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雑感や書評など

もりたけし「戦闘妖精少女 たすけて!メイヴちゃん」

2005-03-23 00:23:34 | 映画評
キュンキュンビーム


神林長平の小説「戦闘妖精・雪風(改)」は、好きな作品です(読んだやつには、「(改)」ではなかったですけど)。唐突にあらわれた未知の生物と人間との戦いを、孤高な深井零を中心として語られる物語です。
続編の「グッドラック―戦闘妖精・雪風」も面白かったのですが、…………無理して続編をつくたっかなぁという強引さがちょっと鼻についた思い出があります。

で、この小説ですが、アニメ化されました。全五巻で、四巻まで出ているようです。

最初の一巻だけは見ました。原作にはない妙なホモ臭さや、かまやつひろしのエンディング曲などに感動しまして、そこで食指が止まってしまいました。どうやら僕の体は一巻を見ただけで、五巻分の感動を味わってしまったようです。


そんなアニメ版の「戦闘妖精雪風」ですが、最近、外伝的な作品が出たそうです。それが、「戦闘妖精少女 たすけて!メイヴちゃん」です。

見ました。

素敵な作品に仕上がっておりました。
以下、チャプターに沿って詳細にストーリーを解説させてもらいます。ほぼ完全ネタバレなので、これから作品をお楽しみになりたい方は、お気をつけ下さい。


[初めての冒険旅行]
片田舎に暮らす杉山レイは、朴訥なアニメファンの高校生。OVAについていた応募葉書を投稿したところ、なんとエモーションフェスティバルの入場券が当たってしまう。友人たちに羨ましがられるレイだったが、彼の心中は複雑だった。なぜなら、世間知らずで緊張に弱い彼は、中学の修学旅行でも熱を出してしまい一人で寝て過ごしたのだ。そのため、レイの両親は、彼のエモーションフェスティバルへの参加を反対した。
だが、情けない自分を変えたがっていたレイは、その反対を押して電車に乗ったのであった。

[エモーションフェスティバル]
秋葉原と思しき場所で開催されているエモーションフェスティバルは、彼には新鮮であったが、また極度の緊張を強いられるものであった。ついトイレに逃げ込んだレイだったが、扉の先には、驚くべきことに異世界が広がっていた。

[メイヴちゃんとの遭遇]
扉の向こうがトイレではないことに驚くレイ。もとの世界に戻る扉も閉じてしまい戸惑っていると、さらに褐色の肌をした少女に敵と認知されて襲われしまう。慌てふためいて走り回るレイであったが、天から舞い降りた女性が彼が救ってくれる。その女性の名はスーパーシルフ。スーパーシルフは、褐色の少女・メイヴに、レイが敵ではないことを教え、彼の窮地を救ってくれる。
さらに未だ事態を理解できないでいるレイに、また一人の少女・シルフィードが空から降りてきて、ここが異世界であることを知らせる。彼女の語りだした世界は、驚愕のものだった。
なんとレイが現在いる場所は、イメージの世界だったのだ。レイの目の前に見えている少女も、アニメファンの情念が結晶したものだった。そして、レイが通ってきた異世界への扉は、イベントで集まったアニメファンの情念が多くなりすぎて、開いてしまったのだ。

[JAMの攻撃]
こうして異世界の成り立ちに驚くのも束の間、レイはJAMからの攻撃を受けてしまう。彼はシルフィードに手をとってもらい、どうにかJAMから逃げ、洞窟に隠れた。そこでは、さらに信じられないような事実を知ることになる。

[戦闘妖精少女の運命]
この世界に住む彼女たちは、あくまでもアニメファンのイメージから生まれたもの。つまり、アニメファンの心が、他の作品に移ってしまうと、飽きられ忘れられた彼女たちは、消えなくていけなくなってしまう。
自らの運命を嘆き悲しむ、少女たち。その彼女たちを慰めるべく、レイは自分の過去を話し始める。それは、高校受験に追い詰められていたときのことだった。彼は自分の存在すら厭わしく思うほど落ち込んでいたが、アニメの登場人物たちの頑張りに触発され、自分から行動できるポジティブな人間になろうと思った、と。そうやってアニメから恩を受けたレイは、今度はアニメに生きる彼女たちも元気になって欲しいと訴える。
レイの真摯な言葉に胸を打たれた少女たちは、彼をもとの世界に戻して、自らも過酷な運命に立ち向かう決意をする。

[忘却の魔物]
翌朝、レイを元の現実世界に戻そうと、ゲートに向かう少女たち。
その前に「フォゲッタ」という怪物が立ちはだかる。彼は、忘れ去られるアニメのキャラクターたちを暗黒の世界に引きずり込もうとする「忘却の魔物」だった。
フォゲッタと戦いつつ、レイをゲートに届けようとする少女たち。そこでフォゲッタは、レイをこの異世界に呼び込んだのは自分だと語り出す。彼の狙いは、なんとアニメファンの眼前で少女たちを消し去ることだったのだ。
フォゲットやJAMの攻撃により、今にも消えそうになるシルフィードやメイヴ。それでもなおレイを気づかう少女たち。彼は消えようとするゲートに一度は歩き出すが、彼女たちのひたむきな姿に感動し、立ち止まる。
そこで奇跡が起こる。現実世界のテレビやパソコンの画面には、映るはずのない異世界の戦いが中継される。そこで叫ぶレイ。
「君たちには僕がついている。たとえ他の人が忘れたって、僕は絶対に君たちのことを忘れない。だから、がんばれ!」

[最後の戦い]
彼の悲痛なまでの励ましは、消えかかっていた少女たちを立ち上がらせる。そして、ついに全員の攻撃により、フォゲッタを倒すことに成功する。彼女たちの勝利を見届けたレイは、今度こそ元の世界に戻ろうとゲートに向かう。しかし、ゲートにはもう人が通れる隙間はなくなっていた。
困り果てているレイの携帯が鳴る。そこには、
「YOU HAVE CONTROL OUR FRIEND REI」
というメッセージが流れる。それを見たレイは、この世界にまだ留まることを決意する。

[エンディング]
歌です。キュンキュンビーム。


死して咲く花、実のある夢。

未見の方は、こんな拙いテキストではなく、どうか現物を見て欲しいものです。
「ストーリーを知ってしまったから、もう見る必要がない」
と思っているのなら、それは間違いです。

この作品は、体験することに意味があるのです。
見てもいないのに批判するような腰抜けには用はありません。

特に原作を読んでいる方には、必見の作品となっております。多忙な人生に強引に隙間をつくってでも体験して下さい。


戦闘妖精・雪風(改)

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グッドラック―戦闘妖精・雪風

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