インターネットの憂鬱

仮想空間と現実の狭間で

face bookのビジネス

2012年04月29日 | 雑感

face bookには、個人のface bookと、企業や商品が販促に使うface bookページがあるのだが、
個人の方には問題は多い。最近は、それを指摘する人も少なくないので、あえて推論も交えて書いてみた。

face bookという会社は、昨年4,000億円という売り上げを記録し、さらに上場を発表した。
CEOのザッカーバーグが自分の給料0円にすると、話題になったことを覚えている方も多いだろう。
ご存知の通り、face bookは無料で使用できるわけである。すべて、タダである。
現在、世界で8億人の登録者がいるそうだが、そこからは一銭も徴収していない。

なのに、売り上げ4,000億円だ。

その7割ほどが、表示される広告収入によるものといわれている。
これまで、face bookは非上場企業のため有価証券報告書の作成義務はなく、
業績を公表していなかったので正確なところは分からない(2012年5月にナスダックに上場する)。

基本的に広告料金はクリックされた回数で決まる(その金額はオークション形式で決まる)。
仮にクリック単価が100円だとすると、昨年は40億回クリックされたことになるわけで、
登録者全員が5回づつクリックした計算になる。(ちなみに、私は広告をクリックしたことがありません)

ともかく広告収入なら結構だが、今年は上場もあって1000億USD=8兆円の売り上げ見込みというから、
いよいよ怪しい。ストックホルダーのプレッシャーが新たに加わるのだから、収益確保によりシビアに動くはずだ。

さて、日本でも以前から「データがすっぱ抜かれている」という噂は、わりと言われてきたことだが、
本家アメリカではface bookからの情報漏洩によって起こったトラブルが問題化している。
秘守義務違反で、会社を解雇されたとか。何かがバレてしまって、離婚するはめになったとか。
face bookをやったせいで深刻なトラブルが起きて、人生がドラスティックに変わってしまったのだ。

face bookは、お金の代わりに個人情報を徴収している(らしい)。
そのデータを整理しふるいにかけ、必要としている企業に売り渡し収益を上げている(らしい)。

不思議なことに、こういう出来事や疑惑は日本で報道されない。

その変遷や見解を考えても、face bookは個人情報を秘匿するよりも、むしろ公開を推進してきた。
タイムラインなんかは熱心に書き込んだら、これまでの人生までさらすことになる。
それで、あなたに何のメリットがあるのか? そんなに、丸裸で見られていたいのか?

スマホとface bookをシンクロさせると、電話帳のデータが吸い上げられる(そうだ)。
「重要な顧客データがだだ漏れになっても、あなたが無事でいられといいですね」

face bookからログアウトしていても、何を検索し、閲覧したか把握されている(そうだ)。
「あなたの嗜好が丸見え。どうか、恥ずかしい秘密が世の中に知られてしまわないように」

face bookからの情報漏洩が表面化したとき、たった一度だけザッカーバーグは
「ソフトの不具合だった」という公式見解を発表した。ソフトの不具合? 何に使うソフト?
シリコンバレーの知能を結集して作った、情報を吸い上げるための複雑なシステムのエラー?
そういえば、ザッカーバーグの彼女はface bookの情報流出によって、その存在が
明らかになってしまったというから、かなり高性能で平等なシステムではあるのだろう。

ある日、あなたの下に送られてきたface bookへの招待メールを思い出して欲しい。
その中に、招待者である送信者とはまったく無縁なはずの、疎遠になっている知人の名前があって、
「どうして?」「なんだか気持ちが悪い」と不思議に思ったことはないだろうか?

その時点で、見られていたのではないか?

まあ、よく目にする「そんなあなたは何々」なんていう鑑定アプリは、自分どころか友人の基本情報や
位置情報まで抜いて行くというし、ご丁寧に見ず知らずの人に友達申請してくださるアプリもあるそうだから、
もうめちゃくちゃだ。誰がどこで、何の目的で情報を抜いているのか、分かったものではない。

情報収集と策定はgoogleでもやっていることなのだが、face bookの場合は個人情報のてんこもりである。
しかも、たちが悪い事に「実名・顔出し」という基本原則に則った、ソーシャルで善良な方が多いわけで、
事態は余計に深刻だ。吸い取られる方は無防備のまま、吸い取る方には最高に都合が良いからだ。

次は、face bookページ最大の問題点といってもいい、SNS詐欺師の登場です。


※追記
4月22日の「デジタルデバイドの悪徳」で扱った業者は、ホームページ・リース被害では非常に有名な企業で、
何件かの訴訟を起こされているそうだ。ホームページ・リース被害は2009年頃、国会でも問題とされたのだが、
そういう業者の大半は現在ものうのうと平常運転中なので、ご注意を。


face bookの幻想

2012年04月27日 | 雑感

ある顧客の方から質問。
「face bookで友達が300人いるが、販促に役立つか?」

私の答えは「No」だ。

インターネットがらみのビジネスセミナーで、講師が口を揃えて言うのは
「これからは、face bookを大いに活用しましょう。どうしてかというと、
いま日本では登録者がどんどん増えているからです。現在は600万人を超えたと言われています。
すごい勢いで増えています。これを利用しない手はありません」という話だ。
(ちなみに、12年3月現在で700万人超)

ではまず、face bookに登録して、たくさんの友達に「いいね」ボタンを押してもらえれば、
物が売れるのか? あなたや会社の認知度が上がるのか? 業績が向上するのか?

きっと、何も変わらないでしょう。
face bookが販促に結びつくなんて幻想です。

①もともと、face bookは友人や知り合いのネットワークであり、そのクローズした関係の中で
情報は共有できても、外部の不特定多数の人間に向けて、どうやって情報を発信するのか?

②そこにいる人数を販促向上の理由にするなら、その何100倍も利用者がいて
分母が圧倒的に大きいインターネットそのもののほうが、確率論的にはおいしいはずではないのか?
しかも、ただ「いいね!」や「シェア」をしてもらっても、確保できる人数はたかが知れているから、
600万人すべてを相手にすることは、まったく不可能。そこに言葉のギミックがある。

③face bookにおける“まともな友達”の数は、その人の魅力や社会性に比例しているはず。
そうではないような人が、思うような他人の支持を集められるのか?

④日本におけるface bookの利用者の約60%が男性で、30歳代以上がコアな年齢層である。
このような属性の人々に興味を持ってもらえて、買ってもらえる商品を都合良く持っているのか?

⑤企業やブランドが使うface bookページは確かに別物で、販促の可能性を持っている。
しかし、もともと“ファンページ”と言っていたように、支持者を対象にしているわけだから
そこでメインとなるのはリピーターや固定客へのサービスだ。つまり、初めから人気や支持があることが前提。

ちょっと考えても、これだけの疑問や反論が思い浮かぶのだが、どう思われるだろう?
face bookもメディアであり、情報発信のツール=道具のひとつに過ぎない。そう考えると
適切な使い方をしない限り。そのポテンシャルをフルに引き出すことはできないだろう。

この話、もう少し続けます。


ウェブコンサルタントの妄言

2012年04月24日 | 雑感

“インターネットのホームページなんかで、物が売れるのか?”
“立ち上げたのは良いが、まったく手応えがないという話を聞くが?”
このような話は少なからず耳にするし、実際に顧客の口からも聞いたことがある。

そこで、次のような業者の登場となる。

“ホームページのアクセス数が少ないようですね”
“アクセス数がなければ物は売れませんよ”
“当社はアクセス数を今の10倍にする自信があります”
“月末にもう20万ほど売り上げがあったらと思いませんか?”
“インターネットには底力があります!”

アクセス数が10倍になれば、単純計算で今まで1個しか売れなかった商品が10個売れることになる。
じゃあ、100倍になれば100個、1000倍になれば1000個売れるのか。それは分からない。
もしも、その通りの結果になるのなら、みんなハッピーで天下泰平だ。

世の中に、そんなうまい話があるわけない。

“うまく行けば、倍々ゲームですよ”なんて言われた日には、ネットワークビジネスかと思ってしまう。
こういう限りなくブラックに近いグレーなセールストークをする業者が、いまだにいるから驚く。
“そんなに美味しい話なら、どうして誰にも教えずに自分でやらないのか?”と聞いてみるといい。

もちろん、見込み客には来てもらわないと話にならないから、アクセス数は多いほうが良いに決まっている。
問題は、実際に来てもらってから“どう買ってもらうか?”なのだ。

並んでいる商品が他に無いオリジナルで、出来の良い物だったら黙っていても売れて行く。
では、他にも同じような競合商品があり、過当競争のマーケットの中にいる場合は、
何で購入の判断をしてもらうのか? それは、価格なのか? スペックなのか?
では、どうしても価格やスペックで競合に勝てない場合はどうするのか?

“値段と中身が同じなら、包装紙の良い方を選びたい”
“あの人から買いたいから、わざわざ遠方の店にいく”
昔から言われて来た、このような消費者の心理であり真理を、ちゃんと考えてみることも必要だ。

1000人を呼んで10個売っても、100人呼んで10個売っても、同じ10個である。
どちらが効率的なのか? どちらがコストパフォーマンスに優れるのか?

私の会社では「メディアミックス」という概念によって、集客の効率化を図っているが、
見込み客の絞り込みとポテンシャルの確認にウェイトを置いている。
「メディアミックス」と聞くと、きっとこういうことを言う業者がいると思う。

“チラシやDM、広告はコストがかかるし、単発では効果がない”
“そういうことを強調するのは、インターネットを良く知らないからだ”

はいはい、ワロスワロスw
今どき、チラシやDMを安易に使おうなんてバカはいませんよ。
そして、インターネットを誰よりも熟知してらっしゃるあなた様は、
“メディア”という言葉の意味と、その定義の幅というものを知らないのでしょう。


デジタルデバイドの悪徳

2012年04月22日 | 雑感

前回に書いた、顧客の話。
そこが契約するホームページ制作業者について聞いて来たわけだが、
開いた口が塞がらないとは、まさにこのことだろう。

そのホームページの構成はありきたりのもので、サイズも小さい。ページ数は約30ページほど。
内部リンクは多い。タイトルは社名で、アピールポイントになるワードはないし、テキストは
整理されていない。依頼主の作成した原稿が流し込まれているようだ。画像の多くは、いわゆる雰囲気写真。
要するに、パッと見ただけで「出来の悪い」ホームページの見本のようだと感じるものだ。

詳しい構造の解析はこれからだが、とあるワードで検索すると1位に表示されるので
何かしらの仕掛けはあるようだ。しかし、そのワードが頻繁に使用されるモノかというと、疑問だ。

この、契約内容がすごい。

2008年から5年間のリース契約。1ヶ月の支払いは、おおよそ4万円。
年間約50万円、5年で250万円の計算になる。今なら5つのホームページを立ち上げられるほどの金額だ。
しかも、内容更新など新たな作業を依頼するにはその都度、別料金がかかるという。

テンプレートを使えば、素人がそこそこのホームページを作成できる時代に、特別な内容や仕掛けも無く、
年間約50万円。更新を依頼すれば、さらに料金が発生するという。絵に描いたような「やらずぶったくり」だ。
何しろ、リース期間が終了すれば更新契約をしない限り、現在のホームページは配信停止になる。
途中で契約を解除しても、配信停止だ。契約によっては違約金の話も出てくるだろう。

要は人質を取られたのと同じで、ホームページの所有権は業者側にあるわけだから、
現在のホームページを使う限り、こちらからは何も出来ないし、何も文句は言えないのだ。
こんな条件で、大金を支払うメリットはまったくない。あるわけがない。
もっとも、潤沢な資金のある企業なら、大金を払い好きなように指示するだろうし、
こういう業者も喜んで全力で仕事をするかも知れないが…

しかもだ。さらに驚いたのは、その業者のホームページでは、何やら独自の優位性を持つとかいう
自社サーバー使用となっていたが、実際にこの顧客に提供されていたサーバーは
なんと、普通に知られているレンタルサーバーだったという事実だ。
契約書の内容を精査していないから、何とも言えないが、心情的にはほとんど詐欺行為だ。

もちろん、契約書を取り交わした以上、余程のことがない限り業者を糾弾することはできない。
何しろ、こういう相手は最初から法的に問題の生じないギリギリの範囲で、
最大限の収益を上げるためのロジックで武装している。だから、何を言っても“後の祭り”なのだ。

このようなケースは、何もインターネットの世界に限ったことではない。
契約当時の顧客にはインターネット関連の知識がほとんどなかったため、業者の言うままに
契約してしまったというのが実態だ。つまり知識がなく、疑念を持たなかったわけである。
そんな人を狙うビジネスは、この世の中に蔓延していると言っていいだろう。
歴史や経験がないから判断しづらい、そういう新しいモノほどやりやすいというわけだ。

業者の所在地は渋谷。派手なデザインのトップページ。やたらと威勢のいい言葉。
専門用語を織り交ぜたセールスポイントの数々。夢のような“花畑全開”の世界観。
会社概要にはご丁寧に顧問弁護士の名前まで並ぶが、システムや料金の説明は一切ない。
典型的なパターンだ。そこから漂うのは、無知につけこむ悪意と、金満IT社会の経文である。

幸いにして、顧客側からもホームページにアクセスでき、内容の更新くらいは行なえることが
唯一の救いだが、「高い授業料でした…」と悲痛な表情を浮かべる顧客の姿を見ると、
憤りよりも「なんとかできないものか」と思案してしまう。間もなくこのリース契約は終了する
はずなので、ホームページの再構築も含めて、コストパフォーマンスに優れた方法を考えて行こうと思う。


ネットビジネスの虚構

2012年04月18日 | 雑感

昔、とある会社で通販用ホームページの更新や改良を担当していたのだが、当時の自分は
インターネットビジネスの仕組みや運用ノウハウを、良く分かっていなかった。

例えば、自社商品を競合する商品より有利に販促展開するためには、検索順位を上げることは
基本中の基本だが、そのノウハウが分からない。大事なのはホームページの構造なのか、言葉なのか。
あるいは業者に依頼して細工をすればいいのか。ネット広告を打てばいいのか。
とは言え、予算がないから社内で作業しているのであって、“金を使えない”状況だったから
自分で何とかするしかなかったわけだが、正直言って素人の自分はお手上げだった。

なにしろ、簡単にホームページが作れる今と違って、文字を変更するにもhtmlのタグ付が必要だったし、
便利なテンプレートやプラグインもなかった(あったにはあったが、使いこなすレベルではなかった)。
結局、大手通販サイトが有料で提供する原始的な作りのホームページでなんとか形にしたものの、
さらに課金されるサービスに加入しないとランクアップは望めないのが実態だった。

もうひとつ。商品ページや口コミサイトに書き込まれる口コミには、誹謗中傷や罵詈雑言が存在すると同時に
どう考えても“おためごかし”レベルにまでその商品を不自然に持ち上げるコメントが存在していた。
その両極端な評価の隔たりにものすごい違和感を持っていたら、ホームページのアップをチェックしていたとしか
思えないタイミングで、“そういう商売”の営業電話が来たのだ。10年近く前から“ヤラセ”は正々堂々と行なわれていたし、
下手をすれば通販サイトとその“業者”は裏でつながっているのではないかとさえ感じた。

今はどうか。

頑張れば素人でも、ちゃんとしたレベルのホームページができるようになったことや、制作業者が増えたことによる
実勢価格の引き下げと情報開示によって、バカ高い制作費を吹っかける業者はさすがに減った。
でも、今度は月々の保守管理料で儲けようと目論でいるらしい。レンタルサーバーの利用だったら、
せいぜい月々数千円程度の使用料だが、大したこともせずに月に万単位の契約を迫ってくるとか。

検索順位を上げるSEO対策も、ずいぶんと業者が増えて、やはりノウハウの開示や料金の引き下げが進んでいる。
それでもまだ、ブロガーにヤラセ記事の作成依頼をしたり、バックリンクを1件500円×20件のセットで売る業者がいる。
商品紹介に特化したブログや、ランキングサイトなどに不自然な内容のものが目立つのは、そういう背景があるからだ。
アウトソーシングのマッチングサイトには、「商品紹介記事を1本300円で10本書いて下さい」なんて案件がゴロゴロしている。

ちょっと前に流行った“見積もりサイト”にも怪しい輩が取り巻いていて、見込み客を1人紹介したら5,000円だと言う。
それはあくまでも見込み客であって、成約してくれる保証はどこにもない。それをひと月に何十人も紹介してくる。
「誰も知らないノウハウ」とか「いますぐ売り上げが10倍に」とか「これでモテモテ」なんていう、情報商材も相当怪しい。
今の流行は「フェイスブックで販促するヒミツ」と言ったところだろう。

ハッキリ言って、今の世の中に秘密なんてものは、そうそう存在しない。

本人がその情報を知らないだけか、知っていてもその情報を効果的に使いこなせないだけではないのか。
あるいは、情報の取捨選択ができないだけではないのか。ホームページ制作も、SEO対策も、見込み客の集客も、
情報商材の“特別な”内容も、必ずどこかで情報は開示されている。誠実な代行業者なら、その仕組みやノウハウをきちんと説明し、
顧客が実行できない部分を適正な価格で請け負うものではないかと思う。

「インターネットの業者に騙された」「高い金を払ったのに結果が出ない」という話をよく耳にするが、
今よりさらに無知だった頃の自分の、当時の心境が思い出される。何が正しくて、何が間違っているのか、
基礎知識もなく、的確な助言者もいないから、選択を迫られる場面でジャッジできない。そして、その時の気分や感情、
あるいは投機的な勢いで物事を決めてしまう。その結果、失敗するという図式がそこにある。

顧客をサポートするサービスをビジネスにしているのなら、そこで誠実なアドヴァイスをするはずだ。
例え、結果的に発注が獲れないとしても、顧客の利益に繋がらないのならダメな物はダメだと止めるべきだと思う。
そうはしないで、高いサービスを売り込めればそれでOK、後のことは知らない。あるいは違法行為ギリギリの方法で
無理矢理に成果を出すスタイル。さらには刑務所の塀の上を歩くがごとくの手口。そんな連中が少なくないのが
ネットビジネスの実態だと思っている。

いつの世も、無知に付け込む商売はなくならない。電気信号で成り立つインターネットという仮想区間だからこそ、
そのロジックや方法は欺瞞と虚構に満ちていると言ってもいい。

明日は、そういう業者の食い物にされているらしい、顧客のところへ出向くことになっている。