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「永遠のゼロ」映画版

過日「永遠のゼロ」を映画でみた。

原作は世間の話題になる前に読んだ際にもブログで記したのであえて内容は語らないで、きょうは映画の感想を述べたい。

ネタバレになるのであまり細かくは言わないが、細部で原作のあの場面を伝えてほしかったという箇所がちょっと表現が弱いところがあって気になったし、宮部久蔵役の岡田准一がちょっと顔がカッコ良すぎだし、松乃役の井上真央も演技は上手だが可愛すぎだと思うが、なにせ原作は600頁ほどあるので、やはり映画にするとどうしても時間が限られるので 原作の小説としての重みが再現しきれないのはやむを得ない。エンターテインメントとして多くの人に観て貰うには、全体的にこのようなとっつきやすいものにせざるをえないというところか?そういう点で、エンディングの音楽もサザンが一番良いのかもしれないが、個人的にはもっと感動を助長させてくれる音楽があるような気がするが・・・

大石賢一郎役の夏八木勲はこれが遺作となったが、とても最後に良い仕事をされた。確か原作にはなかった最後の台詞はこの映画の主旨であり、夏八木勲さんの台詞として最後の演技としてすばらしい感動を与えてくれた。役柄からして枯れてはいるが、すばらしいのは 演技の中で余命幾ばくもない弱々しさがないのである。あの名優・緒形拳でさえも最後はやや弱っているなと感じさせたが、今回の夏八木勲は感じさせなかった。夏八木勲のすばらしさは 若い時も 老いてからも自分を飾らず 常にその時点の俳優、夏八木勲として心から真剣に演技に向かい見事に演じて来たことだと思う。 素晴らしい俳優の遺作にふさわしい演技だった。

さて、この「永遠のゼロ」右寄りだ左寄りだと軽薄な観点でさまざまな批評があるようだが、そんなことはどうでもいい。少なくてもこの作品は 戦争も特攻も賛美していない。戦争で未来ある若者が尊い命を失わさせられたことを残念に思い、それを私たちは忘れてはいけないということだ。

映画を観た人も観ていない人も 是非、原作を読まれることをお勧めする。

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