今や日本も外国も中心は年金世代、ということなのだろうか、ハンガリー版「俺たちに明日はない」だ。シニカルで、ぞくっとしそれでいて愛らしい。忘れられない映画となろう。
冒頭の二人の出会いが素晴しい名シーンだ。ブルジョア家が共産主義化させられ私物を没収させられる一瞬の時が二人の長い愛を育むことになる。セリフもなしでそれはそれは美しい。秀作たる導入部だ。
年金だけでは生活が苦しくなる一方というのは今や . . . 本文を読む
1944年度のイタリアの政治状況が脳裡をめぐるが、日本人である僕には(というか、単なる勉強不足なんだが)はっきり掴めず(まだムッソリーニが生きているはずだなあ、なんて考えたり、、)目の前の状況をまず整理するのに時間がかかってしまった。
と、映像はアメリカとはいえ黒人であるから白人のために前線に送られてきた、ボンクラ白人上官に支配されるアメリカ軍を映し出している。戦闘下にあっても黒人と話すことすら . . . 本文を読む
「幕末史」に引続き600ページ近い厚本を電車に持ち歩く。とにかく、面白い。よく分かる。この戦後篇ともなれば敗戦当時の最初の頃は生まれていない僕は人ごとのようだが、現天皇の結婚パレードなんか子供時代でも鮮やかに覚えているので、とても親近感がある。
でもなんといっても、「敗戦」から「もはや戦後ではない」と言われるまでの10数年はアメリカからマッカサーが来日したり、またGHQが日本の政治を決定していた . . . 本文を読む
妻を亡くしてから心を閉ざしていた男。ふとしたことから音楽に興味を持ち、友情も芽生え始め人間を取り戻していく男。まさにハートウォーミングストーリーである。しかし、現在のアメリカはかつてのフリーダムを失っている。男は、、
凍結した心を融解させるのは普通並大抵のことではない。この怠惰教授は60才を超えて生きる喜びを音楽を通して知る。人間は独りでは生きてはいけない、ただ非人間的に生きることを長らえること . . . 本文を読む
全編流れるサラ・ブライトマンの美声、日本人女児の誘拐事件発生と相まってイタリアを駆け巡る世界遺産、苦悩する外交官、そして開催されるアマルフィサミット。娯楽映画としてはこの上ない贅沢な材料で料理される豪華イタリア料理を映像を通してわれわれは食するのだ。
結構前半は切れがいいね。冒頭、監視カメラを通してまるで喧嘩をしたかのような機嫌の悪そうな富裕層らしき夫婦が豪華ホテルに帰りつく。迎えるフロント。【 . . . 本文を読む
2時間半の上映時間、そう長くもなかったけれど、今までのシリーズでは一番物語性がなかったのではないだろうか、飽くまで次回最終作への準備段階と言おうか、前座のような饒舌が延々と続く。
冒頭、あの黒煙のしぶきがヴォルデモート卿との全面的戦いの狼煙であることを僕たちは感知することになり、刺激的な映像と相まって気持ちがワクワクすることになるのだが、その後急に思春期の悪ふざけのようなロマンスに時間を割いてし . . . 本文を読む
難波トリイホールで観劇。
さすが大阪地元の劇団。1時間強大阪弁がわんさか飛び交う。そのおおらかさ。
内容はそれほど深刻なテーマではないが、一応老い楽の生活を描いている。演じている俳優が若いので、かえって好感が出た感じ。
老人の集会所での他愛ないやり取りが大阪を表わしている。助成金の問題等ハナシを展開させているが、脚本的にはちょっと練り方が足りない感も受けた。やはり演劇で1時間ぐらいというのはどう . . . 本文を読む
ニクソンほど悪役のイメージがないブッシュ大統領の、僕らには分からない生の吐息が聞こえそうな一見の価値のあるリアルな映画です。
前半の落ちこぼれ的な半生はアメリカ人ならいざ知らずあまりな内容なので日本人たる僕はかなり驚いてしまったが、プレディデントがこんなフツーの人であったことを暴く(アメリカでは周知のことなのかな?)事でほぼこの映画の目論見はほぼ完了しているのではないか、とも思った。
でも、こ . . . 本文を読む
もうすっかり忘れ去っている子供のこころを、大人が大切に織物を紡ぐようにじっくり描いているのですっかりその世界にはまってしまった自分を見る。
いけちゃんのような存在が本当にみんなの近くにいたら現実はこれほど厳しいものではないだろう、と思ってしまう。ただ、このいけちゃんがヨシオの成長と共に自然発生的に芽生えてくるこころの成果物のようなものだと思っていた僕は、一人の女性の念力型妄執恋愛の変形だとは露知 . . . 本文を読む
古きよき時代のアメリカコメディと言ったら失礼だろうか、現実からかなり浮ついてふわふわした生活をコメディにしている。
まあ、退屈することもないが、展開もきっちり見えてしまうし、意外なドタバタ劇にもなっていないので、期待をある程度裏切っているのは事実だろう。
色香として妻役、そして下着売り場の美女なども出てくるが、思い切ったサービスもないのでそういう意味でも健全な映画でありまする。かなり全体にパン . . . 本文を読む
恐らく原作はコミックなんだろうなあ、漫画的展開が少々違和感を伴うが、慣れてくるとそれも気にならない。
「美味しんぼ」の韓国流アレンジ版だと思えば結構楽しめる。そう、この映画は完全娯楽映画。内包している日本へのアジテーゼも調味料として考えればそこそこ美味しい。たまには気楽にこういう韓国映画も愉しもうぜ。 . . . 本文を読む
なかなか構想の大きい脚本で、左右に広い舞台を3つのシークエンスに分け、男女の愛のカタチ、母と息子の情念を映し出す。
ただ、3つのシークエンスがそれぞれ交互に変換するその辺りにもっと工夫が欲しかったのと、ハナシ自体が普遍的であっと驚くものではなく、そういう意味では少々残念でした。
でも、みんな芸達者で、セリフの発声もよく(特に同棲中の女性を振る男性役の人は演劇を志す人の中でも驚くほど声量が豊富で . . . 本文を読む
最近結構上映される経済暴露的アメリカ映画がいよいよ日本でも製作され、しかもある一定の水準を確保しているということに驚きを隠せない。
題名があまりこの映画の内容からはピンと来なく、またこの良質な映画のイメージを損なっているような気もするが、それはTV放映の関係もあるのだろう、不問とする。
この映画で気になった人たち。まずアカマ自動車の社長。企業経営する上で「夢・希望を全く求めない」社長。それを求 . . . 本文を読む
この映画、そこらの戦争映画とは全く一線を違えている。日本映画での潜水艦を扱った戦闘映画はあまり見たことがないが、そもそも【篠原】のことだから戦争実録ものからはかなり逸脱していることだけは明白だ。
まあ実際海軍関係者からは事実の相違についてかなりの反響がありそうな内容だが、それも【篠原】は覚悟しているはずだ。米海軍と一枚の楽譜を入れた瓶を通して平和への思いを図るといったヒューマニズムは映像ではそれ . . . 本文を読む
うーん、この毒殺ルート探しで400ページですか。この驚異的なトリックよりも、短編の素材を長編にしてしまう、また飽きさせないその筆力にただたじたじ、、。
まあ1700円はあまりそういう意味では得とも言えないが、東野の才能評価には奮発してあげてもいいのではないだろうか、、。一気でした。 . . . 本文を読む