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映画ブロガーら有志23名による「10年代映画ベストテン」発表!

ターミナル

2005-01-06 02:06:26 | 映評 2003~2005
スピルバーグは大好きだ。いや大好きだった。少なくとも「アミスタッド」までは。「E.T.」や「ジョーズ」はもちろん、皆が批判する「フック」や「アミスタッド」まで僕にとっては最高の映画の中の映画だった。
しかし、あれれなんか乗れないぞと思ってしまったのは不思議なことにみんながほめまくる「プライベート・ライアン」だった。以降「A.I.」「マイノリティ・リポート」「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」と、何故だかどれもこれも全く楽しめなかった。理由は色々あるのだが、まあつまるところ、僕はスピルバーグを卒業してしまったのかな、と勝手にそんな風に結論付けていた。
しかししかし、これまた一体どうしたことだろう。「ターミナル」は本当に素直に面白いと感じ、ラストでは泣いてしまった。自分で自分がさっぱりわからん。
本物の空港だとばかり思っていたのに、後から聞くと「実物大のセット作った」はあ??全く苦労知らずの金持ち野郎だな、別にバスの待合室でもいいじゃねーか、あるいは怒られるの覚悟でゲリラ撮影やってみろよ、なんだってライトコメディにそんなに金使うんだよ、ばーろーめ・・・などと思いつつも、やっぱり「ターミナル」を思い返すと幸せ気分に襲われてしまう。
マイノリティばっか登場させて、アメリカの縮図ですかあ?映画は人種を問わず楽しめるものです、そしてアメリカはそんなオールマイティな映画を作れる懐の広い国です、もちろん私も懐広いですってかあ??そのわりにゃアラブ人出てこないじゃん。もともとパリの空港に住み着いたイラン人から着想した映画だろがよ。あ、そうか、あんたユダヤ人だもんね。アラブはやっぱ敵。・・・などと無意味でバカげた難癖つけようとしても、世界中のいやなこと全部ないことにして世界平和をへらへらと語る中学生的知能のこの映画を思い返すと、自然と顔がにやけてラブ&ピースな思想に支配されてしまうのだった。
トム・ハンクスってなんかでっぷりしてて、悲壮感漂ってこないからさ、例えばジョセフ・ファインズみたいな悲しくも情熱的な俳優使った方がいいんじゃないの、と思いつつも、ラストの「家に帰るんだ」のセリフがトム・ハンクスの口から吐き出されると、とめどなく涙が溢れてきてしまった。ま、そうはいってもこの映画を支えている俳優は脇役陣だと思う。特にキャサリン・ゼタ・ジョーンズが!!
やはり企画の勝利なのだろうか?空港の乗り換えロビー限定という閉鎖的状況ではあるが何ぶんバカ広いJFK空港だから閉鎖的にもならない。閉鎖的かつ開放的という妙な場面設定は、細かいこと気にせずリラックスしようよという気分を蔓延させて、できすぎな夢物語にすんなり入らせ、もちろん画面にも変化を与えて物語にメリハリも付けるし、もともと小技より大技得意のスピルバーグには全てが良い方向に働いたのだろうか?それまでのスピルバーグ作品のようにあっちこっち飛び回ったりせず一か所にどっしりと腰をすえて、じっくりとしかし気楽に作ったのが「ターミナル」だ。本作からは、野心をとっぱらって仲間内と映画遊びに興じているような楽しさがにじみ出ているようだ。
とにかく久々に、スピルバーグよ楽しい時間をありがとう、と心から思ったのである。

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1 コメント

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アミスタッド観ました (馬刺のりすけ)
2005-06-24 13:20:26
面白かったです。迫力ある映画でしたね。
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