犬小屋:す~さんの無祿(ブログ)

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「コタキ兄弟と四苦八苦」をまたほめるよの前編

2020年04月21日 | よみものみもの
主人公が実はゲイ/レズビアンだったのでーす
というところが物語の肝になっているドラマなどを観ると、
(雑な言い方をするよ)
マジで引く。
30年前の月9かよ。

今、日本のドラマで登場人物がセクシュアルマイノリティであるという設定は、
まだ「当たり前にいる人」とはなっていない。
実生活の中でそういう感覚になっていないからだろう。

そんな状況の中で、では「いかにセクシュアルマイノリティを受け入れるか」
というところがドラマの内容になっていると、好感が持てる。
今の日本の性的多数派である異性愛者と性別二元論者にとって、
課題はそこだからだ。

マイノリティ自身の問題は、社会が受け入れる前に、
身近な人々が受け入れる、またその前に、
本人が受け入れるというステップが必要になる。
本人が受け入れてこそ、社会の中で生活していくことができる。
受け入れる社会だからこそ、本人も受け入れやすい。

卵が先か鶏が先か。
鶏が卵を産み、卵が鶏に成長する。

日本で最初の大きなLGBTプライドイベントは、
1994年の「レズビアン&ゲイパレード」であった。
私はその実行委員をした。
自分のような困難を、次世代の人がしないように、
そう願って仕事をした。

テレビドラマは社会を映す。
「コタキ兄弟と四苦八苦」を観ながら、
こんなふうに真摯で分かりやすい表現が出てくる世の中になった、
自分の仕事も一隅を照らしたかな、と感慨深い。

とっくの三月に最終回を迎えたが、その前の回の中から、
ちょいとセリフを抜粋する。
再配信にでもなったらまたここで紹介するので、
そんときを待って是非観て欲しい。



[あらまし] 兄、古滝一路。弟、古滝二路。

カタブツだが休職中の兄と、チャランポラン主夫で別居中の弟。
二人のキャラクターの違いが、依頼人を巡るストーリーの中で展開するのが
面白い。

毎回のサブタイトルには仏教で言う四苦八苦の名が付く。

テレビドラマと言えば相応しいのは「愛別離苦」じゃないか、
なぜ使わないんだろう、と思っていたら、
取っときのところで使ってきましたよ。

四苦を「生老病死」と言うけれど、
私は、「老」も「病」も「死」もどれも二次的なもので、
「生」が有るからくっ付いてくるのだ、と思っている。

今回、紹介したい第11回のサブタイトルこそ、「生苦」である。



[あらすじ]
兄弟オヤジは喫茶店シャバダバに入り浸っている。
今日もアルバイトでやっている「レンタルオヤジ」の依頼人をシャバダバで待つ。
現れた依頼人のミチルはなんと、シャバダバのバイト店員さっちゃんが同棲していた元カノだった。

さっちゃんは高校生の頃に母親にカミングアウトしていた。
ミチルはそのようには自分を受け入れられていなかったし、
ミチルの両親も娘がレズビアンだということは受け入れられていない。

ミチルの親は歯科医で、ミチルも国家試験を控えている。
さっちゃんはミチルの部屋に住み付いていたことがミチルの親にバレてしまった。
二人の関係を続けるなら親子の縁を切る、とミチルは言われた。
そんな苦労を世間知らずのミチルに負わせるわけにはいかない、という本心を隠し、
さっちゃんはミチルに「嫌い」とうそぶく。



一路「確認していいだろうか」
二路「だめ。本人が望んでないセクシャリティの話はするべきではない」
さっちゃん「自分で元カノって言っちゃったし、私はオープンなんで、大丈夫です」
二路「そっか。(一路に向かって)それでも、他の人に勝手に言うのはアウトだかんな」



一路「えっとー、つまり、さっちゃんは女の人が好きということ?」
二路「まだそこかよ」
一路「だって、さっちゃんは女性の恰好してて、さっきの子も女性の恰好で」
さっちゃん「性自認が女性同士のカップルです」
一路「せいじにん?」
さっちゃん「性別の、自己認識。」
二路「だからな、性自認が男だったら、男の恰好しようとしたり、
   中には性別を変えたりする人もいるけど、性自認が女だったらそのまんまなんだよ」
一路「なんでスイスイ理解してんだよ、二路のくせに」
二路「だって予習済だもん。」

二路には娘がいる。
もし娘がそういうことを言い出したら、と中学校教師の妻が言って、
本を読んで夫婦で話し合ったのだ。



さて今日はここまで。
つづきはまた明日。
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