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まんどぅーかのサンスクリット・ページで復習篇

2020年11月10日 | 梵語入門

[あらすじ] 東大仏教青年会に、サンスクリット中級講座が開設された。
今までは初級の次が上級で、ハードルが高かった。
中級しかもオンラインなので持って来いである。

が、今年の春から半年、サンスクリットから離れていた。
細かい文法事項が頭から抜けてしまっている。

サンスクリットでは語の・性・数・格を解くことが、
文意を読み解く重要な鍵となる。

韻律を重視するため、語順がとんでもないことになっていることも有る。
修飾語と被修飾語の位置が文の中であっちとこっちに離れていたりする。
そんな時も、・性・数・格をきちんと解いてあれば、
離れた二語が結び付いているものだということが判別できる。

この作業の感覚を取り戻さにゃならない。



私がサンスクリットの独習を始めたのはほんの4年前だ。
学習を始めるにあたって、とても役に立ったサイトが有る。
『まんどぅーかのサンスクリット・ページ』である。
https://www.manduuka.net/sanskrit/index.htm

文法の解説も有る、変化表は有る、簡単な梵和辞典も有る、
簡単じゃない英独のサンスクリット辞典も何冊か画像で引くことができる、
テキストは解答が付いていないことが多いが、例文検索もできる、
読本も有る、もちろん訳も付いている、
入門テキストの数々の紹介も有る、
サンスクリットをパソコンで学ぶための色々な技術の紹介も有る。

つまり、学習する術をなんでも教えてくれる。
これが、学者などではなく、市井の個人が作ったサイトなのである。



ちなみに、漢文やパーリ語やウルドゥー語やヒンディー語のページも有る。
ラテン語やギリシャ語の知識も持っているようだ。
つまり、仏典や聖書をさかのぼって研究するための語学知識の泉なのである。



その後、たどって行ったら、この方は植田真理子さんという
元男性で女性になった、牧師さんだと分かった。
私がその事実にたどり着いた時に、既に真理子さんはこの世の人ではなかった。
数年前に自死していた。
残念で残念でたまらない。
このように、(そう、おそらく自分で付けたのであろう名前を見てもわかるとおり、)
真理を求めて学び続けた人が、いなくなってしまったとは。
多くの探究者を導くこともできたであろう人が。



『まんどぅーかのサンスクリット・ページ』の目玉は、
「文法概説」のページである。
これは、1916(大正5)年に荻原雲来が著した『実習梵語学』を
真理子さんが現代語に解きほぐしたものである。
ものすごい仕事量だ。
現代語訳のみならず、追加の「補講」で解説を加え、
原典の中の演習の「解答」も作っている。
初学者にありがちな迷いも、自身の経験から語ってくれている。

実は、2015年にこの『実習梵語学』の現代版が
『実習サンスクリット文法』(吹田隆道編著)として出版された。
真理子さんの死後のことである。

著者は僧侶で学者つまり専門家である。
対して、真理子さんはタクシー運転手である。
客待ちの時間を利用して独学を続けた人だ。
ああ惜しい惜しい。

インド的に考えれば、
真理子さんが今生で積み重ねた学びは、きっと来世にも引き継がれ、
というか、全ての人の解脱のために資するに違い無い。
ただ、現世にいる私としては、もうちっと同じ時代に生きて、
もうちっと導いてもらえたら私が楽だったのになー、と思う次第。



新訂版『実習サンスクリット文法』を手元に、
『まんどぅーかのサンスクリット・ページ』で答え合わせをしたり
解説を読んだりして、文法を復習しよう。

それが、真理子さんの徳に対する最大の称賛になるだろう。

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