[あらすじ] 庭のクヌギの根方がむしむしランドになっている。
毎日夜更けに汗びっしょりで目が覚める。
そしてしばらくは眠れない。
明け方の涼しい時間にやっと眠る。
しかし5時を過ぎたらもう横なぐりの陽射しだ。
犬も散歩の帰り道は足取りが重い。
梅雨明けが早かったので、すでに気分は八月十日頃のようだ。
気分のもとは体の感覚だ。
八月初旬には、秋が兆す。
明け方の空気とか、夕方の風とかに、ちらり、と秋の気配が見え始めるのだ。
まあ、そこから秋らしくなるまでがまた長いのだが。
体感としては、もうそんな時期になってもいいと思うくらい、
充分に暑い時期を過ごしたのだが、まだ7月下旬だ。
ああ、今日は我が飼い犬ジーロさんの誕生日だ。
今日で13歳。
まだまだいける。
※
哺乳類がバテる中、変温動物は駆け回る飛び回る。
くぬぎに集まる虫の数は、じわじわと増えている。
種類も増えた。
アゲハと、何か茶色系の蝶がいる。
口吻(ストロー)を伸ばして、幹の表面を探っては吸っている。
カブトムシがやっぱり一番強い。
と言うより、カブトムシの雄同士が喧嘩して、
周りの虫がそのとばっちりを受けている、といったところだ。
他の虫はみんな平和に樹液を吸っているのに、
カブトムシの雄だけはちょくちょく喧嘩するのだ。
強い雄がその角で相手を投げ飛ばして、勝負は決まる。
それまでのすったもんだで、他の虫たちは蹴散らかされている。
迷惑なことだ。
カブトムシの雄は、何かと乱暴だ。
雌に対しても、乱暴だ。
雌をただただ追いかけ回して、後ろから背に乗っかる。
その間、雌はとにかく逃げ続けるのだ。
じっとしていることが無い。
逃げて逃げて逃げ続ける。それを雄は
追って追って追い続ける。
何か、非常に、いたましい。
人間様としては、見ていてつらくなる。
これはカブトムシの世界であって、人間と比較したり、
擬人化して捉えたりしてはいけないと重々分かってはいても、
それにしてもなかなか、いたましい。
雌が逃げ続けるのが、そういう印象を人に与えるのだろう。
ああしかし、もっとひどいのは鯉だ。
一匹の雌を、5匹かそれ以上の雄で追い回すのだ。
それは激しい追及で、ビシャビシャと水音もはなはだしい。
それに、何かにおう。くさい。
※
カブトムシのいる場所は、独特のにおいがする。
ちょっと甘いようなにおいで、私は好きだ。はっきりと、好きだ。
ただ、どうやら私の好きなそのにおいのもとは、おしっこらしい。
都会でも、街路樹から不意ににおってくる事が有る。
いるのかい?いるのかい?
決してお勧めはしませんが、カブトムシの交尾の様子を撮った動画をアップしたのでご案内まで。
https://youtu.be/OrGlb0aZ9OU