オールドレーシングカー談義

1950~1970年代のレーシングカー、その他のマシーンについて語り合うブログです

LOTUS問題(追)

2011-03-26 | F1・2011

 今年初頭のF1に関する話題と言えば、「開幕戦問題」と「LOTUS名称問題」でした。開幕戦は中止となりました。「LOTUS名称問題」は、まだ決着がついていません。しかし、大体の流れは見えてきたみたいです。省略して呼ぶ時は、グループLOTUSの方を「ルノー」。チームロータスの方を「ロータス」と呼ぶ様になってきたみたいです。裁判で完全にひっくり返った時は分りませんが、ほぼこれが定着するのではないでしょうか。「正義」が次々に移っていきそうだったので、しばらく静観していました。その間に見えてきた事を整理してみると。

①まず、コーリン・チャップマンのビジネススタイルの特徴があるみたいです。チャップマンは、チームロータス、ロータスカーズ、ロータスコンポーネンツなど様々な会社を作りました。それらの会社が、チームロータスの得た勝利の栄冠のイメージの恩恵を受けてビジネスを進めることが出来ました。しかし、会社相互間の資本、経営権などのつながりはそれ程強いものではなかったみたいです。例えば、市販レーシングカーを扱っていたロータスコンポーネンツが解消されたら、そのメンバーはさっさと独立し、GRDを作ってしまった。従って、個々の名称権には相互的なつながりは無い。
②従って、現在活動している集団が、「ロータスがらみ」の名称を一つ獲得しても、それ単独のものである。
③現在グループLOTUSという名称は、プロトンがブガッティから買収したLOTUSカーズからきたものであり、チームロータスの名称とは別のものと考えられる。
④現在のLOTUSルノーの英国の登記名は「ルノー」。つまり、ブリアトーレ時代の(ベネトン⇒)ルノーから変わっていない。そのルノーをジェニーキャピタルが買収したが、名称はルノーのまま。そのチームにグループLOTUSがスポンサーとなった。
⑤LOTUSルノーのチームカラーをJPSカラーをイメージしたものとした。しかし、JPタバコがスポンサーに成った訳ではない。JPSカラーとロータスは強いイメージで結びついているが、ロータスそのもののイメージカラーではない。従って、LOTUSルノーの正当性を示すものではない。むしろ、一つ間違えばフェイクのイメージさえ伴ってしまう。
⑥当初、グループLOTUSが「LOTUS」そのものを代表する様に思われたが、そうとも言えない?
⑦従って、トニー・フェルナンデスがチームロータスの名称を獲得した以上、名称の使用権は発生する?。昨年1年間LOTUSグループから許可を得てLOTUSを名乗った。しかし、名称の使用権を得たのか、LOTUSグループとダブった名称を使用することへの許容に過ぎなかったのか? その違いにフェルナンデスは気付いたのかもしれない。
⑧もう一つ奇妙な腸ねん転を起こしている。米国のINDYカーのKVレーシングとグループLOTUSは契約している。2010年は、佐藤琢磨のみがこのスポンサーシップで戦った。2011年は、3台に拡大して走る。しかし、このカラーはフェルナンデスのチームロータスと同じグリーンとイエローのカラーなんです。ノーズ先端のエンブレムのみ異なる。カラーを変更する気配は無い。

ここまで書いただけでもゲンナリしてきました。でもこれらは、前提条件なんですね。これらの前提条件をもとに各プレイヤーがビジネスを戦っていかなければいけない。各プレイヤーの能力の問題になると思います。従って、以後はプレイヤー毎に書いた方が良さそうです。

2-① カルロス・ゴーン
最も得をしたのではないでしょうか。ルノーチーム(英国の元ベネトン)をジェニーキャピタルに売却。金銭的な負担から逃れることに成功した。一方でルノーの名は残っており、昨シーズンもかなりの宣伝効果を得た。更に3チーム(レッドブル、LOTUSルノー、チームロータス)にエンジンを供給。昨年はチャンピオンエンジン。今年もかなりの宣伝効果を期待出来る。更にレッドブルと日産の電池技術とコラボし、KERS(ハイブリッド)についてかなりの技術開発効果を期待出来る。
2-②ジェラルドロペス(ジェニーキャピタル)
ルノーチームを買収したジェニーキャピタルのジェラルドロペスは、昨年はまずまずの成果を得た。それはクビサの奮闘によるところが大きかった。今年は、シャシーの仕上がりの良さが伝えられている。クビサの戦線離脱という思わぬ出来事が起きてしまった。しかし、マシーン、チームは良くまとまっているのでは。メルセデスより上に行くのではと思っています。ロペスにとっては、チームの売り時が問題ではないでしょうか。中東の政治状況によっては、中東には売れなくなる可能性も。
2-③トニー・フェルナンデス(チームロータス)
当初はグループLOTUSに対して正当性について劣ると思われました。昨年は、グループLOTUSから許可を得てロータスを名乗りF1を走っていたのですから。ところが、その過程で「ロータス」という名称の持つ特殊性に気付いたのではないでしょうか。裁判の結果によってはロータスの名称を失うかもしれない。しかし、自分から辞退する必要は無いと判断した。そして、それは的確な判断だったと思います。2011年は、自らもJPSカラーを用いると仄めかして、グループLOTUSをJPSカラーに固執させました。その後さっさとカラーを変更。グループLOTUSを身動き取れなくさせました。AirAsiaの赤い(紅色)のカラリングも用意していると思いますが、それは必要になるまでは絶対に出さないでしょう。意外にも着実に自分のビジネスを進めていると思います。
2-④ダニー・バハール(グループLOTUS)
当初はLOTUSの正統的な後継車(者)と思われた。市販車のLOTUSも手掛けているのですから。昨年はフェルナンデスにLOTUSの名称の使用許可を与えた。今年はルノーチームとスポンサー契約を結びLOTUSルノーとして直接F1に進出する。ところが、簡単に解消出来るはずのフェルナンデスへの名称使用許可が思わぬ方向に進んだ。まさか他からLOTUSの名称が取得出来るとは。この結末は裁判で出るのでしょうが、その過程で幾つかのミスを犯していると思います。まず、INDYカーでスポンサードしたKVレーシングでフェルナンデスのチームとほぼ同様のカラリングを用いた。更にLOTUSルノーF1で、以前のロータスのスポンサーカラーであるJPSカラーをイメージしたカラーを用いた。ロータスと言えばJPSカラーでしょう。でもJPSは今回スポンサーでも何でもない。結果的に自らフェイクを演じることになったのでは? ルノーイエローのままでも良かったのにと思いました。そして、昨年暮れにINDY計画の発表で、2012年からINDYカー用のエンジンに進出、GP2、GP3、FIA-GT、LM2に進出すると述べていることです。余りにも多過ぎる。それだけでなく、パリサロンでは5~6車の新型車計画、モデルを発表している。ここまで来ると、ちゃんと成算があってやっているのか疑問に思えてくる。バハール自身のビジネスマンとしての評価にかかわってくると思います。

こうしてみるとバハールの経営方針、手腕がよく分らなくなります。幾らなんでも一度に手を広げ過ぎるのでは。親会社のマレーシア・プロトンはどう考えているのでしょう。例えば、INDYカー用エンジンは? コスワースが手掛けているのだから、LOTUSから引き上げ、プロトンに名称替えする事もあり得るでしょう。パリサロンのモデル群が実現しなくても構いませんから、エリーゼが消えてしまわないで欲しいですね。
そして、佐藤琢磨は? 今年はともかく、来年はLOTUSドライバーなのか、HONDAドライバーなのか。どちらの選択肢もあるし、どちらの選択肢もないとも言えるのでは。
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F1第1戦 オーストラリアGP フリー第2 

12 ヴィタリー・ペトロフ ロータス・ルノーGP 1分27秒528
13 ニック・ハイドフェルド ロータス・ルノーGP 1分27秒536
14 セバスチャン・ブエミ トロ・ロッソ 1分27秒697
15 小林可夢偉 ザウバー 1分28秒095
16 ポール・ディ・レスタ フォース・インディア 1分28秒376
17 エイドリアン・スーティル フォース・インディア 1分28秒583
18 パストール・マルドナド ウィリアムズ 1分29秒386
19 ヘイキ・コバライネン チーム・ロータス 1分30秒829
20 ヤルノ・トゥルーリ チーム・ロータス 1分30秒912  

 ルノーのシャシーの仕上がりは順調みたいです。ほぼ現在の実力が見えるような。ルノーとしては、メルセデスを凌駕するくらいの実力を示す事が重要なのでしょうね。
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