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バイオ・微生物実験好きな管理人による、研究仕事、日常、実験技術や理科系ネタのブログ

大食漢の細菌

2006-01-16 19:12:14 | 様々な微生物
あけましておめでとうございます。(おそい)
年末にコメントいただいていた皆様すみません。実家に帰省してしまいまして、返信がかけずにそのまま・・・となってしまいました。年初めに出足が悪くて申し訳ないです。

とにかく、今年は大変な年になると予想です。とりあえず、本年も宜しくお願いします。

さて、今年第一報目は、大食漢の細菌です。
ダイオキシンひと飲みスーパー細菌 京大グループ発表 (朝日新聞) - goo ニュース

体長の10分の1にも及ぶ「大きな口」をあけて物質をのみ込む特殊な細菌の遺伝子を、ダイオキシンを分解する能力がある別の細菌に組み込んでその力を倍増させることに、京都大大学院農学研究科の村田幸作教授(応用微生物学)らのグループが成功した。16日発行の米科学誌ネイチャーバイオテクノロジー(電子版)に掲載された。

 ほとんどの細菌は、体外にある高分子の物質を酵素で低分子に分解してから取り込む。ところが村田さんらは、体の表面に大口(体腔(たいこう))をあけて高分子物質を丸ごとのみ込んで分解する土壌細菌を発見した。

 スフィンゴモナスという細菌の仲間。この細菌から、大口の装置を担う主な五つの遺伝子を取り出し、別のダイオキシン分解細菌に組み込むと、大口からダイオキシン類を取り込み、従来型の半分の時間で分解・除去する「スーパー細菌」になったという。

 グループは、ほかの細菌にも応用できるとみており、重金属などの有害物質を浄化したり、有用物質を効率よく作ったりするさまざまな「スーパー細菌」の開発につなげたいという。

gooブログについているお絵かきツールを初めて使用して、きったない絵を描いてみました。
しかも構造とか分子の大きさとかすごくイメージ的でとってもアバウトです。
その辺ご承知の上、ご覧下さい。
通常、細菌にはポーリンと呼ばれる孔が細胞表面に開いていて、ある一定の分子の小ささにならないと細胞内に取り込むことが出来ません。
そのため、細胞外に栄養素を分解する酵素を分泌しているんですね。
さて、水田で見つかったSphingomonas sp.(スフィンゴモナス属)さんはそのポーリンを自由自在にデカクすることが出来るというわけです。

スフィンゴモナスの一族は、いろいろなことが出来るんですよねー。
環境ホルモンのビスフェノールやダイオキシンの分解能力をもっており、バイオレメディエーション(微生物を使用して環境浄化を行う)で将来を有望視されている細菌にはスフィンゴモナス一族が多いのです。
今回はその大口を開ける能力が、ダイオキシン分解能力を持つ別の細菌に遺伝子的に受け継がれたということですが、ダイオキシン分解能力を持つ細菌がスフィンゴ一族かは書いてません。でもその可能性が高いかな?

それにしても「くわっ!」と口をあける細菌てなんだかいやだな・・・。
大食漢というより口裂け女?

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
porin (大空 響樹)
2006-01-18 16:26:54
いいですねー。こんな感じで、環境保全に良い風がどんどんふくと良いですね。

ところでPorinがおおきなるときって、どんな風にしておおきくなっていくんですか?細胞膜に、同種のPorinがもっとたくさんあつまって、穴を広げるのかな?それとも、細胞膜間を行き来するSeaquenceの部分が長くなったりするのですか(日本の単語知らなくて、変な表現ですいません・・・)?



もすこし質問あるんですけど、やっぱり先ずArticle読んでからにします^^;



とりあえず、口裂け女になっちゃった人はこの最近をたくさんすっちゃったんでしょうね。
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すみません、本文は読んでなくて・・・ (spirillum)
2006-01-22 19:09:02
読める時間があればよいのですけど、せいぜいNatureは日本語訳版がサイトに掲載されたものくらいしか読んでないんですよ・・・お恥ずかしい。



それにしてもどうやって大きくなるのでしょうね。私のイメージ予想では、別な遺伝子がコードしていて、Seaquenceが長くなって孔が大きくなる、と思うのですが。それにしても変わってる細菌ですよね。



ニヤッとか笑ったら怖そう(笑)
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