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Route 53

今日も私は、この道を歩いて往く

社説【インフルエンザにタミフル 消えない不安】

2005-11-19 | 社説
【前書き】
 世界的に問題になっているのは、テロや人権問題だけではない。新型のインフルエンザが大流行する危険が高まっている中で、対策と協力が求められます。


【今回のテーマ】
【鳥インフルエンザウイルスが変異することによる新型インフルエンザの世界的大流行が現実味を帯びている。】(河北新報)

【WHOの見解】
【世界保健機関(WHO)は「人への大流行を引き起こす新型ウイルスが出現したら手遅れになる」と述べるとともに、「鳥インフルエンザが人から人へ感染する力を得て大流行するのは時間の問題。どの国も例外ではない」と警告している。】(世界日報)

【被害の規模】
【10月までにH5N1型の人間への感染が確認されたのはベトナム、タイ、インドネシア、カンボジアの計約120人。うちベトナムで41人、タイで13人、ほかの2カ国で4人ずつの62人が死亡している。このほか中国でも先月、感染によって1人が死亡した可能性がある。】(河北新報)
【国内流行で死亡者は17万人から64万人、入院患者は53万人から200万人、外来患者は1300万人から2500万人を予測する。】(京都新聞)

【被害の推移】
【現在流行している鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)は、一九九七年に香港で確認された後、アジアを中心に感染が拡大し、ことしになって欧州やロシアまで広がった。】(東京新聞)

【過去のインフルエンザ】
【新型インフルエンザの大流行例としては、スペインかぜ(一九一八年)、アジアかぜ(五七年)、香港かぜ(六八年)があるが、特にスペインかぜは、当時の世界人口の約半数に当たる六億人が感染し、死者は四千万-五千万人に上った。】(世界日報)

【日本政府の対策】
【厚生労働省が、政府の対応を定めた行動計画をまとめた。平常時から大流行時まで感染の状況を6段階に区切り、さらに各段階を、国外と国内の状況に分けて具体的な対応策を示している。】(読売新聞)

【現在の段階】
【高病原性鳥インフルエンザウイルスH5N1からの新型ウイルスの出現を想定した今回の行動計画によると、対策は六段階の「パンデミックフェーズ」に基づいており、現状は第三段階(鳥から人への感染は確認されているが人から人への感染は基本的にない)と位置づけられている。】(産経新聞)

【タミフルとは?】
【タミフルは既存の抗インフルエンザ薬の中では最も優れており、重症化を防ぐが、期待されるほどの劇的効果はない。服用による副作用も報告されている。ベトナムやわが国では既にタミフルが効かない耐性ウイルスが確認されており、備蓄だけでは安心できない。】(東京新聞)

【副作用とは?】
【米食品医薬品局(FDA)は、インフルエンザ治療薬タミフルを服用した日本の子供十二人が死亡した、との報告を受けていたことを明らかにした。】(沖縄タイムス)
【報告には、幻覚や脳炎などの精神・神経症状が三十二例あり、一例を除き日本での事例だった。その中には十二歳と十三歳の子供が服用後に自宅二階の窓から飛び降りるというショッキングな異常行動も含まれている。】(沖縄タイムス)

【今やらなければならないこと】
【タミフルについては副作用を懸念する声もある。使用した患者が死亡した例があるためだが、因果関係ははっきりしない。注意は必要だが、座して新型ウイルスの到来を待つわけにはいかない。】(読売新聞)
【都道府県の行動計画づくりはこれからで、タミフル備蓄はほとんど手付かずの状態だ。緊急用の医療態勢の整備も進んでいない。極度の財政難に苦しむ自治体が多い中、行動計画を策定してもその実施には不安がつきまとう。】(高知新聞)
【タミフルの効果は発熱期間の短縮や重症化の防止であり、特効薬ではない。不要な人もいる。インフルエンザの予防には手洗いやうがい、ワクチン接種が重要だ。】(毎日新聞)
【新型ウイルスに備えたワクチン開発はまだ動物実験の段階で、臨床試験は1年以上先といわれている。日本は開発が進んでいるとされるが、各国と協力して開発や試験を加速すべきだ。】(日経新聞)

【世界の動き】
【世界銀行は来年一月、北京で支援国会合を開き、治療薬の確保や医療、予防システムの整備、鳥を処分した養鶏農家への補償などに充てる対策費として総額十億ドル(約千百七十億円)の資金拠出を各国に募ることにしている。】(西日本新聞)
【米国は約8000億円の予算を投じてワクチンや抗ウイルス剤の開発と備蓄に取り組む姿勢を示したほか、欧州連合(EU)も国際協力の枠組みづくりを求めた。】(河北新報)
【韓国・釜山で開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)閣僚会議では、鳥インフルエンザ対策として、監視体制や情報の共有、防疫、途上国支援、ワクチン開発協力などを各国が協調して取り組むことを確認した共同声明を採択した。】(世界日報)

【大切なこと】
【二年前のSARS(新型肺炎)流行時には、感染の有無を「シロ」か「クロ」かと犯罪者のように報じ、故意に感染を広げたわけでもないのに「ウイルスをまき散らす」といった表現が用いられることもあった。こうしたことが続くと社会的な不安が増幅され、感染した人が治療から遠ざかることになって、対策はかえってとりにくくなる。病気になるのは抽象的な恐怖でもえたいの知れない不安でもない。人に対する想像力を失わず、正しく事態を恐れることは危機管理の第一歩である。】(産経新聞)


【後書き】
 「協力」という言葉が口先だけでは済まない状態になるかもしれません。新型インフルエンザの流行はやむを得ないにしろ、どこでどう広まっているかは予想できない。・・・と、まぁ不安は尽きませんから、あえて最後に産経主張を引用させてもらいました。冷静に対応できなければ二次、三次の被害が起きてしまいます。

 医療が進んでいない途上国や、老人や幼児など抵抗力が弱い人を優先的に支援する必要がある。インフルエンザの脅威が進む中で、中韓との関係がどうだとか言うつもりはありません。こんな時に協力できないならば、国交正常化なんてぬるい表現は一生使わないでほしい。謝罪できない国は感謝もできない国かもしれませんが、明確に日本の前向きな姿勢を示す機会でもある。

 インフルエンザの抗ウイルス薬であるタミフルと異常行動の因果関係は証明されていません。ここで、毎日新聞のおかしな記事を紹介しておきます。
【医師や薬剤師はタミフルを処方する際に、こうしたリスクの可能性も含め、副作用情報をわかりやすく患者に伝えてほしい。知っていれば患者側も心構えができる。ただ、タミフルと異常行動の因果関係は否定されていないが、確実ともいえない。】
 否定されていないが確実ともいえない???何が言いたいんでしょうか。「まだ分からない」でいいのに、何を堅い頭でややこしい表現をするかなぁ。そんな意味不明な状態で、どう患者にわかりやすく説明しろと言うのですか?毎日のおかしな文章は今に始まったことではありませんが、私も毎日に「わかりやすく伝えてほしい」と言いたいですね。

 できることならば、これ以上のインフルエンザ被害は広まらないでほしい。しかし、こういう事態で人間の限界を知り、気持ちを改める機会となる。国と国とのいざこざは絶えませんが、世界的な協力で一丸となって難を乗り越えてもらいたい。そして、うがいと手洗いなど身近にできることから対策に取り組みたいです。


【参考資料】
読売新聞 11月15日社説【新型流感 世界の対策に後れを取るな】
産経新聞 11月16日主張【インフルエンザ 事態を正しく恐れ準備を】
毎日新聞 11月15日社説【タミフル 副作用の可能性十分伝えよ】
日経新聞 11月15日社説【新型インフルエンザ 薬の備蓄急げ】
河北新報 11月9日社説【新型インフルエンザ 危険は目前に迫っている】
東京新聞 11月15日社説【新型インフルエンザ 最悪の場合も考えて】
西日本新聞 11月12日社説【国債連携で万全な対応を 新型流感】
京都新聞 11月16日社説【インフルエンザ 「新型」への具体策急げ】
高知新聞 11月16日社説【新型インフル 鍵を握る地方の対応】
沖縄タイムス 11月19日社説【タミフルで死亡 因果関係の早急な究明を】
世界日報 11月18日社説【鳥インフルエンザ 国際協調し“有事”の克服を】



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