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《『大凡の日々-妹尾義郎と宗教弾圧』(理崎 啓著、哲山堂)の表紙》
理崎氏は言う、 しかし、全体的には小作人の主張が正しい、と思えるケースが多かった。
〈階級運動は我らの取らないところだが、小作人の生活向上を図って行く平等に導くことは先覚者の努めである。いたずらに強調して現状維持をはかるよりも、それを進展させるべきだ。地主階級は早晩滅ぶべきものと思う〉
〈66p~〉〈階級運動は我らの取らないところだが、小作人の生活向上を図って行く平等に導くことは先覚者の努めである。いたずらに強調して現状維持をはかるよりも、それを進展させるべきだ。地主階級は早晩滅ぶべきものと思う〉
と妹尾は考えていたと。どうやら、調停役だった妹尾だが、次第に小作人側にシフトしていったようだ。
さらに、同氏は続けている。
現場の最前線にいた妹尾は、切迫した農村を見て平常心ではいられなかった。…(投稿者略)…争議は地主にとっては収入の多寡の問題だが、小作人にとっては死活問題であった。依頼された講演は地主や資本家の御用的立場でしかない、と覚らざるを得なくなる。そのため、地主に招聘されたにも関わらず、小作人の肩を持つ発言が増えていった。
〈67p〉とだ。
ここで私がはっとしたことは、「争議は地主にとっては収入の多寡の問題だが、小作人にとっては死活問題であった」である、「争議」という事実は一つしかない訳だが、立場に違いによってそれがまったく懸け離れた事態をもたらすということにだ。そして、妹尾は次第に小作人側の肩を持つようになっていったという。そこに、妹尾なる人物の心根を知った。
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