凡人むむむの連載するのだ

というわけで、連載はじめました。

四角いっ(ネスプレッソ『ル・キューブ』)

2006-07-30 | 知ッタカメッチャカ☆家電編
久しぶりにガッツーんきました。
エスプレッソマシーン「LE CUBE」(NESPRESSO)。四角い本体中心から抽出、サイドにカップを収納できる代物。とにかく今まで見たことのないかわいらしさです。一ヶ月くらい前に新発売です。

カップ収納可能、タンク取り外し可能。
こりゃ問題なし、と言いたい所ですが、普通の粉には対応していない、というところが悩みの種で、買いたいけれど買えない製品。
というかエスプレッソメーカー自体、欲しいけど、安いのは安っぽいし、高いのはバカ高いし、いつまで経っても悩んでばかりいます。

何にしてもやっぱり、キュービックっていうのは、無意味だけどかわいい。
ということで、突然ですが、四角いシリーズ。






①ラジオ「ts502」(1964)(写真はts522)
デザイン:Marco Zanuso(マルコ ザヌーゾ)/Richard Sapper(リチャード・サパー)
メーカー:Brionvega(ブリオンヴェガ)社(伊45年設立・63年~ブリオンヴェガ)
サイズ:230×130×130mm

未使用時は閉じた状態に、使用時は内側を開けると立方体二つにスピーカーとスイッチ類が各面に露出する、というラジオ。
何でも一つの立方体が食パン1斤大に相当するらしいです。かわいい。復刻版が出てます。




②テレビ「black ST201」(1969)
デザイン:Marco Zanuso(マルコ ザヌーゾ)/Richard Sapper(リチャード・サパー)
メーカー:Brionvega(ブリオンヴェガ)社

電源OFF時は、前後左右も区別つきにくいブラックボックスとなるテレビ。すげー。上と同じデザイナー、同じメーカーのものです。この機種で初めて、持ち運びの良さや多機能から、縮小化を優先を図ったとのこと。
幾何学的様式にこだわった結果、キュービクというところに落ち着いたのではないでしょうか。テレビが「画面」ではなく「テレビ」として存在できる形。

①も②も面白いのは、使用しないときにどういう形であるべきか、使用時と未使用時どうすれば異なった表情を見せるのか、という所をつめてる点だと思います。




③コーヒーメーカー「Morrison Coffee Maker」
デザイン:Jasper Morrison(ジャスパー・モリソン)
メーカー:Rownta(ロヴェンタ)。(独84年設立)

四角い本体に、ガラス容器、フィルター、ペーパーフィルター、計量スプーンの収納部、タンク、必要なもの全てが収まるコーヒーメーカー。
「MORRISON BRUNCH SET」としてコーヒーメーカ、トースタ、ケトルの3部作があります。本人は、形は統一していないと言ってますが、「外形がシンプル=外側に何もない」という構図が共通してるように思えます。

「四角い」とはつまり、無駄なものが表面にない、つまり必要なものは中にしまう、ということになるのではないでしょうか。それは、機能・操作性を追求するということです。本人曰く「複雑な機能をこういう風にシンプルな形体に収めるのは、予想以上に難しかった。ディーター・ラムズがデザインした、一昔前のブラウンの家電が如何に凄いか、このプロジェクトを通して改めて認識したよ。」とのことです。




④アラームクロック
(左)「BRAUN-AB314rsl」
(右)「BRAUN-AB7」
デザイン:ディーター・ラムズ
メーカー:BRAUN(独1921設立)

そのディーター・ラムズ(55年に設立されたデザイン部門初代チーフデザイナー)デザインのアラームクロック。コンパクト。機能的。何といっても見やすいです。
段階的アラーム、スヌ-ズ機能、暗闇で光るライト、電池消耗時秒針が遅くなるBCL機能、手をかざすとアラームが止まるリフレックス機能など、小型ながら機能満載。蓋の裏にはワールドタイムチャートも記されてるとのことです。無駄がないですよね。

こないだBRAUN展に行ってきましたが、古い商品なのにかっこよく見えました。何故なんでしょう。これもまた機能的で無駄がないことからくるような気がします。原型。

DesignInnovation50(BRAUNデザイン50周年特設サイト)
BraunPrize International




⑤メタルLED時計
時計屋にはLED時計が色々置いてありますが、これが一番かっこいいと思いました。もはや立方体から外れてきましたが。目覚まし用スヌーズ機能が本体自体を押すことで機能するという形。素敵。操作ボタンも全て裏面に。

表示部まで表面と一体化したような時計よりも、こうやってLED表示部は残す、という姿勢がしっくりきます。シンプルを求めた際、「なくす部分」と「残す部分」、この線引きが非常に効いてくるんだと思います。




⑥ゴミ箱
(左)Galva ダストボックス4分別
(右)「イレ-R10F1」(コクヨ)
写真左は、ディスプレイラックようなゴミ箱。ありそうでない。何がいいってそりゃあんた、四角いところですよ。
そもそもゴミ箱って丸いものばかりが目立って嫌になっちゃいます。部屋のかどに置くものが丸くてどうする!ってなもんです。踏んだら開くってのも何だか便利そうでいまいち。
そうすると機能性・合理性から言ってやはりオフィスチックなものが先行しているような気がします。

そこで生まれたのが写真右、我らがコクヨのクズ入れシリーズ。イレ-F10Mが発売された1976年からのロングセラーです。事務機器が次々と導入された当時、オフィスのデットスペースをなくし、機能面を重視した結果生まれたのが、この四角い形。
開口部は紙類の廃棄を意識し、スリット上の横長の差込口になってるとのことです。ゴミ箱のインターフェイスは、ゴミを捨てる開口部のみですから、そこをちゃんと詰めてる、という感じですね。

ゴミ箱のようなものの場合、「四角い」とはつまり、スペースの無駄を省く、という面が大きいような気がします。





ということで、四角いシリーズ、いかがでしたでしょうか。
未使用時はどのようにあるべきか

表面に何を残し中に何をしまうか(何をそぎ落とすか)

製品のもつ本来の機能とは何か

と、結局、機能を洗い直すことから四角いというのが生まれる、というのが今回の結論です。

四角い形というのは、簡単に言うと、「箱」ということです。

人はモノを「箱」にしまいますが、これらの商品は商品自体が「箱」になっているのです。未使用時は「箱」として存在し、使用時に必要なスイッチだったりスプーンだったりが中から出てくる。ということなんだと思うわけであります。



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