翻訳者の散歩道

  ☆ 法律翻訳者の思考のあれこれ ☆
(「翻訳者になりたい人のためのブログ」を統合し「第ⅡBlog〇〇編」と表記)

ユートピア

2005年05月16日 | 歴史
ユートピアというと何を連想しますか?
理想郷って何となくホワホワしたイメージありませんか?

でも貴族であるサー・トマス・モアの描くユートピアは、意外にも私有財産を認めない共産主義的な理想社会です。

ユートピア(Utopia)。
U はギリシャ語の否定の接頭語ou (=not)、
topia は同じくギリシャ語の場所を意味するtopos (=place)で、
つまり"nowhere"どこにもない所という造語です。

ユートピアは2巻からなり、当時のイギリス(16世紀)の封建社会から資本主義社会への移行期にあって諸問題を批判し、政治的・経済的な理想社会を描いたものです。

第1巻は、「羊が人間を食い殺す」が有名。
羊毛の値上がりを見こした地主たちが先を争って畑をつぶして牧場に変えていく(→農民の失業をまねく)ことの比喩です。

第2巻は、理想郷ユートピアの物語。
ユートピアは共和国で、私有財産を認めず金持ちも貧乏もありません。また、聖職者、貴族、地主など非生産的職種の人の存在も認めません。しかし、宗教に関しては寛容で異なる信仰の共存を認めています。
物語のはじめには目に浮かぶような地理的描写があって、まるで実在するかのような錯覚を覚えます。

皆さんの描くユートピアはどんなところでしょうか?

(おまけ)
トマス・モアは、法曹界の父のすすめで法律を学び、順調な官僚生活のなかでヘンリー8世の知遇を得て、大法官に抜擢されます。
ヘンリーは王妃と離婚&愛人アン・ブーリンとの結婚をめぐり、ローマ教皇の許しが得られず、英国国教会を設立。ところが、大法官トマス・モアは離婚に賛成せず、ロンドン塔に幽閉され処刑、生涯を終えます。

ヘンリー8世はその後アン・ブーリンも処刑してしまいますが、臨終のときにはアン・ブーリンの名をうわ言で繰り返したとか。。。

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