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映像作品とクラシック音楽 第93回 『劇場版 響け!ユーフォニアム〜誓いのフィナーレ〜』

2023-08-05 18:22:00 | ビデオ・DVD・テレビ放映での鑑賞
前回は絶賛放送中のアニメ『青のオーケストラ』について書きまして、ストーリーや映画的演出のうまさに心打たれるものがありつつも、アニメ表現としての物足りなさにフラストレーションが溜まるのも事実で…
そうしていると、以前にも書いた『響け!ユーフォニアム』をまた観たくなりまして、未見のままだった、響けユーフォの劇場版にして、TVシリーズ第2シーズンの続きに相当する『誓いのフィナーレ』を観たのでした。

…いやあ、京都アニメーションの技術力と表現力は本当にすごい。予算の差もあるのかもですが、明らかにそれだけの問題ではない凄さがありました。『青のオーケストラ』もこれと比べられたら可哀想です。格が違います。
青オケで描く弦楽器と比べて、響けの管楽器の方がアニメ表現しやすい、というのはあるかもしれません。弦楽器は腕を大きく動かしますが、管楽器の演奏で動くのは主に指ですから…と思ったけど、やっぱそう言う問題じゃないのです。演者一人一人の微妙な肩の揺れ、息づかい、表情、と演奏シーンの一コマ一コマに熱い血が通っているのを感じるのです。それに加えて構図のうまさ、流麗なカメラワーク、編集のテンポなど、本当に素晴らしい。
クライマックスの10分近くにわたる関西大会での自由曲「リズと青い鳥」の演奏シーンは圧巻というほかありません。
(実は演奏の重要パートであるオーボエとフルートを担当する2人の涙のドラマが、スピンオフ作品『リズと青い鳥』で描かれており、それと合わせて観ることで演奏シーンにより深い感動が生まれたりします…ので次回は『リズと青い鳥』について書こうかな)

はあ、青オケの演奏シーン、これほどとは言わないけどもう少しなんとかならんかなぁ

さて、テレビのシーズン1〜2は、久美子や麗奈が1年生の時の物語。
この映画版第三弾で描かれるのは久美子が2年生部員として頑張る1年間です。
オープニングから幼馴染の塚本君に告白されるという久美子的に衝撃の展開(久美子以外の部員および観客にとっては、え?塚本の気持ち?知ってたよ、てかまだ告ってなかったの?な展開)からスタートします。
久美子と塚本の恋を軸に話が展開するのかと思いきや、我らが久美子が恋と部活を両立できるほど器用な娘であるはずがなく、2人の関係にもなにやら暗雲が垂れ込めてきます。
ともかく、2年生として初めて後輩たちを迎えることになる久美子たちですが、麗奈は例によって唯我独尊だし、葉月は自分のことで目いっぱい、緑輝(さふぁいあと読むが本人はミドリと読んで欲しがる)は例によってマイペースで、必然的に久美子が一年生の育成担当になるのでした。

生意気だったり、扱いづらかったり、協調性なかったりで、超めんどくさい1年生たちに悪戦苦闘しつつも去年果たせなかった全国大会優勝に向けて頑張る北宇治高吹奏楽部。

ユーフォニアムのパートにも可愛らしい一年生部員が来ます。久石奏ちゃん。しかしこいつがなかなかの厄介者でして、人の心を見透かすような駆け引き上手に、中学時代のトラウマ体験が変に作用して、かはりめんどくさいキャラとなりユーフォパートに波紋を立てます。久美子と奏ちゃんのぶつかりあいが本作のドラマ的なメインとなるのですが…

奏ちゃんよ、お前誰に喧嘩売ってんだよ。
あのあすか先輩とのディベートバトルに激戦の末勝利した久美子だぞ。役者が違うんだよ。お前なんか格下ザコキャラかませ犬だよ!
しかしそんな奏ちゃんに対しても、叫びながら全速力で走って追いかけ屈服させる久美子は、まさに獅子はウサギを狩るのも全力を尽くすかの如し
2年生の久美子もやはり心を熱くさせてくれます。
関西大会の演奏に観客として、あすか先輩と、泣き虫(元)部長の晴香先輩と、同性受け抜群の香織先輩が駆けつけるところはほっこりします。私の推しの晴香先輩は例によってあすかにいいところ取られて目立てず、でも客席でやっぱり泣いてるところが素敵です。

とは言え今回は久美子と後輩の物語がメインとなり、そのほかのドラマに動きはあまりなく、物語としては接続エピソードな感じは否めません。

そうしたら、なんとまあ、久美子3年生編の劇場版が今年(2023)の8月に劇場公開じゃないですか!
今度は久美子部長です!
おお!
部長スキルならミドリや塚本の方がありそうに思えるけど、でも部長は久美子がなるべきです。久美子が部長なら頑張れる!頑張んなきゃって気になれる!
さあ、北宇治高ついに全国制覇か!
麗奈と滝先生はどうなるのか!
葉月は今度こそ選抜メンバーに入れるのか!
塚本の想いは!
ミドリは…まあ、あのまんまなんでしょうね
北宇治ぃぃファイトぉぉ

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それでは今回はこんなところで
また素晴らしい音楽と映像作品でお会いしましょう

p.s.
誓いのフィナーレの公開が2019年4月
その年の夏にあの凄惨な京アニ放火殺人事件があり、本作のスタッフを含め多くの命が失われました。あの事件で亡くなられた方々のご冥福を心よりお祈りしつつ、暴力に屈せずに響けシリーズの新作が作られる京アニの皆さまを心から尊敬します

#映像作品とクラシック音楽
#響けユーフォニアム
#ラヴェル祭 笑

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