またもや電源ケーブルに嵌る --BELDENダブルツイスト--

去る9月中旬に1本の電源ケーブルを購入した。またもやの購入である。愚妻からは「そんなにケーブルばかり買ってどうするの！！」と叱責を受けること数回。「試してみなければ、いい音には巡り会えないんだから～」と訳の分からないことを言って誤魔化しつつの購入ではある。なにせチクマの電源も今年2本も買っちゃっているし。あぁ、もちろんデジタルケーブルも・・・。アッ、スピーカーケーブルも・・・。
さて、今回の電源はベルデンの3芯シールド構造の19364をデュアル（2本）で使用しているもの。プラグとインレットにはWattgateの5266iと320iを使ったハンドメイドな電源ケーブルである。また2本のケーブル自体を交互にツイストさせた形状に作り込まれているも好ましい。長さは2mの新品。作りも非常に綺麗で頼もしい限りだ。そして安い。
このケーブル、実は以前からヤフーのオークションには出品されていたなのだが、意外にも長いこと買い手が付かなくて、放置プレイとなっていた。最初この電源を見た瞬間に「絶対にいい音がするはず」と思ったのだ。しかし上述のようにかなり長い間売れなかった。実に不思議だ。それならば僕が人身御供になれば、というわけで購入したのである。うーん、言い訳だな、これは。
我が家では、サウンドデザインのアンプSD05に、カルダスのゴールデン・パワーをここのところ使っていた。このケーブルは音の厚みとキレの兼ね合いがとても良く、特にピアノの音は、このカルダスを使う以前と以後とは比べものにならない位に音質の向上が体感出来るものだった。
しかしである。やってみるまで分からないとはこのことで、見た目同様にエージングが済む前から今回のベルデンは鮮度の高い音がして、ヌケのいい音が部屋に充満したのである。恐るべしベルデン。以前のベルデン電源（シングル）とは比較にもならない。
カルダス・ゴールデンパワーの中低域の厚みというのは、楽器が本来持っている音がしっかりと再現出来て、十分に満足のいくケーブルであった。ピアノのスケール感は本当に素晴らしい。音に艶も乗る。しかし聴いていると中域以上の帯域、特に高域での冴えが今ひとつかなぁと感じられるCDなどがかなり出てきたわけだ。特に新作系のクラシックやジャズなど、新録の超優秀録音作品というような盤の音を聴くと、どうも音に鮮度が足りないのだ。そうこのカルダスはジャズで言えば、50年代から80年代まではいい音で鳴るケーブルなのかもしれない。情報量も相当あるケーブルだと思っていたが、これが今回のベルデンで一気に「部屋中、新鮮フレッシュ・エアー」という音場に一変した。流石にベルデンである。まぁ、もしかするとプラグとインレットの音の良さもあるのかもしれないなんて思うのだけれども。結果はオーライである。
   
ワレリー・ゲルギエフ指揮のLSO Liveであるマーラーの6番、1番、7番、3番と連続で聴いていくと、もうそこはロンドンのバービカンホール。それもホール中央やや前で聴くオーケストラがパノラマ状態で展開する。ちょっと見え過ぎちゃって困るの～状態にはなるのだが、ホルンの響きやグランカッサなど、もう最高なわけです。それにしてもとんでも無いSACDですね。聴きしに勝る超絶録音盤群です。各楽器の定位がここまでしっかり見えるものも少ないのではないでしょうか。SD05でアナログ受けでSACD層の音を聴いたわけですが、デジタルでCD層の音より良かったのは、初めての経験。やっぱりDSD録音の良さがSACDで出ているとしか言いようが無いです。
ジャズもECMなどのピアノのクリアなことと言ったら、聴いていてウットリ状態になります。そう言えばハービー・ハンコックの『ゼン・アンド・ナウ』も＜処女航海＞＜カンタロープ・アイランド＞なんていうブルーノートの音源が2曲入っているんですが、これが本家ブルーノート盤より確実に音がいいのは、なぜ？って感じ。70年代のバンドでの曲も、こんなにいい音だっけ？という素晴らしさ。ちょっと脇道に逸れますが、これはきっとマスタリングがいいのでしょう。同じくハンコックの『リバー』でも、スピーカーの間に音場という高い壁が見えるような雰囲気に。うーん凄いなぁ。
というわけでエージングも済んで「いいなぁ、これ！」とこのところ聴き専門になっていたのだが、またもやヤフオクで素晴らしい電源ケーブルに出会ってしまった。ヤバイ。これはまた別の機会に。まだ購入して1週間。エージングで変貌を遂げつつある。