僕に何ができる?
映画の感想です。
ラビットホール
二コール・キッドマン主演。今年のアカデミー主演女優賞ノミネート作品。
歳をとったけれど、相変わらずの美しい二コール・キッドマンでした。
喪失感は共有できない。
神は救いをもたらしてくれない。
それでも人間は生きていくしかない。
僕はこの映画がとても、とても好きになりました。
ストーリーや結末はありきたりなのですが、現実ではそんなもんだと思うからです。
現代には救いも宗教もないのかもしれません。
だからこそ
他者と関係性が重要になると思うのです。
独りで信じるという行為の限界が見えてきているのかもしてません。
文明の衝突/サミュエル・ハンチントン
国連英検対策として読みました。
世界史の復習と、学校では教えてくれない近代・現代の世界と宗教が主題でした。
著者は日本を独自の文化を有する孤立した中核国家として定義していました。
不思議な国というように記述していることに印象を受けました。
この本は文明・文化・宗教を軸として、西欧からの視点で世界を解析していました。
とても勉強になりました。
日本に生まれ、日々生活している当たり前の日常は、世界からの視点では特異なものであるということが想像できました。
この本に記述されているユーゴスラビア内戦、バルト三国などの内容は宗教が深く関与しているとは知らなかった。
西欧キリスト教圏内に、白人が信じるイスラム教が存在すること、
東方教会とカトリックは異なる宗教であることは全く知らなかった。
人間はこんなにも信じることが出来て、自分の正しさを認知してもらうために
戦争をも起こせてしまう。
人間のみが理性を有していると信じている人たちが、動物でも行うことがほとんど無い
同種間で殺し合う。目的と手段の倒錯。
日本はつくづく平和だと思いました。
ある世界的に著名な科学者が
研究とは究極的には運である
と言っていた。
僕はこの言葉をとても残念に思いました。
全く心に響かなかった。
運やジンクスを超えたところにサイエンスは存在していると僕は思います。
ラボの雰囲気も、メンバーも随分と変わりましたが、
僕は相変わらず何も変わらないのです…
高みを目指せば目指すほど、天賦の才を持つものの輝きがまぶしく感じられるようになる。自分の実力を把握できるだけの経験と練習を積んでいるからこそ、決してたどりつけない境地があることを思い知らされる。
風が強く吹いている/三浦しをん
普段な手にすることはない本でしたが、知人に紹介されたので読んでみました。
期待以上にとても、とても良かったです。スポ根青春小説かと思いきや、作者の意図は分かりやすいそれ以外にもあるように思いました。
文庫の解説に作者に言葉があるのですが、
「私自身、報われなかったのはがんばらなかったからだという考え方に納得がいかないからです。才能や実力のない人に到底たどりつけない目標を与えてがんばらせるのは、人間を不幸にすると思う。できる、できないという基準ではない価値を築けるかどうかを、小説を通して考えてみたかった。報われなかったからといって、絶望する必要はないんじゃないか、と」
そう、この小説は持つ者と持たざる者との共生がテーマだったような気がするのです。
お互いが出来ない部分をどう補完しているか、個性的な個人から成る集団をどう方向づけるのか。
研究という行為は、走るという行為に似ているのです。どこまででも孤独で寂しい行為。
この小説はマラソンではなく、駅伝がテーマなのです。
持つ者と持たざる者が同じチームで勝利を目指す競技。
ここが研究とは決定的に異なるのです。
僕はやっぱり人間が好きみたいです。独りでは頑張りきれないようです…
昨日、ニッポンのジレンマ 第2弾をやっていた。
興味深く観ることができた。印象的だった意見としては
実務感覚を養うこと
行動には消費期限が存在すること
この手の番組は誰もが納得できる良い議論だけれど、一方でその結果としては社会は何も変わらないということがよくある。
信念を基盤として、行動して現実を変えること
ここが何事においても大事だと思います。そしてこれが一番難しいことだとも知っています。
個人的には歴史家の與那覇さんの意見が凄く面白かった。
他の論客は現在から未来へとの展望を語るのが中心なのに対して、彼は一人過去からの視点で現在を俯瞰していた。
歴史は年号を記憶する学問ではないことの証明。
彼だけが透徹した客観的な態度で挑んでいた。これはサイエンスの視点に似ているなと思いました。
彼のような人間が政府のブレインとして活躍してくれれば、善くなる/悪くなるは別の問題として、現実は変わると思います。
春は嫌いです。
いつまでも明るい夕方は、身の置き所が分からなり、しばし混乱します。