性犯罪報道と『オタク叩き』検証

大谷昭宏part17スレの138、siebzehn138による、海外情報等の補足。『オタク叩き』は性犯罪抑止にあらず。

『10万人の宮崎勤』のウソ (8月12日追加・修正)

2005-08-11 23:49:54 | 報道
明日から夏コミ。16年前の悪夢も思い出します。

今日は手短に、『宮崎勤裁判』(佐木隆三)、『宮崎勤精神鑑定書 多重人格説を検証する』(瀧野隆浩)をパラパラと立ち読みしただけの情報も加えてざっと書きます。
  • マスコミはコミケを、『ロリコンエロマンガが好きな男だけによる集会』と扱った。 →当時のコミケは女性参加者の割合のほうが多く、サーヤ様もはまった『鎧伝サムライトルーパー』や、『天空戦記シュラト』の女性向けパロディ本が主流だった。
  • 宮崎はコミケにて、同人誌を制作してサークル参加していた。 →宮崎が同人誌を制作したのは、CMに出演した『美少女タレント』のデータブックの1冊のみ。漫画同人誌は出していない。同人誌に関する供述は、当初とその後では内容が食い違っている。 (ソースがどちらか失念したので確認するまで保留)
  • 宮崎勤の録画ビデオの大半はアニメや特撮、ホラームービーだった。 →ビデオの大半はテレビ番組を適当に録画したものでアニメ・特撮に限らない。アニメ・特撮に関しても雑誌投稿でダビングによる交換を行って収集したものもあるが、公判での大塚英志氏の証言によると、一本のビデオに複数作品をバラバラに録画していることが多く、『オタクのコレクション』としては非常にいい加減である。 (『宮崎勤裁判』より)
  • 遺体をビデオで撮影して繰り返し鑑賞した。 →遺体映像は、動物の赤ちゃんを扱った特番や、ファミリードラマ『1・2・3と4・5・ロク』を録画したビデオの中に、数分だけ存在した。精神鑑定によると、録画をするという行為だけで満足して、見ることはなかったという。 (『宮崎勤精神鑑定書 多重人格説を検証する』より)
なんですが、未だに当時の『報道』姿勢は今も一部で生きているので困ったことです。

皆様、道中気をつけて。

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(2005/08/12) 当時の人気作で、『らんま1/2』の原作、『機動警察パトレイバー』漫画版と、週刊少年サンデーで連載されてたものも忘れてはいけませんでした(陳謝)。

ただ、当時の週刊誌報道では、宮崎が『うる星やつら』のサンデーコミックスを持っていたことで、同作品もバッシング対象、サンデー自体も部数が低迷していたころでもあり、世間的には立場弱かったし…。

(週刊少年ジャンプ作品も、その後起きた『有害コミック』規制運動にて、『黒人差別をなくす会』による『Dr.スランプ』内の黒人表現の差し替え要求や、『北斗の拳』などへの『残虐・暴力的』としてのバッシングがあった。)

今でこそ『平野&古川コンビでCMを作りたい』との一心で電通に入社した社員により、ヤマト運輸のあのCMが実現するまでになりましたが、ヤマト運輸って、さんざん宮崎の部屋にあったと映された、アニメージュ89年8月号の表紙を飾った『魔女の宅急便』のスポンサーでもありまして。

宮崎のビデオのラベルで、アニメ監督で唯一『さん』付けで記載していたのは、宮崎駿氏だったと、大塚英志氏は自著小説『多重人格探偵サイコ 小林洋介の最後の事件』(角川文庫)のあとがきにて書いています。

「『有害な作品から悪い影響を受ける』、というが、ならばどうして、素晴らしいとされる作品から『良い影響』を受けなかったのか?」

大塚氏は、89年に少女漫画を含む前世ブームの影響を受けたとして集団自殺した少女たちが、自殺直前に『魔女の宅急便』を観に行ったことも引き合いに出し、以上の主張を同書あとがきで行っています。