思惟石

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私を離さないで

2016-07-21 16:00:57 | 日記
村上春樹が好きです。
と、ちょっとした知り合いとかに言うと、
「うわあ、読書が趣味と名乗る人間のテンプレ~」
みたいな反応をされますよね。
されませんか?
(まさか私だけではなかろうな…)

まあ、いいんですが。

いや、どうでもいいわけではないけど、
どうもこの話題というのは
飲み屋でしてはいけない話題(政治・宗教・野球)の
次点あたりに位置していそうですし、
めんどくさそうだし、
うん、やっぱりどうでもいい。

で、先日、村上春樹の雑文集を読んでいたら、
珍しく村上さんが同時代(しかも同世代)の人について
言及していたわけです。
誉めていたわけです。

ものすごく珍しいな…!!と思って
ものすごく印象に残ったのです。

で、
カズオ・イシグロの「私を離さないで」を読みました。
という話しです。

感想までの導入が長くてすみません。

作家本人はこの作品に関して「ネタばらし」という概念はない
とおっしゃっているようですが、
これはもう間違いなく先入観無しで読んだ方がいい逸品ですんで
未読の方は、以下は読まないでください。


(以下、ネタバレ感想ですよ)


物語の体裁は、主人公の女性(30歳くらい?)が語る
こども時代の回想がベースとなって、
彼女が生きている社会の「特殊な仕組み」が
読者に明らかにされていくというもの。

読み始めてしばらくは「提供者」という表現が、
なんらかの抽象的な概念とか役割なのかと思っていたのですが、
冗談抜きで、文字通り、「提供者」であるということに
じわじわ気づかされます。

読了後、とにかくいろいろと考えさせられる感じがまたすごい。
結構な衝撃なのに、ゆっくり効いてくるというか。

主人公の語りの背後に広がっているであろう
沢山の人々の今までの人生とか、これからとか、
あれやこれや・・・
とにかく考えさせられて、混乱してしまいました。

私にしては珍しく(本当に珍しく)
本を閉じた後も小説に引っ張られてしまって、
仕事や家事がおろそかになるくらいでした。


ヘールシャムだって主人公の回想ほどの楽園ではないだろうし、
ヘールシャム以外の施設というものを想像するだけで
身がすくみます。

キャシーは、来年、どうなるのだろう。
臓器にも鮮度があるだろうから、
30歳を超えた提供者は引退できるとか、
そういう救いというか別のルートがあることを望みます。



とにかく名作!そしてヘビー!
重いよ!
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