読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

幸田真音著「大暴落ガラ」

2017-06-22 | か行

前作「スケープゴート」の続編。大学教授から金融大臣、官房長官となった三崎皓子だったが総理が倒れて・・・与党・明正党の総裁選で惜敗しながら、野党議員の投票により日本初の女性総理大臣となった皓子。党の重鎮議員の反対で組閣もままならない。そんななか、危機管理官より、「秩父に大雨が降っており、このままでは荒川が決壊、都心が水に沈む可能性がある」との情報が入る。さらに追い打ちをかけるように、台風八号と九号が発生。皓子は日本では例がない「緊急事態宣言」を提案するが、経済の停滞を理由に閣内で反対の声が上がる。あかね銀行のディーリングルームではその頃、「ガラだ! 大暴落だ! 」絶叫が響いていた。一瞬でドル円相場が20円も飛び、159円をつけたのだ。東京都心を直撃する大規模な自然災害、ゼロ金利政策を続ける日銀への信用不安。いつ現実のものとなってもおかしくない二つの危機に襲われた日本を、皓子は初の女性総理大臣として立ち向かうことに・・・。

際限なく続く異次元金融緩和に慣れて機能麻痺した国債市場と無節操な財政運営が秘めている差し迫った危険さに対する警鐘。何かのショックでこれが一気に顕在化する問題を描いているのだがその解決方法があまりにも私的人間関係に依りすぎて安直さにガッカリ。テーマが大きいわりに深堀されてなく人間描写も薄い。近い将来女性首相が誕生するかは今の現状を見るとまだまだ感がるがテーマとしては面白かった。

20173月中央公論新社 

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