前列左2人めからLouBarlow(b.)、Murph(dr.)、J.Mascis(vo.g.)
Dinosaur Jr. ダイナソーJRを覚えているロックファンって、現時点どれほど存在しているのでしょうか…そんな疑問が頭をもたげる映画『実演!バグ/ダイナソーJR』(原題:BUG DINOSAUR JR. Live at 9:30 Club IN THE HANDS OF THE FANS)をグランジ好きでもなかった自分が観たのは、映画解説の最後の文章を読んだからでした。
「ヘンリー・ロリンズ(Black Flag)のインタビューも収録の他マイク・ワット(ミニットメン)、キース・モリス(B.フラッグ、サークル・ジャークス)、イアン・マッケイ(マイナー・スレッド)も映る!!」
尊敬するIan MacKaye兄貴がFUGAZIの前のパンク・バンドMinor Threadのみでクレジットされてるのもトホホな感じでしたが、最近(2011年春)の彼の映像を見られる!と胸ときめかせて劇場へ。しかし、向かう途中、最後の言葉「映る」というのを思い出し、インタビューとか出演とかではなく、あくまで「映る」という表現がイアンは1カットくらいチラっと映るだけなんでしょうね...という不安に変わり、だれだれモードになりました。そしてその予感は的中しました。群集の中に1カットでなく2カット見つけられたのが、せめてもの慰めでした。
映画詳細はDinosaur.Jr.公式HPで。
といっても公式HPはマーチャンダイスの場みたいなので、内容はよくわからないかもしれません。ダイナソーJR.のディスコグラフィーはコチラのサイトがお薦め→DINOSAUR JR.
90年代にオルタナティヴと呼んでいたジャンルの意味が、時が経てば意味がなさなくなるように、オルタナティヴ・ロックのグランジと括られていたダイナソーJr.は、ニルヴァーナ(の前座もやったことある)の成功と共に人気も上昇しましたが、カート・コバーンの死後グランジの消滅と共にダイナソーの存在も薄れていきました。日本の音楽専門誌では、フロントマンのJ.マスシスの脱力ヴォーカルスタイルがもて囃されてたのを記憶しています。しかし、私はそのサウンドがあまり好きでもなかったので曲は憶えていません。
映画は、「ファン激撮 実演!」と日本のチラシに書いてある通り、2011年にワシントンD.C.でのギグをダイナソー・ファンにビデオに撮ってもらい、それを編集して映画にしたものでした。一度解散した彼らはオリジナルメンバーで2005年に再結成しており、別人と化したJ.マスシス以下メンバーが企画を説明するところから始まります。ネットでファンに呼びかけ選ばれた5人(だったかな?)を会場に招き、ライヴがスタート。3rdアルバム「BUG」を全曲とアンコール2曲を演ります。
こんなへヴィだったっけ…というサウンド、本当に本人がプレイしてるのか?と疑惑の目でスクリーンを見つめながら、でもファンが撮影したJ.マスシスの運指のアップ映像で、なんとなく納得させられながら彼らのライヴを観ました。MCはほぼありません。ヘンリー・ロリンズはいつ出てくるんだろう?BUGの最後の曲をやる前に、ボーカルはゲストに歌わせると言ったので、ここか?と思ったら名前を呼ばれて登場した男はどうみてもフツーのファン。曲は誰でもすぐ歌える「Don't」。Why~don't you like me~♪を思いっきり叫びながら繰り返します。「なぁぁぁぁぁ~ぜぇぇぇぇぇ~ おまえはぁぁぁ~おれをぉぉ~きらいなんだぁぁぁぁああああああ~~~」て歌でした。
笑えました。
ルー・バーロウのベースはかっこよかったし、ドラムのマーフも頑張ってました。お腹にギターをのっけてヘタクソな歌を唄う「白いロングヘアのおっさん」のJ.マスシスが、途中から、解散前のあの痩せて幽霊のような風貌に見えてきた時は、さすがだなと感心しました。
アンコールを終えステージを下りる3人。そして映画も終了―ええ?まじでこれだけですか?これじゃフィルム・コンサートじゃ…ドキュメンタリー映画ではなかったことに漸く気づいた愚かな私でした。
愚かでもいい。ダイナソーの友人としてライヴのお手伝いに来ていたイアン兄貴が見れたし。会場の9:30ClubはワシントンDCでのハードコアの聖地(と個人的に思っている)の1つでFugaziも演っていたクラブだったから懐かしかったですし、、、、。