セントの映画・小演劇 100本

観賞数 2024年 映画 34本、 演劇 20本

沈黙のパレード(2022/日)(西谷弘) 75点

2022-10-19 20:36:34 | 映画遍歴
冒頭からエキストラといい、登場人物の豪華さと言い、またセリフのない俳優もしっかり演技をしているなど、久々に大きな映画館でゴージャスな気分で映画を見ている感が素敵。 いわゆるミニシアター映画の鑑賞数が多いので、この傾向の娯楽作品はたまたま時間があるという条件でしか見れなくなっている自分。でもこれがよかった。映画はやはり見る自分もまずは自由でなければ、、。 事件は、まあ大した証拠もなく犯人像が一転 . . . 本文を読む
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此の世の果ての殺人(荒木 あかね  著)(講談社  2022) 75点

2022-10-18 18:19:37 | 読書遍歴
ユニークなSF的設定を題材にしたミステリーです。話の展開がよどみなく面白く、しかも根はシュールで、人は最後の時を迎える時にどう立ち向かえるか、といった本源的なところにまで及んでいる。その意味でも、数あるミステリーの中で注目すべき本であろう。 ただこの本を本格ミステリーとして捉えたら、意外な犯人という条件は合格しているが、如何に終末とはいえ、殺害動機がいかにも浅すぎる。やはり、ミステリーにおいて、 . . . 本文を読む
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関西大学劇団万絵巻「ラビリンス」(作・ナツメクニオ 演出・だりや)at芸術創造館 80点

2022-10-15 19:25:31 | 演劇遍歴
冒頭の出だしからとても期待させる展開で、2時間があっという間に過ぎる。間にダンスがあったり、殺陣さえあり、これがまたいい頃合の時間に出没し楽しませる。 ストーリーがなんといっても面白く、不思議の国のアリスの新バージョンなんだが、秀逸だ。この劇は何と言っても、音響がものすごく優秀で、むしろ音響自体が主役といってもいいほど、この劇を盛り立てている。まるで、進行役の監督みたいだ。 俳優陣は当たり前だ . . . 本文を読む
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千夜、一夜 (2022/日)(久保田直) 75点

2022-10-12 19:37:46 | 映画遍歴
愛する人を駅や港でひたすら待つ女をコン・リーの「妻への旅路」などで見てきた。本作もその類の映画かなと思ったが、2年間失踪した夫を待つ若い女(尾野)を田中と双極させ配置することで、田中自身の心の闇を分解させるという思い切ったストーリー観を提供した。そして1人の女性の「待つ」という行為の意味を鋭く追及することになる。 尾野の夫を自分の夫とオブラートさせることで田中はやっと自分の人生にけじめをつけるこ . . . 本文を読む
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その殺人、本格ミステリに仕立てます。(片岡 翔 著)(2022 光文社) 70点

2022-10-09 10:25:12 | 読書遍歴
読む人の年齢を選ぶのでしょうか、あの文体が落ち着かず、登場人物の名前も覚えにくく、というか、主人公でさえ読めない名前で、これが延々と続くかのか、と思うと少々げんなりだったが、本格ミステリー通りにそのうちどんどん人が死んでいってくれる展開はなかなかのものでした。 でもトリックが結構甘く、しかも殺害動機があれほど完璧だったら、探偵はいなくてもそのうち犯人にたどり着くのは必定と思うと、ちょっとミステリ . . . 本文を読む
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劇団六風館「あゆみ」(作・柴幸男 演出・西垣陽菜)at阪大学生会館 80点

2022-10-08 20:03:00 | 演劇遍歴
8人による人生の走馬灯をスローにまた鮮やかに描いた秀作です。誰にでもある出来事をじっくり散発的に描いています。そのため、観客はふと自分の人生に戻ってしまうある意味怖い作品でもあります。 8人が全員白装束。もちろんヤングだし、これが清楚でよかった。まだ無垢な彼らが人生80年を演じるんだから、きれいな方がいいのだ。そして彼らの演技はよく人生の果てにまで迫っていた。 さすが、六風館だなあと思う。僕も . . . 本文を読む
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劇団1mg「クロノライセンス」(作・演出 伊達百式改)at in→dependent theatre 1st 80点

2022-10-05 18:28:19 | 演劇遍歴
死後の世界に興味のある劇団です。みんな美女揃い、またイケメンばっかりなのに目の周りが黒くやはり不気味です。あれだけ人相変えたら、その役になりきってしまうでしょう。 きりりと決まったダンス然り、この劇団の持ち味はヤングっぽさが全面に出ているということかなあ。みんな素敵です。見るだけで彼らのことが好きになり、彼らそのものも分かる気もします。 設定が死に向かう人間と、人間世界に戻りたい死神を配し、死 . . . 本文を読む
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夜の道標 (芦沢 央 著)(2022 中央公論新社)85点

2022-10-05 10:24:08 | 読書遍歴
徐々に分かってくる真実をページを繰るごとに確かめる至福。この本は正直ミステリーとは言えないかもしれないが、それでもラスト近くに潜む思いがけない真実を知ると、読者は頭をガーンと殴られたような衝撃を受けるだろう。その問題提起は鋭い。立派にミステリたり得る。 ラスト、みんなが日光に集まる設定は映画的で秀逸だ。珍しく本を読んで泣いてしまった自分に気づく。こういうことはあまりない。今年の収穫作品であり、誰 . . . 本文を読む
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ポータブル・シアター「オーファンズ」(作・ライル・ケスラー 演出・枡井智英)at芸術創造館 80点

2022-10-02 17:31:35 | 演劇遍歴
過去、映画化されたこともある著名な演劇です。登場人物が3人。世間から隔絶され、疎外されたかのような兄弟二人の家に兄が誘拐した富豪がやってくる。しかし彼は闇の世界にも通じる人間だった、、。 人にとって愛とは何か、文化とは何か、社会とは何か、、基本的で当たり前のことが、ぐさりと観客の胸に突き刺さる素晴らしい演劇でした。 3人の役者はそれぞれこれ以上のない演技をされていました。最後の絞るような演劇の . . . 本文を読む
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アイ・アム まきもと (2022/日) (水田 伸生)70点

2022-10-01 19:34:03 | 映画遍歴
7,8年前に公開され、僕にとってその年のベスト1に選んだ映画のリメイクです。こんな地味で日本でもほとんどの人が見ていない作品に焦点を当てていることがまず嬉しいの一言。早速映画館へお出ましだ。 話はほとんど変わらない。映像が何故か全編少々暗い。そのため俳優の表情が詳細に見えないところが歯がゆい。意図的なんだろうが、逆にもっと明るく撮った方が、このテーマには合うと思ったが、、。 結局この映画の見ど . . . 本文を読む
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