第30話 ピンク色のマーチ
流衣はいつものように浜辺に足を運び朝日を見ていた。
缶コーヒー片手に朝焼け色に光る町に立っている。
今日も頑張る。
そんな気持ちから声が出た。
「この朝日の昇る町は誰にも汚させないからな!」
この間の誓いを胸にし太陽に叫ぶ。
そう言うと流衣は心がスカッとした。
今日も学校に行こうか。
そんな気持ちで後ろを振り向く。
するとそこには龍輝が立っていた。
「おはよう。」
「ああ。あんたもここに来たのか?」
「あいつがここはお前の好きな場所だと言っていたからな。」
「そうだな。いつも早起きしたら来る場所だよ。いいだろ?一番太陽が綺麗で。」
「そうだな。私も希望が出来たよ。改めてそう思えた。」
「頑張ろうな。」
そう言い流衣は拳を出し親子でグータッチを交わした。
こうして流衣はいつも通り学校に登校する。
いつもと同じく早く着き教室でゲームに熱中する。
ゲーム内で仲間を探そうとすると流衣に誘いが入った。
「誰だ?」
そう言いながらも流衣は誘いを受けた。
するとそこにメッセージが打たれる。
「もう学校なの?早いね。今後ろだよ。」
その言葉に流衣は後ろを振り向いた。
「おはよう。」
明恵が立っていた。
「お前かよ。てか1人だし早いな。」
「今日日直だもん。それとゲームばっかしてて楽しい?」
「別にいいだろ。」
「今日途中まで一緒にいた人誰?」
「親父だよ。」
「じゃあ今度私も挨拶しなきゃ。」
「いいよ。余計なことすんな。」
「それより流衣君も今日日直だけどゲームしてて余裕だね。」
「あ!忘れてた!」
こうして今日もヴィーナス学園の1日は始まった。
ホームルームで日直の仕事をし授業に入る。
流衣は今日も退屈そうにしている。
流衣は心の中で思った。
「明恵と日直って中学以来だな。」
そう思っていた。
そして授業が終わり流衣の机の周りに集まる。
椅子に座る流衣。
遥が流衣の机に座り流衣を見下ろし言う。
「あんた、日直忘れてゲームしてたの?バカね。」
遥が流衣をディスる。
「流衣君もうっかりさんだね。」
「いいだろ。遅刻しなかったでけでも。」
「結局は早起きに救われたのよね。幸運強いわね。」
遥の言葉に流衣は黙り込む。
「いいですね。中学以来の日直も。懐かしくありませんか?」
満のその言葉に流衣は頷く。
「そうだな。明恵だから良かったが遥とは絶対嫌だな。」
「何よそれ!」
「こんなゴリラとは絶対なりたくない。なりたくない女ナンバーワン。」
すると遥は机の上に立ち上がる。
そして回し蹴りが流衣の顔面に命中し流衣は椅子から転倒する。
遥がやってやったいう顔で机に立つ。
「今日のパンツはチェックなんだな。」
すると遥は流衣の股間に踵から飛び降り流衣は泡を吹き気絶した。
「頭冷やしてなさい。」
そう言い遥は1人先に自分の荷物を持って次の教室の理科室に向かった。
そして昼休みを迎える。
流衣は保健室で目を覚ます。
「…」
寝起きでボーっとしている。
何があったか思い出そうとする。
「起きた?」
明恵が心配そうな声で問いかける。
声のする方を向くと明恵と幸音がベッド横の椅子に座っていた。
「流衣君のああいう所相変わらずだね。」
「お兄ちゃんってば懲りないね。」
「何故なら俺は不屈の精神を持ってるからな。」
「お兄ちゃん、ゲームのし過ぎ。」
「いいだろ。ゲームは俺の至福の時間だ。」
「それより朝お弁当忘れてたよ。」
そう言い幸音は流衣に弁当を渡す。
流衣は受け取り言った。
「んじゃまた後でな。」
そう言い流衣は起き上がりベッドを出た。
「どこ行くの?」
「1人になりたいんだ。」
こうして流衣は保健室を後にした。
1人中庭で淋しく弁当を食べる流衣。
一方で明恵は生徒会室を訪れた。
翔子と沙菜に相談を持ちかけた。
「そうね。彼は確かに変わったわ。この5ヶ月様子を見ても昔の一面は。」
「ですよね。私だけ取り残されてるみたいで。」
「どういうところが?」
「昔の目で流衣君を見てて私がもし何かあったら止めたいとか思って。」
「彼がまた暴れるってこと?」
「はい。変わったって皆言っても何だか不安です。いつまた昔みたいになるか。」
「そうね。急に暴れるのも猛犬のポイント。でも今は心配ないわ。」
「どうして?」
「だって翔子はそれほど流衣君が好きで信じてるもんね~」
「もう沙菜ってば!」
「信じることも大切だよ。」
「そうですね。」
沙菜の言葉に明恵は笑顔で答え頷いた。
そしてその会話を外で光と剣が聞いていた。
「ねぇ剣君、朝日先輩の過去を教えて下さい。」
「またですか?」
「彼女さんの死から引っ越すまでのことです。私には隠してるようにしか。」
「本当に彼は心が病み社会にいることが出来ぬ状態でした。」
「でも!」
「彼はそのことはまだ触れられたくないそうです。僕も守秘義務ですので。」
「私も風邪さえ引かなかったら知っていたのに。」
「どうやら天に見放されたようですね。」
そう言い剣は光に背を向けその場を去る。
光は暗い顔をして佇むだけだった。
そして放課後を迎えた。
流衣と明恵は日直の仕事を終え2人で学校を出る。
「2人で学校出るのも久しぶりだね。」
「そうだな。たまには2人で出掛けようぜ。」
こうして2人は市街地に出た。
ゲームセンターに行ったりカフェに行ったりと思い切り遊ぶ2人。
そして次に着いたのは公園だった。
森の中のボートのある池の前に佇む。
「そういえば俺も思ったよ。」
「何を?」
「いつまでも凛香のこと引きずるのはやめたいなって。今気付いたよ。過去に囚われ過ぎてた。」
「いいことだよ。じゃないと凛香ちゃんも喜ばないよ。」
「これからはゆっくり自分の生きる道を探すよ。過去の呪縛は解けたし。」
「そうしようね。」
するとそこに一匹の猫がやって来た。
その猫は明恵にすり寄る。
「可愛い。森の中で猫ちゃんが寄って来るってロマンチックだね。」
「そうだな。俺もファンタジー好きだしいいな。」
「何かファンタジーみたいだよ~」
明恵は嬉しくて猫を抱き締める。
「お前もそういう所は相変わらずだが少し変わったな。」
「何が?」
「今までは俺について来るだけだったのに俺に正しいことを教えてくれた。」
「ずっと思ってたんだ。流衣君も新しい恋した方がいいって。」
「俺もお前も変わったな。気付けば前に進んでいた。昔に取り残されてるかと思ってたが。」
「そんなことないよ。」
「そうだな。これからもゆっくりでも前に進もうな。皆でさ。」
「うん。」
こうして2人は誓いを胸にした。
少しずつでも自分たちは前に向かって歩いていると知った。
一歩ずつ確実に足踏みをしながら進んでいる。
昨日より今日へ今日より明日へ進みたい。
そして明日より明後日へ先を見て進もうと思った2人だった。
そんな2人の中にはピンク色のマーチが響いていたのだった。
続く
流衣はいつものように浜辺に足を運び朝日を見ていた。
缶コーヒー片手に朝焼け色に光る町に立っている。
今日も頑張る。
そんな気持ちから声が出た。
「この朝日の昇る町は誰にも汚させないからな!」
この間の誓いを胸にし太陽に叫ぶ。
そう言うと流衣は心がスカッとした。
今日も学校に行こうか。
そんな気持ちで後ろを振り向く。
するとそこには龍輝が立っていた。
「おはよう。」
「ああ。あんたもここに来たのか?」
「あいつがここはお前の好きな場所だと言っていたからな。」
「そうだな。いつも早起きしたら来る場所だよ。いいだろ?一番太陽が綺麗で。」
「そうだな。私も希望が出来たよ。改めてそう思えた。」
「頑張ろうな。」
そう言い流衣は拳を出し親子でグータッチを交わした。
こうして流衣はいつも通り学校に登校する。
いつもと同じく早く着き教室でゲームに熱中する。
ゲーム内で仲間を探そうとすると流衣に誘いが入った。
「誰だ?」
そう言いながらも流衣は誘いを受けた。
するとそこにメッセージが打たれる。
「もう学校なの?早いね。今後ろだよ。」
その言葉に流衣は後ろを振り向いた。
「おはよう。」
明恵が立っていた。
「お前かよ。てか1人だし早いな。」
「今日日直だもん。それとゲームばっかしてて楽しい?」
「別にいいだろ。」
「今日途中まで一緒にいた人誰?」
「親父だよ。」
「じゃあ今度私も挨拶しなきゃ。」
「いいよ。余計なことすんな。」
「それより流衣君も今日日直だけどゲームしてて余裕だね。」
「あ!忘れてた!」
こうして今日もヴィーナス学園の1日は始まった。
ホームルームで日直の仕事をし授業に入る。
流衣は今日も退屈そうにしている。
流衣は心の中で思った。
「明恵と日直って中学以来だな。」
そう思っていた。
そして授業が終わり流衣の机の周りに集まる。
椅子に座る流衣。
遥が流衣の机に座り流衣を見下ろし言う。
「あんた、日直忘れてゲームしてたの?バカね。」
遥が流衣をディスる。
「流衣君もうっかりさんだね。」
「いいだろ。遅刻しなかったでけでも。」
「結局は早起きに救われたのよね。幸運強いわね。」
遥の言葉に流衣は黙り込む。
「いいですね。中学以来の日直も。懐かしくありませんか?」
満のその言葉に流衣は頷く。
「そうだな。明恵だから良かったが遥とは絶対嫌だな。」
「何よそれ!」
「こんなゴリラとは絶対なりたくない。なりたくない女ナンバーワン。」
すると遥は机の上に立ち上がる。
そして回し蹴りが流衣の顔面に命中し流衣は椅子から転倒する。
遥がやってやったいう顔で机に立つ。
「今日のパンツはチェックなんだな。」
すると遥は流衣の股間に踵から飛び降り流衣は泡を吹き気絶した。
「頭冷やしてなさい。」
そう言い遥は1人先に自分の荷物を持って次の教室の理科室に向かった。
そして昼休みを迎える。
流衣は保健室で目を覚ます。
「…」
寝起きでボーっとしている。
何があったか思い出そうとする。
「起きた?」
明恵が心配そうな声で問いかける。
声のする方を向くと明恵と幸音がベッド横の椅子に座っていた。
「流衣君のああいう所相変わらずだね。」
「お兄ちゃんってば懲りないね。」
「何故なら俺は不屈の精神を持ってるからな。」
「お兄ちゃん、ゲームのし過ぎ。」
「いいだろ。ゲームは俺の至福の時間だ。」
「それより朝お弁当忘れてたよ。」
そう言い幸音は流衣に弁当を渡す。
流衣は受け取り言った。
「んじゃまた後でな。」
そう言い流衣は起き上がりベッドを出た。
「どこ行くの?」
「1人になりたいんだ。」
こうして流衣は保健室を後にした。
1人中庭で淋しく弁当を食べる流衣。
一方で明恵は生徒会室を訪れた。
翔子と沙菜に相談を持ちかけた。
「そうね。彼は確かに変わったわ。この5ヶ月様子を見ても昔の一面は。」
「ですよね。私だけ取り残されてるみたいで。」
「どういうところが?」
「昔の目で流衣君を見てて私がもし何かあったら止めたいとか思って。」
「彼がまた暴れるってこと?」
「はい。変わったって皆言っても何だか不安です。いつまた昔みたいになるか。」
「そうね。急に暴れるのも猛犬のポイント。でも今は心配ないわ。」
「どうして?」
「だって翔子はそれほど流衣君が好きで信じてるもんね~」
「もう沙菜ってば!」
「信じることも大切だよ。」
「そうですね。」
沙菜の言葉に明恵は笑顔で答え頷いた。
そしてその会話を外で光と剣が聞いていた。
「ねぇ剣君、朝日先輩の過去を教えて下さい。」
「またですか?」
「彼女さんの死から引っ越すまでのことです。私には隠してるようにしか。」
「本当に彼は心が病み社会にいることが出来ぬ状態でした。」
「でも!」
「彼はそのことはまだ触れられたくないそうです。僕も守秘義務ですので。」
「私も風邪さえ引かなかったら知っていたのに。」
「どうやら天に見放されたようですね。」
そう言い剣は光に背を向けその場を去る。
光は暗い顔をして佇むだけだった。
そして放課後を迎えた。
流衣と明恵は日直の仕事を終え2人で学校を出る。
「2人で学校出るのも久しぶりだね。」
「そうだな。たまには2人で出掛けようぜ。」
こうして2人は市街地に出た。
ゲームセンターに行ったりカフェに行ったりと思い切り遊ぶ2人。
そして次に着いたのは公園だった。
森の中のボートのある池の前に佇む。
「そういえば俺も思ったよ。」
「何を?」
「いつまでも凛香のこと引きずるのはやめたいなって。今気付いたよ。過去に囚われ過ぎてた。」
「いいことだよ。じゃないと凛香ちゃんも喜ばないよ。」
「これからはゆっくり自分の生きる道を探すよ。過去の呪縛は解けたし。」
「そうしようね。」
するとそこに一匹の猫がやって来た。
その猫は明恵にすり寄る。
「可愛い。森の中で猫ちゃんが寄って来るってロマンチックだね。」
「そうだな。俺もファンタジー好きだしいいな。」
「何かファンタジーみたいだよ~」
明恵は嬉しくて猫を抱き締める。
「お前もそういう所は相変わらずだが少し変わったな。」
「何が?」
「今までは俺について来るだけだったのに俺に正しいことを教えてくれた。」
「ずっと思ってたんだ。流衣君も新しい恋した方がいいって。」
「俺もお前も変わったな。気付けば前に進んでいた。昔に取り残されてるかと思ってたが。」
「そんなことないよ。」
「そうだな。これからもゆっくりでも前に進もうな。皆でさ。」
「うん。」
こうして2人は誓いを胸にした。
少しずつでも自分たちは前に向かって歩いていると知った。
一歩ずつ確実に足踏みをしながら進んでいる。
昨日より今日へ今日より明日へ進みたい。
そして明日より明後日へ先を見て進もうと思った2人だった。
そんな2人の中にはピンク色のマーチが響いていたのだった。
続く