイロットに選ばれる程ですから、尋常でない頭脳と身体能力を誇ることは間違い有りませんし、しかもあの美貌の持ち主なので、周囲の生徒に全然印象に残らないハズは無いと考えるのが普通だと思うんですよ

そうなると考えられるのは、人付き合いが極端に苦手だった(もしくは意図的に忌避していた)ケースか、周囲が ”記憶に残したくない” と欲するような振る舞いだったケースのどちらかなのではなかろうかと…

前者だった場合は特に書く事もありませんが、後者だった場合、意識・無意識に関わらず ”あいつはヤバい奴だから” といったコンセンサスが灰原の周囲で醸成されていたと考えると非常に恐ろしい(気持ち悪い)ですよね(;´Д`)……どうヤバいかについては想像するしかありませんが、灰原は果たして何をして笑っていたのか…?

例えば集団生活に付きモノである ”いじめ” なんかだと、自分が直接的な被害を受けるでもしない限りはほとんどの生徒達は ”忘れようと” するのが普通だったりしますよね……見て見ぬフリ、臭い物には蓋をする心理というやつです(-_-;)

”実害” があったレベルだと下手したら ”事件” 扱いでしょうから、(結果的には)記録にも記憶にも一切残らなかったという現状からその陰湿性が窺い知れて、実際の灰原の行動が何であれ、想像するだけでも不気味な気分ですねえ…



5月版の感想で、もっと一般人の目線が欲しかった~的な感想を書きましたが、ひょっとしてそれも演出意図だったのかなと思ったりしました

こうして(ほぼ)同じ内容の映画を三度も見てると、どうしてもメタい見方を自然としてしまいますが、一般人の描写がほとんど無かった意図として、実際のテロの影響力みたいなのを示唆していたのかもしれません

今回のグレイゴーストが発生させた被害もどうしたって限定的で、オレらはどこか遠くの国で起こった戦争やテロ事件でどれだけの被害が発生しようとピンと来ないというだけでなく、例え同じ国の首都だろうと、すぐ隣の町だろうとやはりピンと来ないっていうのが現代社会の本質なのではないかという主張ですね……そしてそれは、いじめなんかで自分が直接的な被害に遭いさえしなければそのツラさや異常さがピンと来ない(他人事扱い)というのと同質だと(街頭でニュース映像に見入る人々が皆、一様に無表情だったことからも)

テロみたいな大それた事をしでかしても社会的には何の意味もない、影響力もない

効果は極めて限定的で社会に変容なぞもたらさない無力感は、ある意味押井監督を始めとした映画制作者たちの無力感にも通じるのかもしれません……どれだけ高尚なテーマを作品に込めても気づかない人は気づかないし、熱狂的な評価を受けようとも、世界全体からしたらごくごく一部の人間にささやかな認識のズレみたいなのを(一時的にでも)発生させられれば御の字…

5月版の興行収入が残念ながらかなり低調だったのと併せて、ひょっとして(劇中の)一般人の目線の少なさ=観客の少なさを見越してた?~みたいな穿った見方までついついしてしまってましたね(^0^;)



ところでオレがくどくどと書き連ねてた ”しのぶさん首謀者説” についてですが、DC版を見終えた段階の今のオレの ”信憑性” としてはまさに ”五分五分” といった所です

”(決起部隊の)スポンサーはあの国”~といったセリフがDC版で追加されていましたが、劇中で直接的に描写される ”あの国” の要素と言えば、しのぶさんが立っていた ”金網の向こう側” の描写のみである事からして…(以下略


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3 コメント

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Unknown (yasu)
2015-10-14 19:42:49
すいません!まだ見てません><
さておき、映画館かBDかで必ず見届けようと思います。

戦後の日本を真摯に描こうと思ったらアメリカについて
言及しないわけにはいきませんよね。
押井さんはアメリカの影響を匂わせつつも、正義とも
悪とも言い切らない。しかもあまりそちらには踏み込まない気がします。
あくまでも日本人同士が事を構えている…。
いつになったら日本人は自分たちのことを真剣に考えて
行動するのだろうかと。
“しーるず”とかは押井さんが期待しているものとは勿論違うと思いますw

ふと思いついたのですが、日本国民を自立に導く為に
中共と手を結ぶ悪役とか良くないすか?(おいおい)
返信する
Unknown (たばたけ)
2015-10-15 19:08:10
色んなシーンの尺が増えてセリフも増えてる
↑押井監督からしたら、”元の状態に戻しただけ” っていうのが
実際にDC版を観たらよく解ると思う

> 中共と手を結ぶ悪役
春秋戦国時代の奸計そのものだけど、最初は思惑があるつもりでも
いつの間にか散々利用された挙げ句にあっさり斬り捨てられる
末路しか思い浮かばない(^0^;)
返信する
Unknown (yasu)
2015-10-15 19:48:43
元の状態で最初からやれよとは思います…。
押井さんは上を恨んだりしてない様子ですがw

あっさり切り捨てられるのも覚悟の上で、
日本にどでかいインパクトを与えてやろーっつー(^_^;)
架空戦記とかで既にやってそうですけどもw
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