Youtのブログですからぁ!!

日々の生活と時々物語を
載せるブログですからぁ!!
物語へたくそな話ですからぁ!
日々つまらない生活ですからぁ!

Western Quest

2017年08月10日 07時01分34秒 | 小説
第17章 異世界の王

晴斗は六甲山に登っていた。
一人で獣道や道なき道を進む。
ただ単にコンパスを見ながら歩いていた。
草木を掻き分け進む中父の言葉を思い出す。
「晴斗、この場所に異世界へと繋がる空間がある。そこにお前の妖力を注ぐんだ。」
その言葉を聞き一人その先へと向かう。
「本当にんなもんあんのかよ!」
晴斗は苛立ちながらも前進する。
辺りは日が暮れセミやカラスの鳴き声が響く。
そんな中ついに目的地の前の長い石段が見えた。
「ここか!」
晴斗は必死で駆け上がった。
そして辿り着いたのは1つの古びた塔のような物だった。
それは生い茂る草木よりも高く建っている。
晴斗は息を飲み掌を塔に当てた。
「行くぞ!」
大きな掛け声で一斉に妖力を注ぎ込んだ。
夕闇に包まれた山に赤い光が空へと伸びる。
晴斗も全身全霊で妖力を注ぎ込み辺りも赤い光が包む。
そして塔から鳳凰の形をした妖力の光が空へ舞い上がった。
それと同時に晴斗は気を失った。
気付くと誰かが晴斗を揺すっていた。
「大丈夫か!起きろ!しっかりするんだ!」
晴斗は目を開けた。
すると辺りは真っ暗な夜だった。
そこには一人の青年が晴斗を呼んでいた。
黒と赤の軍服にオレンジ色の左右非対称な髪形と唇にピアスをした長身の青年だ。
「俺は…」
「妖力を使い過ぎて疲れたんだろう。」
「何でそれを?」
晴斗は起き上がり聞く。
「周に頼まれたんだ。君の元へ行けと。だが両世界の扉を開くに両側から力を注ぐこと
それが条件だったんだ。そこで君に話が行ったということだ。」
「俺は安倍晴斗。お前は?」
「俺は松田雄哉。異世界の王だ。」
「マジかよ。」
「もうじき夜明けだ。夜が明けたらここを降りよう。」
そして2人は歩き出す。
六甲山を下っている時だった。
目の前に1人の男が現れた。
迷彩服に迷彩柄のヘルメットと機関銃で武装した陸軍軍人風の男だ。
「貴様ら、ここで何をしている!」
「俺たちはただ…」
晴斗は誤解を解こうとする。
「貴様らは上の命令により抹殺する!陰陽師め!」
「お前はまさか!」
「吾輩は妖怪雲外鏡!妖賊百鬼魍魎軍妖怪だ!」
そう言い妖怪に変身する。
その姿は大きな鏡に手足が生えその上の鏡には尖った目と長い舌の生えた怪物だ。
それを見て雄哉は前に出て拳銃で一発攻撃した。
「ぐあ!」
「貴様ごとき俺の敵ではない。3分で片を付けるぞ!」
そう言い前に出る雄哉を晴斗は止める。
「俺がやる!」
そう言い腕輪にボールをセットし変身する。
「妖術陰陽変化!」
変身し剣を片手に向かって行く。
すると雲外鏡は機関銃を乱射し攻撃する。
晴斗は弾丸を切り裂き前に出た。
そして機関銃を持つ手を攻撃し銃を打ち飛ばした。
そのまま雲外鏡の頭に斬撃を命中させた。
「ぐあ!」
雲外鏡は倒れるも起き上がる。
「何てな!」
そう言うと次は晴斗の剣を体の鏡から取り出し更に雄哉の拳銃も取り出した。
「何!」
「吾輩は一度見た武器を召喚出来るのだ!」
雲外鏡はそのまま右手に剣と左手に銃で攻撃に出た。
先ずは剣で斬りかかって来る。
晴斗は避けるも弾丸での攻撃が命中する。
「ぐ!だったら旧鼠!」
旧鼠ボールをセットし晴斗は高速移動に出た。
雲外鏡は目で追うも高速移動する晴斗を視界に捕らえられない。
そして間合いを詰め一気に切りかかった。
体の鏡を割ろうと攻撃する。
そこに雲外鏡は自らの体に光を当て晴斗に放つ。
「う…」
目が暗んだ晴斗に剣で攻撃した。
「吾輩の間合いに入ろうなど百年早い!」
晴斗は倒れるも起き上がって再びボールをセットした。
「だったら文車妖妃!」
晴斗は影に潜る。
しかしまたも光を当てられ影から出た所に弾丸を受けた。
「ぐあ!」
晴斗は倒れるもまた起き上がりボールをセットする。
そこに雲外鏡は弾丸を放つ。
「輪入道!」
晴斗は盾でガードし再びボールをセットする。
「化燈篭!」
そして一気に攻める。
「妖術火炎車輪!」
炎を帯びた回転で襲い掛かり弾丸を打ち払いながら進む。
しかし雲外鏡は晴斗の使った盾を召喚しガードする。
「何だと!」
動きの止まった晴斗を剣で切り裂き攻撃した。
「ぐあーーーーーーーーー!」
晴斗は倒れ万事休すとなった時だった。
1つのボールが光り出す。
砂かけ婆ボールだった。
晴斗は握り締め立ち上がる。
「お前に全てを賭ける!砂かけ婆!」
晴斗はボールをセットした。
そこに雲外鏡は襲い掛かる。
すると晴斗の体が砂塵化した。
「何だと!」
そして再生した。
「バカな!」
雲外鏡は拳銃を乱射し攻撃するも再び砂塵となる晴斗。
そして再生し剣で攻撃しようと駆け出す。
雲外鏡は盾でガードするも晴斗は砂塵化し消える。
雲外鏡が気付くと盾を潜り間合いに入っていた。
「これで終わりだ!」
そう言い鏡を突いてヒビを入れた。
ヒビは瞬く間に広がり鏡は割れた。
そして晴斗は剣を思い切り振り両手の武器や盾を打ち落とす。
「しまった!」
雲外鏡は慌てて走り出す。
逃げようとするも砂塵化した晴斗は先回りし行く手を阻む。
「おのれ!」
雲外鏡はタックルに出た。
しかし砂塵化し避ける晴斗。
雲外鏡は転倒し再生した晴斗が追い込む。
指で五芒星を描き縛り上げた。
そして止めを刺す。
「妖術陰陽鳳凰烈火斬!」
晴斗の攻撃が決まった。
「ぐあーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」
大爆発が起こり雲外鏡は死んだ。
晴斗は落ちたボールを拾い変身を解く。
「なかなかやるな。」
雄哉はそう言い拳を前に出す。
晴斗も拳を出し拳を合わせ2人は笑った。
その様子を木陰から鵺が覗いていた。
「まぁいい。時間稼ぎにはなったしな。」
そう言うと鵺は時空の狭間に消えて行った。
雄哉はその時それに気づき木陰に剣を向けた。
「どうした?」
「誰かいた気がしたからな。」
「そうか…それより早く行こうぜ。」
晴斗の言葉で2人は山を下りた。
こうして晴斗は雄哉を連れ屋敷に戻った。
「晴斗君、この人は?」
「晴斗さん、昨日はどこに!」
唯と小虎は尋ねると雄哉が口を開く。
「俺は松田雄哉。異世界の王。昨日は俺を迎えに来てくれていたんだ。」
「異世界か。僕も聞いたことあるよ。実在するとはね。」
興味深そうな守は雄哉を目視する。
「それよりめちゃくちゃスタイルいいですね!モデルみたい…」
満十郎はその逆であった。
「兄が失礼しませんでしたか?あったらすみません。」
「本当に兄上と同じ兄を持つ明菜さんの気持ちに同情です。」
明菜と道三郎にそう言われ兄2人は凹む。
すると雄哉の目に壁に掛けられた三味線が入る。
「凄いな。あれを弾かせてもらえないか?」
すると皆頷き雄哉は三味線を外した。
そして一同の前で演奏しだした。
あまりにも綺麗な音色に皆心惹かれボーっとしていた。
そして演奏が終わると雄哉は頭を下げた。
「ありがとう。」
「俺たちこそだよ。お前ってこんな才能あるんだな。」
「俺も教わりたいです。ラブソングを作りたいです。」
バカな兄2人に妹と弟はため息をついた。
「弦楽器なら何でも弾けるし教えるぜ。」
するとそこにドアが開き誰かが入室する。
鬼龍院だった。
「待ってたよ。来てくれたんだね。」
「ああ。あいつからの依頼だったからな。」
「それと君にはしばらくこの世界に滞在して調べて欲しいことがあるんだ。」
「分かった。あいつの友は俺の友だからな。何でも協力する。」
それから晴斗は外へ出た。
雄哉が後ろに続く。
安倍晴明神社に出て晴斗はお賽銭をしていた。
雄哉も同じようにお賽銭をする。
手を合わせ2人で清明の銅像を見上げる。
「これがお前の先祖なんだろ?」
「ああ。ちなみにあいつの先祖は道満だ。」
「道満?」
「先祖のライバル。それなのにあいつは俺の妹を奪おうと。許せんやつだ!」
「過去歴史の因縁が子孫にもあるんだな。」
「そりゃそうだ。」
「こっちの世界も楽しいな。良かったら案内してくれよ。」
こうして2人は街を東奔西走する。
通天閣にあべのハルカスに行きつけの喫茶店やたこ焼きを食べたりする。
そして夕暮れ時を迎える。
晴斗は雄哉と大阪中心部に出ていた。
橋から道頓堀川を見下ろし晴斗と雄哉は佇む。
「綺麗だな。夕暮れ時の明かりが。」
「まぁな。俺たち出会って良かったな。今日一日でこんないっぱい。」
「そうだな。俺たちの世界もこんな活気があればな。」
「何があった?」
「俺たちのいる世界の日本は荒れ果て砂漠化した都市がたくさんある。」
「壮絶な時代の世界に生まれたんだな。」
「それも運命だよ。俺も1年前周のいる世界に行って驚いたよ。交わるっことのない2つの
世界が交わってこの世界では当たり前の美しさに俺は心を奪われた。何より国民の笑顔。」
「そうなんだな。でも出来るよ。再び綺麗な世界を取り戻せるよ。」
「だから俺は挑むんだ。あっちの世界に帰ったら神の試練に。そしたら再び街を。」
「そうか。俺は妖怪を撲滅して先祖のやり残したことやって成し遂げる。」
「いいな。お前の顔いきいきしている。強い心の持ち主だ。共に戦おう!」
そう言い雄哉は手を差し出し晴斗も手を差し出し互いに握手を交わす。
「ふっ…」
こうして2人は笑顔で屋敷に戻って行った。
その日の夕食は豪華だった。
フレンチのフルコースだった。
「召し上がれ!」
満十郎は腕によりをかけ作った品を食べる雄哉を見つめる。
「お味はいかかですか?」
「上出来だ。君はプロ顔負けかもしれないな。」
「ありがとうございま~す!」
「兄上はすぐ調子に乗るんですから…」
「雄哉、明日もいっぱい案内するからな。色々行ってみようぜ。」
「ああ。今日はとても楽しかった。明日はもっと楽しくしような。」
そんな2人は楽しそうだった。
「晴斗君ってばもう仲良くなっちゃって。」
「そこがお兄ちゃんのいいとこだけどね。」
唯と明菜も2人を笑顔で見つめる。
「晴斗さん、雄哉さん、僕も同行させて頂きますね。」
「もちろんだぜ。じゃあ明日は小虎も一緒に案内してやろうぜ。」
「ありがとう。俺を受け入れてくれて。」
雄哉は笑顔でそう言った。
一方その頃妖怪たちも動き出していた。
「鵺もまた敗れたようじゃのぉ。」
「本当連敗男ね…乱暴で協調性なくて私嫌い…」
二口女と夜叉の言葉に鵺は笑い出す。
「別に構わねぇ!俺様は宴がしたいだけだ。忠実な貴様らとは違ってな。」
「そちのそれは陛下への侮辱と見做すぞよ。」
「そうねぇ…ぬら様も何でこんな男に…」
「それより朧車は何してやがる!まさか俺様に内緒で宴でも!」
「そちとは違う!」
「まぁいい!俺様はしばらく宴の準備する。次は貴様らに譲ってやらぁ!」
そう言い鵺はその場を後にする。
「だったら私に行かせてもいたいわねぇ~いいかしら~」
「わらわは構わん。」
「だったらそうするわよ…」
そして翌日晴斗たちは街を雄哉に案内していた。
この日はゲームセンターに買い物に食事と1日を満喫していた。
最後に昨日と同じ行きつけの喫茶桔梗に来た。
「美味いな。ここのコーヒーはコクがあって。」
「だろう。オーナーが毎日その日の朝に深煎りしてんだぜ。」
「僕はまだブラック飲めませんけどいつか飲みたいって思うんです。」
「そうか。本当に君たちは幸せだな。」
「そうだよ。じゃなきゃ一緒に戦ったり出来ないよ。」
「俺もそうだったな。向こうに仲間がいる。一緒に戦ったよ。喧嘩して笑ってバカやって
そんなことしても一緒に力を合わせて戦って来た最高の友がいるよ。」
「俺たちもだよ。そして雄哉、俺と一緒に戦おう。」
「僕からもお願いです。雄哉さん、一緒に戦いましょう。」
すると雄哉はコーヒーを一口飲んでコースターに置いてから答えた。
「もちろんだ。」
こうして3人は絆を深めた。
「俺たちの鋼の魂見せてやろうぜ。」
晴斗の言葉に雄哉は頷く。
明日を見つめて真っ直ぐに駆け出すような目をした3人だった。
手を重ね3人夏よりも熱く燃え上がり誰よりも強い志を胸にする。
その眼差しは遥遠くの頂を真っ直ぐに指す光のように輝いていた。

続く