セントの最新映画・小演劇150本  

観賞数 2017年 映画61本 演劇79本。

沈黙法廷(佐々木 譲 著) (新潮社 2016) 75点

2017-10-23 22:57:42 | 読書遍歴
さすが佐々木譲。読ませる文章で550ページはそれほど苦にならず。 警察から、弁護士から、そして被疑者の関係者から全く等距離でこの単純な事件を描き切っている。通常はどれかが主となって展開するものなのだが、公平なんだよなあ。だからこそ力作となったと思う。 けれど、警察のでっち上げのような逮捕も小説としては少々疑わしく、真犯人の描き方も雑ではある。この辺りが気にはなったが、一気読みはミステリーの定番 . . . 本文を読む
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婚約者の友人 (2016/仏=独)(フランソワ・オゾン) 85点

2017-10-21 19:21:49 | 映画遍歴
勝手に見限って最近5作ほど見ていないオゾンの新作。安定した定位のカメラワーク。美しいモノクロ。人の心の分かり易い(現代に比べて)第一次世界大戦後という時代設定。もう、今までのオゾンの才能をすべて発揮した秀作となっている。素晴らしい。 2時間、もう見惚れたかのような快感の持続。これぞ映画を見るときのひたひた来る至福を体全体に感じる。この映画は見て何かを考える映画では決してない。映画を見ることの本源 . . . 本文を読む
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ユリゴコロ (2017/日)(熊澤尚人) 80点

2017-10-19 18:24:10 | 映画遍歴
僕としては映画で久々に吉高由里子を見られたというのが一番。しかも、絶妙で迫力のある演技。彼女はやはり映画女優ですなあ。この題材を現代で堂々と映画館で上映されるのも好ましい限り。 ただ、この特異な病気(と言ってもよいだろう)の女性が辿る遍歴の中でのあの、リストカットの延々描写がぼくにはきつ過ぎた。スクリーン左壁の非常誘導灯を何回見たことか。 ミステリー的要素はほとんどないが(あんなに警察が甘いと . . . 本文を読む
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演劇畑ハッピーナッツ「TOY・BOXをさがして」(作・うえだ淳 + 春海るり 演出・岡田英樹 )(於・芸術創造館) 80点

2017-10-15 19:52:33 | 演劇遍歴
20周年第2弾。こちらは子供時代に戻ることのできるハートフルファンタジー。12歳から27歳までを出演者が自由に丹念に柔らかく演じている。子供時代に演劇に目覚めたその時の感覚を大事に大きく描いた作品である。 実にみなさん童心がいまだ十分に、また豊富にあるようで、しみじみした味わいまで発露するいい作品になった。 川田氏はまさにこういう役が得意中の得意の人。自分に何をも色づけずに出せる役柄で、繊細で . . . 本文を読む
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演劇畑ハッピーナッツ「ハート・エンジン」(作・うえだ淳 + 春海るり 演出・岡田英樹) (於・芸術創造館) 75点

2017-10-15 19:37:06 | 演劇遍歴
20周年の記念公演。第一弾はただただ走りまくるほんわかファンタジー。主役小出太一は汗だくで狭い舞台を80分疾駆している。18歳の役だけど、頑張ってる。 内容は交通事故であの世に行ってしまった一人の男の、そのあの世での奇妙な話です。かなり軽い展開なので、それほど生きるとか、死ぬとかをあまり考えないコメディではありますが、見ていてみんなお若いなあと思う。体力にも自信があるのかな。安定感があります。 . . . 本文を読む
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あやめ十八番「三英花 煙夕空」(脚本・演出 堀越涼)(於・シアトリカル) 90点

2017-10-09 18:10:23 | 演劇遍歴
これは凄い劇でしたぞ。最初時代を感じさせる「もののふ言葉」で入りづらい面があるが、慣れてくるとそれが快感になる。美しい日本本来の言葉をジーンと感じている。 通常の時代劇ではなく、何かしら能にも通じているような芸術性がかなり高いように思えた。驚きました。こんな芝居をする劇団は関西ではないと思います。それだけ、東京での小劇場の密度の高さを窺うに十分な秀作でもあった。 だいたい、僕はしょっちゅうシア . . . 本文を読む
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ドリーム (2016/米)(セオドア・メルフィ) 80点

2017-10-08 18:19:36 | 映画遍歴
久々に邦題がナイスな映画です。そうこの映画は、人間がどんな環境にいようと、諦めることなく希望をもって進めば何か生み出されるといった、今の現代では不透明になってしまったずばりガッツ映画です。 ちょっと良過ぎの展開であれっと思ってしまうが、冒頭でいつものようにこの映画は事実に基づいた映画と出ているから、それについては不問にします。 映画的テンポもほどよく、黒人女性の3人の話だけれども、全然退屈しな . . . 本文を読む
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去就: 隠蔽捜査6(今野 敏 著)( 2016 新潮社) 85点

2017-10-07 19:59:21 | 読書遍歴
このシリーズも6作目。通常はそろそろマンネリしそうなものだが、ところがどっこいますます面白さを増している。もうサラリーマンを卒業した吾輩であるが、俄然痛快な竜崎の心根にただただ脱帽。 そして今回は発生する事件にかなりのひねりがあり、ミステリーとしてもなかなか新味があり、惹きつけられた。 いやあ、とにかく330ページはもうどこに居ようが、何をしていようが、もうこの小説のことにかまけていて、早くこ . . . 本文を読む
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げきだん S―演 s ?「仮説『I』を棄却するマリコ」(作:はせひろいち 演出:関川佑一)(於・ウイングフィールド) 85点

2017-10-05 22:29:13 | 演劇遍歴
安部公房が書いたかのような不条理劇風であり、ショートショート風のミステリー風でもあり、また何といっても娯楽性が十分満ち満ちている。出演俳優も声といい、華やかさといい、この上ない彼らの個性を引き出している。 ウイングフィールドで、左側の窓が開いているのは実に珍しい。その窓から光が流れ射している。いつも暗闇に親しんでいる舞台はなんだか明るく、ある意味まぶしくもある。それほど常に劇場は自然日光を拒否し . . . 本文を読む
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ピッコロ劇団「かさぶた式部考」(作・秋元松代 演出・藤原新平)(於・ピッコロシアター) 80点

2017-10-03 18:04:12 | 演劇遍歴
本格的と言おうか、いわゆる新劇っぽいオーソドックスな演劇である。難しそうだなあと思うのは劇が始まるまでで、社会から放り出され、見くびられ、希望を失い始めた人たちの巡礼の旅が基本となる劇である。 20人ほどの多数の虐げられた人たちの個別の無念の思いや、かすかな希望はそれほど描かれず、炭坑事故でCO中毒になって幼児に戻ってしまったような夫とその妻、そして姑のそれぞれの葛藤が話の主軸となる。 そして . . . 本文を読む
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KING&HEAVY『バグリン・ファイブ』(脚本・演出 川下大洋)(於・HEPホール) 80点

2017-10-01 09:13:17 | 演劇遍歴
RPGというゲーム感覚で話が展開する。これが結構、謎が謎を呼び、ワクワクする。ストーリーの先が読めないのだ。だから面白い。ゲームにはミステリー感覚が重要なんだなろう、それが分かる。 だんだん登場人物が出尽くしてくると、果たしてこれからどうなるんだろう、ちょっと手詰まり感も見え始まる。何か脚本を書いている川下氏の脳裏が見えてきそうな展開」である。 そうすると、何やら怪し、楽屋落ちらしき会話も見え . . . 本文を読む
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Contondo 「沙翁十四行詩集」( 原作│W.シェイクスピア 構成・演出│紺野ぶどう) ​(於・フジハラビル) 85点

2017-10-01 08:50:17 | 演劇遍歴
劇場に入り、すぐにカウンターでコーヒーをいただける。席に着き、ほっとする。この劇場はそれ自体が一つの美術館を呈する素晴らしい空間である。 シナトラの「フライミーツーザムーン」が流れる。直訳すると「月に私を飛ばせ」。から始まるこの劇は、3人の登場人物による全編まさにポエム。 Contondoの劇はあの不条理作家の別役実さえポエムにしてしまうほど僕のお気に入り劇団であります。彼らの劇は日常と非日常 . . . 本文を読む
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ナミヤ雑貨店の奇蹟 (2017/日)(廣木隆一) 70点

2017-09-28 19:20:32 | 映画遍歴
韓国映画の秀作「イルマーレ」から時間軸とポスト、そしてよく本屋で見かける「心に残るいい話」をミックスした感のある映画でしょうか。原作は読んでいないが、映画では多数のエピソードを処理できずの感もある。 多作廣木隆一のよくない面が露見し、敢えてベタを志向している風もあり、映像的には見るべきところがなく、退屈感が漂う。 ただ、演技的にはやはり西田敏行が孤高の域に達しており、彼を見ているだけでもこの映 . . . 本文を読む
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オン・ザ・ミルキー・ロード (2016/セルビア=英=米)(エミール・クストリッツァ) 90点

2017-09-27 17:53:05 | 映画遍歴
ここ数年来見た映画がへなちょこ映画に見えるほど、怒涛のようなエネルギーに満ちた映画です。映画とはそもそもこういうものだったんだと、思い起こさせるに十分な、これぞ傑作であります。人間の生きるに必要な根源的なもの、愛の形でさえここに存在する。スゴイ!脱帽。 . . . 本文を読む
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セザンヌと過ごした時間 (2016/仏)(ダニエル・トンプソン) 60点

2017-09-26 19:33:17 | 映画遍歴
セザンヌ好きの吾輩としては上映され即映画館へ。ゾラとセザンヌのケンカの話は有名で、ほぼ知ってはいたが、その詳細を見るにつけ、この映画の視点が分からなくなった。 映像は確かに美しいし、ラストに急にせきを切ったように現れるサント・ヴィクトワール山の絵画群は見事だが、でもあの二人の不和感はいたたまれない。お互いに相手の芸術をまったくと言っていいほど理解していない。一流の芸術家がこんなにも、とおののいて . . . 本文を読む
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