常識について思うこと

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「負け組」たちへのエール

2008年06月12日 | 社会

先日の秋葉原の事件に関しては、既に記させていただいたとおり(「惨劇を無駄にしないために」参照)であり、今回、罪を犯してしまった人については、一切同情の余地はありません。犯した罪の重みを受け止め、残った人生のすべてをかけて、償いをするほかないのだろうと思います。

しかし一方で、罪を犯す前までの彼が考えたり、悩んだりしたことは、よく理解できます。彼は、自分自身を「負け組」と呼んで、社会に対して絶望し、「負け組」になった自分を恨んでいたようです。そして実際、彼と同じような気持ちになっている人々は、世の中にたくさんいるだろうし、そういう人々が社会に絶望したり、自虐的な発想をしたりしているだろうと思うと、それはそれで心が痛みます。

表現の問題はあるにせよ、実際に世の中は、いわゆる「勝ち組」と「負け組」に分かれつつあります。社会全体は、「勝ち組」がさらに勝ち続けるための仕組みが強化されながら、競争そのものもますます激しくなってきています。「勝ち組」のなかですら、さらに勝ち続ける者と脱落者に分かれていくなかで、早い段階で「負け組」に入ってしまった人々にとっては、絶望的な状況といってよいのかもしれません。そういう意味で、罪を犯す前の彼のような人々は、非常に多く存在するでしょうし、彼自身が言っているように、見方によっては、そういう人々をいつ暴発するか分からない「犯罪者予備軍」といえる側面があるように思うのです。

けれども、私はそうした「犯罪者予備軍」と言われかねない方々に、もっともっと自信を持っていただきたいと思います。

「勝ち組」と「負け組」に分かれて、熾烈に競争を繰り返す社会には、大きな問題があります。競争から脱落し、「負け組」となった人々ばかりが悪者扱いされたり、ダメ人間扱いされたりするのは間違っています。むしろ、今の問題ある社会に対して何の疑念も抱かず、それにドップリと浸かった生き方をしている人のほうが、重症かもしれません。

いわゆる「負け組」のレッテルを貼られている人々は、そういうレッテルを貼る社会の仕組みや価値観の方にこそ問題があることをきちんと認識し、己の正しさを信じ、ひたむきに生きていれば、それでよいのだと思うのです。

もう少し、踏み込んで言えば、そもそも「勝ち組」、「負け組」という言葉は、どこかの誰かが勝手に作ったものです。そんなものに左右されることはないはずです。もし、どうしても「勝ち組」、「負け組」という言葉を使いたければ、それは全ての人生を終えたときにはじめて使える言葉だと考えるべきでしょう。人間は生きている限り、無限の可能性を秘めています。負けていたとしても、最後に勝てばよいのです。試合は完全に終わるまで分かりません。その人の人生の価値や勝負の結果は、人生を終えるときにしか決まらないということを、きちんと認識しなければなりません。人生の途中段階において「勝った」、「負けた」というのは、お遊びのようなもので、それに惑わされるのは真剣に生きていない証拠でもあります。己の信じた道を忠実に守りながら、人生を全うすることこそ、人生の「勝ち組」になるということであり、それは誰にでもできることのはずです。

自虐的になる必要はないでしょう。自暴自棄になってもいけません。自棄を起こして、他人を殺傷するようなことは、絶対にあってはならないことです。取り返しのつかない罪を犯してしまっては、取り返しのつかぬ代償を払うことになります。自らの行為で、他人はもちろん、自分までも不幸のどん底に落としていくのは、あまりにも馬鹿げています。

これから、社会の仕組みやルールは大きく変わります。仕組みやルールが変わったときに活躍をするのは、既存の仕組みやルールに縛られていない「負け組」と呼ばれる自由な人々でしょう。私は、「負け組」の人々が、この時代を耐え抜けば、きっと次のステージで輝けるときが来ると信じています。耐えることは、とても辛いことでもありますが、耐え抜いた者たちだけが行ける輝かしいステージがあるのも事実だと思うのです。

「犯罪者予備軍」と呼ばれて本当の犯罪者になってしまうか、新しい時代で活躍していく人間になるかどうかは、誰が決めるわけでもなく、その人自身の意思と選択にかかっていると思います。

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「負け組」たちよ。
耐えて、耐えて、耐え忍べ!
今、爆発するな。もったいないぞ!
せっかくなら最後に笑え。
明るい未来を信じてみろ。
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「負け組」代表より

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