降版時間だ!原稿を早goo!

新聞編集者の、見た、行った、聞いた。
「降版時間」は新聞社整理部の一番イヤな言葉。

★新潮文庫版『メディアの興亡』写真を説明します=番外(4)

2012年10月04日 | 新聞

若い人から
「あの~、『メディアの興亡』新潮文庫版表紙の白い方(写真左)、グリーンの方(同右)って何ですか?」
と言われた。
白とグリーン写真こそ、新聞社のホット時代とコールド時代を表しているのだ。

【新潮文庫『メディアの興亡・上』カバー=白写真】
鉛活字時代の鉛版(えんばん)。わずかに凹凸が見えるでしょ。写真協力は「日本経済新聞社」とあるから、日経印刷の輪転かな。
この鉛版を使って、日経東京本社の活版印刷が終了したのは、1978年3月12日午前1時15分だった。

【同『メディアの興亡・下』カバー=グリーン写真】
初期のCTS組み版ディスプレー。
僕も覚えている--でっかいブラウン管テレビのようなLDT(レイアウト・ディスプレー・ターミナル)が、製作室に数十台並んでいた。
当時は、右に製作オペレーター、左に面担整理記者が座り、ディスプレー右側の「素材メニュー」を指示しながらコマンドでつかんで流した。立ち合い組み(実際は座っていたけど、笑)。
僕ら整理にはとてもじゃないが理解できない、複雑&煩雑なコマンド指示(Y65が「流し」とか)が必要で、
端末メーカーで実習を受けた製作オペレーターでないと動かせないほどだった。この写真も日経提供。

グリーンのラインは、記事やエトキのデータを意味している。ズームは出来ず、
「ああ、記事が流れているね。ああ、見出しが置かれているね。ああ、画像が置かれているね」
しか分からなかった。
僕のような、ちゃらんぽらん整理記者が記事を切り損ねて、アフレのまま降版しようとすると、該当グリーンラインがピコンピコンと点滅して
「降版デキマセン。記事アフレテイマス」
とメッセージが出て教えてくれた。
そんなことに
「ああ、コンピューターって素晴らしい!」
と感激した(笑)、当時は。


--現在は、システムをダウンサイジングして普通に使っているけど、『メディアの興亡』を再読しながら、あらためて思った。
「日本IBMと朝日新聞東京本社ネルソン、日経新聞東京本社アネックス・プロジェクトチームの大先輩たちが、社運をかけてつくりあげたCTSは、縦組みになじむ完成度の高いものでした。
重ねて、偉業に深い敬意を表したいです」


(^_^ゞ

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