凡人むむむの連載するのだ

というわけで、連載はじめました。

家シリーズ②~暖房器具の配置について

2008-07-13 | 知ッタカメッチャカ☆家電編
時期外れもいいところですが、
『品質を価格にする(DeLonghi)』080203で、紹介した、
オイルラジエーターヒーターについての話をしてみます。

ちなみに写真は、オプションで専用天板をつけてみたときのものです。
冬を通してみて、まったく必要なかったということが解りました。
濡れた布などをかけておけば、ストーブの上に置くやかんのように
加湿器の代わりになるということで買ってみたんですけど、
片面だけが乾くし、言うほどかっこよくないし、利用価値はなっしんぐでした。





●オイルヒーターは窓際に置くと効率がよい

さて、オイルヒーターの説明書を読みますと、中に、
「壁際においてください」と配置の指定がされていました。

ん?なんで?と思って読み進めてみますと、
ヒーターを壁際に置くことで、部屋全体を暖める効率がよくなる、とありました。

ヒーターを中央に置いた場合、窓から冷気が下側に入ってしまうので
空気の循環の効率が悪くなってしまう。
対して、窓際に置いた場合は、ヒーターにより冷気をシャットダウンできるので、
同時に暖気が真上に上がって部屋全体を効率的に循環可能である、とのことです。

そういえば、スキー場に置いてあるのをよく見かけますね。
西洋の書斎の写真なんか見ても、壁際によくあった気がしてきます。


●そういえばコタツは部屋の真ん中にありますね。

ふと日本の暖房器具について考えてみますと、
そういえば日本の暖房器具は、部屋の壁際というよりも
中心部に配置されている、ということに気づきます。

日本の代表選手といえは、
・コタツ、とか
・イロリ、とか
ですが、なぜかしら家の中心に置かれていますよね。

対して西洋はといいますと、
・暖炉、とか
・オイルヒーター、とか
になるのでしょうが、こちらはやはり壁際配置です。

これってすごい発見!?、とか思い
忘年会時にその話を自慢げにしてみせますと、
「西洋の方は、部屋全体を暖めようとしてるからじゃないか」
と友人に一瞬で回答され、しかも一瞬で納得させられました。
あまりにも的を射た答のような気がしたのです。





●日本の仕切りについて

<空気の流れとしての仕切り>
『茶室とインテリア―暮らしの空間デザイン』
『普通のデザイン―日常に宿る美のかたち』(ともに内田繁)
を読んでみますと、
日本建築の特徴は、
・座ること
・空間の仕切り
なんです、とありました。

暖房器具の配置が部屋の壁際か/或いは中心か、
どうしてそんな差が出たのかを考えますと、
どうやらこの二つ目に挙げた、「空間の仕切り」
とういうところに答があるような気がしてなりません。

本は、仕切りについて、
『西洋は、石、石灰、煉瓦でできた強固な仕切りであるのに対し、
日本は、紙と木でできた柔らかな仕切りである。日本の仕切りは「認識の仕切り」である。』
というような説明をしていました。

日本の「認識の仕切り」という概念について、
をまとめるのは僕には無理ですが、とりあえず、
「日本の居酒屋は布一枚で仕切らていれば隣グループの話し声も気にならない」
という感じで理解すればいいんじゃねと思っています。


生垣や、敷居、襖、障子、暖簾、衝立。

とにかく日本建築は、泥棒が入ろうと思えば簡単に侵入できそうな
物理的にはゆる~い仕切りによって構成されています。
これは、高温多湿で、森林に覆われた風土の日本において、
空気の通りを壁で遮らないようにした結果だそうです。

ある空間に仕切りをつくったとしても、
その間で必ず空気の通路があるわけだから、
逆に言えば、日本建物に壁というものは存在しない、
とさえ言えそうです。

<思想としての仕切り>
また本では、日本固有の思想についても特徴を挙げています。
それは、
・日本人は家や現世を仮の住まいと捉えている
・季節やものの移り変わりに対して無常観
 (この世に固定されたもの、永遠など存在しないという思想)を持つ、
・縁側のような内と外の境界に中間的な空白を生み出す、
といったことですが、
つまり日本人は「常に変化すること」を前提としているそうです。
この思想は建築にも反映されており、
仕切りは季節に応じて入れ替えたり
パーティションのように取り外したり
できるようになっています。

西洋人はといいますと、「変化などない」という思想が前提にあるため、
西洋の家は、頑丈で、堂々とした壁が存在しているのだそうです。


<暖房器具の配置>
西洋/日本の空間の仕切りの違いについて、
無理やりまとめてみますと、
空気の流れを遮断する/しないという仕切りの物理的違いと
変化を前提としない/するという仕切りの思想的違い
があると言えます。

この違いが、暖房器具の配置の違いにつながっているわけです。

西洋では、
物理的に空間をシャットダウンする壁が存在しているので、
部屋全体を暖めるように暖房器具を配置することができるし、
思想的に壁や、テーブル椅子などの家具を恒久的に固定する必要があり、
同様に暖房器具も常に据え置きされた状態となっている。

日本は、
物理的に空気の通路が塞がれないよう壁が存在していないので
人がいる近くのところでしか暖房器具を配置することができないし、
思想的に食事の時は食卓を置き、寒いときは火鉢を用意するといったように
その日の時間や季節に応じて部屋に存在するものを入れ替える必要があるので
暖房器具を部屋に固定するという発想自体なかった。

ということなのではないでしょうか。




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1 コメント

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勉強になります。 (オイルヒーター 価格)
2009-11-02 15:43:21
>オイルヒーターは窓際に置くと効率がよい

この前友達が家のど真ん中において、「あったまらないなぁ」っていてましたw今度教えてあげよう

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