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映画ブロガーら有志23名による「10年代映画ベストテン」発表!

血と骨

2005-01-06 02:01:24 | 映評 2003~2005
これは多分、崔洋一の最高傑作だろうと思う。暴力とセックスを執拗に繰り返し描くばかりではあるが、単にそれが好きだからというだけの繰り返しではなく、その向こうに主張がある。幾百幾千のダイアローグよりも異様なほどエネルギーあふれる行動を持って体に伝えてくる。
理解できないどころか殺したいほど憎んでいる父親。中途半端な存在ではなく想像を絶する化け物。怖い。たしかにこいつは怖い。金勘定を覚えた野生のゴリラみたいな男だ。こんな奴が近くにいると思うだけで逃げ出したくなるのに、それが自分の父親である。恐怖と憎悪の対象が自分の血となり骨となっている気持ち悪さが観てるこっちにも伝わってくる。
ごく小さなコミュニティである朝鮮人社会という舞台も、話の濃密さを増していい感じに機能している。
たけしは演技が上手いわけではないのだが、存在感ありすぎるのと、下手に技巧に走らず闇雲に暴れ回る感じがこの役にぴったりはまっている。この映画で俳優としてなんかの賞をもらったとしても充分納得できる。
ところで、この映画はちょっと見方を変えると、正統派怪獣映画のようでもある。外国生まれの怪獣が日本に上陸。破壊の限りを尽くし、人間側は反撃し時に善戦するが、結局怪獣の圧倒的パワーの前になす術なく、やがて満足した怪獣は故郷に去っていく。崔洋一には東宝で怪獣映画撮ってもらいたい。(動物の演出に長けていることは「クィール」で実証済み)
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