【ML251 (Marketing Lab 251)】文化マーケティング・トレンド分析

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水樹奈々 コア層からのロイヤリティの高さ

2007年02月20日 | 女性アーティストブランド価値評価・構造
 今日は雨の一日でした。
 花粉症の人には「良い天気」ということになります。
 私も筋金入りの花粉症なんですが、今年はまだ気づかないフリ(シカト)してます。

 ところで水樹奈々このベスト盤が出足好調のようです。
 『THE MUSEUM』というタイトルもこの方らしいです。

 私は、彼女自身が作詞・作曲を手掛けられた曲を収録したこのシングル(↓)しか聴いたことがなかったのですが、単に歌のうまい“声優アーティスト”の域を超えたポップ・ロックセンスを持った彼女の才能はよくわかります。

  

 認知度・好感度は10代で高いのですが、CD購入比率も10代、20代で高いのはなかなかのモンです(普通、10代はアルバム買いませんからね)。

 とにかくCDの購入比率が高く、レンタル利用比率は低い(珍しい!!!)。
 無料(違法)配信で曲を入手する人の比率も高い(30代以上)のですが、それを差し引いてもロイヤリティの高さは驚異的です。

 CD購入比率では女性のほうが男性より高いですね、どちらかと言えば。

 声優であり、アニメ・ゲームのファンを取り込んだ彼女のことを考えれば、仮説通りの結果と言えます。

■価値構造

 価値構造をみると、とても面白い。

 価値構造を簡単に説明いたしますと、例えば「声質」の評価(スコア)が高まれば、魅力度がアップする確率が高い、ということなんですが、彼女の場合もそう。もちろん好感度もそうです。

 だから少しでも多くの評価項目同士の相関係数が高ければ高いほど、ユーザー(ファン)の心理面で「好ましき化学変化」が起こるという仮説が導き出されるのです。

(今は低くても、どのスコアを高めればどのスコアが高まるか? という仮説を導き出すために使うのが「価値構造」なのです)

 「多くの評価項目同士の相関係数が高い」ということが、水樹奈々の価値構造の特徴であります。
 
 魅力度、好感度ともに、基本価値(「声質」など)とほぼ同程度のスコアで、感覚価値(「ファッションセンス」「ルックス」)が貢献しています。

 さらに、

 「曲の洗練さ」「曲の構成の良さ」(基本価値)と「存在のカッコよさ」(観念価値)との相関が強いこと。

 「曲の洗練さ」(基本価値)と「ファッションセンスの良さ」(感覚価値)との相関が強いこと。

 これらは他のアーティストでは中々見ることの出来ない価値構造です。

 さらに面白いのは、「時代遅れでない」「フレッシュな感じ」という評価項目(感覚価値)が、魅力度に強い影響を与えていることです。

 彼女の場合、曲も演奏(アレンジ)も決してイノベーティブ(革新的)とは言えない。
 サウンドも打ち込み系やメタルサウンド(アニメ系では定番ですね)。

 しかし、客観的にみたときの音楽性が新しい・古いということではなく、コア層の心理において「新しい」と認識されていることが重要なのです。

 この“鮮度”を保つことを“イメージ戦略”と言うのです(笑)。

■ブランド価値評価

 デビューから6年近く経っているのにも関わらず、感覚価値の「時代遅れでない」「フレッシュな感じ」のスコアは低くはありません。

 感覚価値で唯一、スコアの低さが目立つのは「セクシーさ」。
 しかし、彼女の場合、このスコアは低くていいのです。

 最も重要な観念価値では、「人に自慢したい」「自分に必要」のスコアが高い。
 これも仮説通りです。

 声優系アーティストの場合の典型であると推察されるのですが、基本価値、感覚価値、観念価値の中で、観念価値が突出している、つまり「ロイヤリティが高い」のが彼女の特徴です。

(J-POPアーティストで最も多いのは、基本価値が高くても、観念価値が低いパターン。特に新人)

 ブランド価値評価では多くの言を要しません、彼女の場合はね。

 セールスのアップを図る戦略において(これにも多くの言を要しませんよね)、肝心のブランド価値を貶めるような間違いさえ起さなければ、まだまだ成長する方でしょう。
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