背中で泣かしてくれる犬

辛い時家族は皆

ちょいと太めの我が家の愛犬に慰めてもらった

娘が泣いていればとなりにぴたりと寄り添って

その肉付きの良い背中を貸してくれた

皆この背中に顔をうずめて泣いたのだ

とことん泣いて気が済むまで決して動かず泣かせてくれた

不思議なことに嘘泣きでどんなに泣いても見向きもしない

声を押し殺して泣いていても本気のときは来てくれる

忘れられない

皆さんは過去の何気ないひとときに幸福を感じたことないですか

私は30年前の大学時代

下宿先で見た青い空と

その時の思いを忘れることができません

私のためだけに流れていく時間

誰にも乱されることのない安らかな心

何もかもが恐ろしいほど平和で

筆舌に尽くしがたいほどの尊いひとときでした

もう二度とこんな風に思うことはないだろうと感じました

取るに足らないありふれた日常・・・

しかしあの瞬間、泣きたいほどに尊いと感じる幸福感が

確かにあったのだ