Simplex's Memo

鉄道と本の話題を中心に、気の向くまま綴ります。

岐阜の路面電車への再生の動きがここでも・・・。

2005-05-03 09:23:03 | 鉄道(岐阜の路面電車と周辺情報)
岐阜市とその周辺にはある種の幻想が広がっている。
「路面電車の再生」という名の幻想が。

既に神奈川県のNPOが「岐阜ライトレール」を立ち上げつつあるし、市民からの資金を募る路線トラスト運動も続いている。
両者の話を聞いている限りでは具体性、確実性に欠ける話としか思えなかった。
そして何より、資金的に潤沢な企業をバックに持たないため対名鉄、対行政への交渉力に欠けるのではないかという点が一番問題だと思っていた。

では、有力な企業が路面電車に関する資産を取得し、経営に乗り出そうとしたらどうなるか。
そんなことを考えていた矢先、今日の読売新聞にはこんな記事が掲載されていた。

記事を見ると関市のショッピングセンターを管理・運営する「サン・ストラッセ」が社内に鉄道事業を担当する部門を設けて新規に鉄道事業に参入したい、名鉄にはレール等の資産譲渡を申し入れたい旨を2日に表明したという。

鉄道事業のノウハウを持たない会社が新規参入を表明するということで、どこまで本気かと考えたが、既に鉄道会社数社と交渉を始めているという。既存の鉄道会社のバックアップを受けながら運営していくということなのだろうか。
また、企業、個人等から賛同者を募り、廃止前は54分かかっていた岐阜・関間を30数分で結んで使える電車に再生したいという。
所要時間を6割に短縮すると言うが、どのように縮めるのだろうか。
また、岐阜市内の乗降客にとって最悪な環境だった電停を改善するのだろうか。
そのあたりはこれから詰めていくのだろう。

前2者よりは資金力はあると思うが、問題は時間である。
既に譲渡される電車の搬出が始まり、架線の撤去工事も始まっている。
これらの資産取得に関する交渉にかけられる時間は工事の進捗を見ながら進めざるを得ないため限られたものになるが、これについても「まだ、レールには手が付いておらず、ここ1、2か月が勝負」という認識を持っており、短期に資産取得を目指す意向が伺える。社内に部署を設けたばかりであり、早期に資産取得に持ち込む交渉は可能だろうか。疑問に思う。

そして、岐阜ライトレール、路線トラスト運動との関係はどうなのだろうか。
協力して事業を進めていくのだろうか。それとも主導権を巡って争うのだろうか。
この記事を読む限り、そのあたりの動きが読めない。

一方、財産取得交渉の相手方となる名鉄は「自治体が窓口になるなら話を聞くが、業者だけでは話し合いに応じられない」という従来の立場を変えていない。
岐阜市をはじめとする沿線自治体が関与しなければ、名鉄は資産譲渡交渉には応じないということだが、「地元の熱意なき復活は無意味」という名鉄の主張は建前で、実のところ名鉄グループの岐阜バスによる公共交通独占が完了したばかりのところに岐阜バスと真っ向から対立する新規事業者の参入を嫌っているのだろうか、と勘ぐってしまう。

いずれにせよ、岐阜の路面電車再生を巡る動きはより混迷の度合を増してきたように思える。
その中から再生に結びつく計画は果たして出てくるのだろうか。

最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
初めまして (りふ(竜)=なごやん@めぐるす)
2005-05-09 22:50:17
こちらでは始めまして。めぐるす(含名古屋交通・歴史コラム)管理人のりふ(竜)=なごやん、と申します。



幻想とか妄想とか言われていますが、私自身は期待しております。ま、無論実行するのにも問題は山積みでしょうが。



ただ、今後どのように各団体が連携をとるかは重要だろうと思います。



逆に言うと、名鉄や岐阜バス、岐阜市が現状の地域交通に対する「不満」をどのように改善する方向に努力するか、にも関わっているだろうと思います。そういう意味ではある種の「試練」かもしれませんね。
返信する