Route 53

今日も私は、この道を歩いて往く

社説【教育現場 人の命に与える影響】

2005-11-19 | 社説
【前書き】
 各業界の不祥事も見逃せませんが、今回注目したのは教育です。少子化に伴って、過度の愛情が子供達に注がれています。しかし、その産物として人の命の重みが分からない子供が育っているように感じてしまいます。


【「なぜ、子どもに目線を向けて教育を考えられないのか」―二年半前に自殺した尾道市立高須小学校の民間人出身の元校長が遺(のこ)した言葉である】(中国新聞)
 長いこと教育を受けてきましたが、高校2・3年の担任だった先生が一番思い出に残っています。怒ると恐いけど、褒めることも忘れない、なにより生徒の目線に立って話してくれました。いじめや喫煙など、突っ張っている生徒はどこにでもいる。子供心なんて些細なもので、「気付いて欲しい」という優越感にも似た感覚で周囲へアピールしたいだけのように思います。教師は、頭ごなしに説教せずに、そんな生徒の気持ちも理解してほしい。そして、真面目だからと優等生に仕立て上げないで欲しい。子供は、そんなに賢くないから過信を助長するだけです。

【地方公務員災害補償基金広島県支部(支部長・藤田雄山知事)が、元校長と、その自殺について調査していた尾道市教委の元教育次長の二人の自殺を公務災害と認定した。行政側にも自殺の責任がある、と認めた判断である。】(中国新聞)
 私は、いつも生きる意味を考えてしまうので、自殺や死刑への理解は乏しいです。自殺の責任を認めたこととは別に、なぜ死ぬ必要があったのか分からない。昨今の自爆テロは、明らかに宗教の濫用だと思うのですが、命をもって意義を唱えることが正しいとは思えません。爆発で無関係な人の命を奪うことを考えなかったのでしょうか、そして校長の自殺にショックを受ける生徒の気持ちを考えたのでしょうか。自己満足としか思えない。生きることに苦労は付き物です。そこから目を反らすことは「逃げ」でしかない。

【元校長と元教育次長の遺族が請求していた公務災害補償について、広島県教委は「認定が妥当」との意見書を同支部に提出していた。
 ○相当の時間外勤務があった
 ○教頭不在時の県教委、市教委の支援が十分でなかった
―などと分析している】
(中国新聞)
 これからも、こういう風に対策が後手に回るパターンは出てくるでしょうね。アスベストやハンセン病も政府の怠慢が問題を放置してきました。日本という国、委員会という組織ではあっても、気持ちの中で「誰かがやってくれる」と目を反らしているのではないでしょうか。

【教委側は、国旗掲揚や国歌斉唱の扱いなどで、元校長と教職員の一部に対立があったことを指摘する。それに対し教組側は、それらの扱いが昨年と違うことを急に言われ、教職員に不満はあったが、元校長の指示通り行ったとして、対立を否定している。】(中国新聞)
 教育とは、一つの仮定であって、一つの筋道をの示す場所だと思う。行き過ぎた大人のエゴを押し付ける場所ではない。あくまで生徒が主役であることを忘れないで欲しい。何も生徒の好き放題にさせるべきだ、という意味ではありません。挨拶すること、人の話を聞くことなど当たり前のことができない生徒は徹底的に叱るべきだ。「ゆとり」は放任性が強く、未熟な子供の土台(理性)まで揺らぐ事態に及んでいる気がします。

【東京都町田市で都立高校一年の少女が同学年の少年に殺害された事件は、社会に衝撃を与えている。警察の調べでは、二人は幼なじみだったが、高校入学後、相手にされなくなったと感じた少年が少女に憎しみを抱いたとされる。】(産経新聞)
 妄想でしょう。親密でもない女生徒から、一言二言声をかけられたことに「自分に好意がある」と勘違いしていたという見方が強いです。そして、声をかけられなくなったことに「冷たくされた」と更に妄想は進行して殺害した。少年は、少女を50箇所以上も刃物で傷つけたというから、勝手に愛情を憎しみに裏返しして人の命を弄んだ犯行としか思えない。酷過ぎる。その後、返り血を浴びた制服は、嘘を吐いて母に渡している。産経は、「息子の異常に気付かなかったのか」と述べていますが、察するに少年は殺害後も至って冷静だったのかもしれません。

【少女が自宅で殺害されたと思われるころ、近所の人は少女の悲鳴や争うような物音を聞いている。不審に思いながらも、一人として警察に通報しなかったのは、なぜか。】(産経新聞)
 もう一つの怪事件ではある。人間関係が軽薄であり、極力関わりたくないという気持ちの現われでしょう。万が一、少女が生存していて通報により命が救われたかもしれないと考えると、傍観者も加害者に片足を踏み込んでいる。想い想われの気持ちは、面倒臭いでしょうか?私は、よく「重い」と言われますね。

【米国で最近、「ゼロトレランス(毅然(きぜん)とした対応)」という指導が効果をあげている。学校が明確な行動規範を生徒と親に示し、破った生徒には「居残り」「親を呼び出す」「停学」などの罰則を科する教育である。】(産経新聞)
 文部科学賞は、この精度の導入を検討しているようですが、相変わらず後手な対応ですね。何をもって「ゆとり教育」だったのでしょうか。子供達は、明らかな被害者です。ゆとり教育が行われる以前に、「日本人は働き過ぎる」なんて言われましたが、ゆとりを与えたお陰で殺人鬼を生んでいる。政府は、もっと焦るべきですよ。

 そして、夏の高校野球でも見られた、高野連の暴力反対運動もどうにかして下さい。教育を簡単に「暴力」に直結させるから、結果的に子供は甘やかされて育つ。そして、忍耐力のない大人になるんでしょう。親も少子化の煽りから、過度に愛情を注ぎ過ぎる。良し悪しの解らない子供の判断なんていい加減なことに気付くべきです。

 命の重さも解らないのは、短絡的で自己中心的な考えしか持ってないからですよ。礼儀があって関係を築く。相手がいて対話が成り立つ。当たり前のことを教えてこなかった大人たちが悪い。


【後書き】
 テロ対策の一つとして、テロリストの温床となっている貧困国支援を急務とするべきだと考えています。官製談合などの不祥事は、ある意味防ぎようのないテロ活動に近い。金に溺れた輩(大人)の仕業ですからね。それでもできることは、根源である教育の見直しだと思います。これ以上テロリストを増やさないように、人間らしい大人を教育現場から育んで欲しいです。


【参考資料】
中国新聞 11月12日社説【校長自殺に公務認定 「児童に目線」忘れるな】
産経新聞 11月16日主張【少年の教育事件 駄目なものは駄目と叱れ】



参考になったらクリックして下さい^^)