「染まずただよふ」

・・・塾講師スミレの日記・・・

『クローバー』

2010年06月27日 | 今日の1作 
今日は梅雨らしくジメジメムシムシザアザアの1日でした。
こんな天気だし、天気のせいか眼精疲労のせいか朝から頭が痛いしで
外に出る気になれず、家で読書したりしてのんびり過ごしました。

今日の1冊は、目に鮮やかな緑色の表紙のコチラ。
島本理生 『クローバー』 角川書店

自分の気持ちに正直な(でもちょっと屈折してもいて素直じゃない)女子力全開の華子と
そのお守り役で優しい(実は傷つきたくないだけの煮え切らない)理科系男子の冬冶という
大学生双子姉弟の物語です。
主人公だから、というのもあるだろうけど、私は冬治にいちばん共感したなあ。

就職も恋愛も、まだ将来がはっきりとは見えてこないモヤモヤ感とか焦燥感
自分の身に降りかかる出来事にスマートには対処しきれない
それは若いから経験不足だから当然のことであって
そこから学んでいくことが必要だし、そういう時期なんだよな。

文中に
「人間は人生の必要な時期に、必要な人間としか出会わないし、そこで色々と学び尽くして
 一緒にいることの意味がなくなれば遠ざかっていくのは仕方ない。」
という台詞があって、確かにそうかもと思いました。
出会う人だけでなく、遭遇する出来事に関してもそうなんだろうな、と。

2人を取り巻く人物たちの個性が強烈なんだけど、でも実際に存在しそうで
姉弟の関係、それぞれの恋人(未満?)との関係、親との関係
その辺も含めてリアリティを持って読めました。

リアリティは感じるけれども生々しくはない、というのも
こんな天気にはありがたかったな。なんとなく清々しい気分になりました。


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